世界防衛クラブ

亜瑠真白

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ドキドキ?夏合宿

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 歯磨きなどを済ませ、寝室のベッドに潜るとつるぎが話しかけてきた。
「真希、今日はありがとうございます」
「ん? 何が」
「朔のこと。いろいろ協力してくれたので。今日は久しぶりに朔とたくさん話すことができました。……まあ、怒られたりもしたんですけどね」
 そう言ってつるぎが笑う。ランニングの時のことか。
「昔はそれなりに仲が良かったと思うんです、私達。でも、DAMで再開すると朔は人を寄せつけない雰囲気に変わっていて、上手く話せなくて……朔は初め、ガーディアンになりたかったんです。ですが適正が合わず、指令官を目指し始めました。毎日、指令官やマナンについて勉強している姿を私は遠くから見守っていました。そしてあっという間に階級に差が開いてしまって、それからはより話しかけづらくなりました。一等指令官になってからは朔と相性のいいガーディアン候補がなかなか見つからず、いつもイライラしているようでした。……その中でやっと朔は真希に出会えたんです。だから真希を手放さないためにちょっと強引なこともしたんじゃないかと少し心配でした」
「まあ、そうだね……」
 いきなり呼び捨てにされたりとか、あんぱん押し込まれたりとかね。
「やっぱりそうでしたか……朔って昔から不器用なところがあるんですよね。あんな風に大人っぽい恰好や口調をするのは、自分を強く見せたいっていう気持ちの表れなのかなって私は思っています……」
 生意気な話し方は大人の武装だったのか。
「ですが、真希と一緒にいる朔は…いつもよりも子供らしく見えます…それって素敵なことで…私も嬉しい…です…だからもういいんです…私のことを好きじゃなくても…朔が笑う姿を…見られれば…」
 うつらうつらしていたつるぎは眠りについたようだ。規則的な寝息が聞こえる。
「おやすみ、つるぎ」
 つるぎの頭をそっと撫で、私も眠りについた。

  喉が渇いて夜中に目が覚めた。隣で眠るつるぎを起こさないようにそーっとベッドからでる。
 一階に降りるとダイニングに明かりが点いていた。
「朔?」
 扉を開けるとテーブルで何か作業をしている朔の背中が見えた。
「真希か。どうした」
 気づいた朔がこちらを振り返る。
「ちょっと喉が渇いて。朔は何してたの?」
 キッチンで麦茶を注ぎ、それを持って朔の向かいに座った。
「眠れなかったから、今日のトレーニングの記録をつけていたんだ」
 朔の手元にはノートがあり、そこにはびっしりと文字が書いてあった。
 朔は手を動かしながら続けた。
「ガーディアンと執行官の管理も指令官の仕事だからな。最適なトレーニングや戦闘プランを立てることで、班員のダメージを最小限に抑えることができるんだ」
 私達が怪我しないように一人で考えてくれていたんだ。
「そっか。偉いね、朔は」
 朔はガバッと顔をあげた、
「な…っ! そんなこと言ったって明日のトレーニング、軽くしてやらないからな!」
 素直に受け取っておけばいいのに。意外と褒められ慣れてないのかな。
「はいはい」
 朔はノートをぱたんと閉じ、真希の目を見つめた。
「真希は辛くないか」
「えっ?」
 予想もしない言葉に驚いた。
「僕が声を掛けなければ何も知らずに過ごせたのに、無理やりこっちへ引き込んでしまった。焦っていたんだ。それにつるぎのことも……」
 朔は机に目を落とした。
「つるぎから聞いたか、僕のお父さんの話」
「うん……」
「そうか……いいんだ、言わないといけないと思っていたからな。……僕のお父さんはマナンに誘導されて事件を起こし、罪に問われた。お母さんはその現実を受け入れられず、心を病んでしまった。今は病院に入院している。一人になった僕を蘭さん…神谷総監督がDAMに引き取ってくれたんだ」
 それで今はDAMに住んでいるんだ。
「僕がDAMに加入してすぐにつるぎがやってきた。執行官になるとか言い出してな……本当は嫌だった。何も知らずに平和な世界で生きていてほしかった。でもつるぎはやめてくれなかった。せめて僕の目の届くところに置いていけるように、総監督に頼み込んで僕の班に入れてもらったんだ。…だから絶対に危ない目になんて合わせない。もちろん真希のこともな」
 朔からつるぎのことを聞いたのは初めてだった。つるぎのこと、やっぱり大切なんだな。
「私は辛くないよ。大切な人を守るために戦えることを誇りに思っている。……つるぎもきっと同じ気持ちだよ」
「そうか……引き留めて悪かったな。明日も動くんだ、ゆっくり休めよ」
 朔はまだ納得していない様子だった。相手の口から言葉を聞くまでは私がどれだけ言葉を尽くしても信じられないのだろう。
「うん。おやすみ、朔」
 真希はダイニングをあとにした。
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