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ドキドキ?夏合宿
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それから私達は筋トレ、素振り、ランニングなどのトレーニングを行い、コテージに戻ってきた。
「朔……鬼教官……」
真希はコテージに戻るなり床に倒れこんだ。
「これくらいでへばってるのかー? ほんと体力ないなぁ」
朔が私を見下ろしてぷぷぷと笑う。この生意気な子供め!
「お姉さんに向かって何だその態度は! 私が再教育してやるー! ……ったく、こっちは怪我人だっていうのに」
「真希の怪我はとっくに治っているので、体力がないのはただの怠け者です」
「つるぎが冷たいー!?」
つるぎがふふっと笑う。
「さて、真希をいじめたところでお昼にするか。午後はもっとキツイぞ」
「そんなぁ……」
午後はどんなスパルタメニューをやらされるんだろう……
真希はのっそりと起き上がった。
お昼ご飯を食べた私達は朔を先頭にして森の中を歩いていた。
「朔、まだぁ?」
午前中とは違う道だから向かっているのはあの広場ではないようだ。あんまり歩くとその後動けないんだけど……
「もうすぐだ……ほら、着いたぞ」
突然目の前が明るくなって開けたところにでた。朔が示す先には青紫色の花が一面に咲いている。
「綺麗……」
思わず呟いた。
「あれはラベンダーですね」
つるぎが言った。確かに。よく見るとそれはラベンダーだった。
「そうだ。コテージの周辺を調べていたら近くにラベンダー畑があることが分かったんだ」
「へぇー。北海道以外にもそんな場所があったんだ……」
富良野のイメージだったけど関東にもあるんだ。それにすごくいい香り。
「午後のメニューはここで休憩だ。こんなところまで連れてこられたんだ。総監督の好きにされた分、こっちも楽しまないとな。……それにラベンダーの香りにはリラックス効果があるらしい。しばらくここで好きにしてろ」
そう言って朔はラベンダー畑から少し離れた木陰に向かおうとする。ちょっと待て。
私は朔の手を取った。
「ねえ! このラベンダー畑の中に入れるみたいだよ! 朔も一緒に行こうよ!」
私達二人のために探してくれたんだ。きっとそうだ。なら、朔も一緒に楽しまないと。
「ぼ、僕はいいんだ! お前たちのために来たんだから」
「だーめ! ほら、行くよ!」
朔を引っ張って花畑に連れ出す。
私達はラベンダーの小道を歩いた。青紫の美しい風景と心休まる香り。隣には笑顔のつるぎ。朔は初めぶつくさと何か言っていたが、小道を抜ける頃には楽しそうな表情に変わっていた。
「そろそろ木陰で休憩しようか」
真希は二人に声をかけた。お昼過ぎの日差しはまだまだ強い。私達は木陰で涼むことにした。
「神谷総監督は何でこんないいコテージ知ってるんだろ」
朔が答える。
「DAMの支部は全国各地にあるんだ。数カ月に一度、情報交換もかねて支部を回っているからそのこともあって蘭さんはいろんな場所に詳しいんだ」
「へぇー」
「そういえば真希は蘭さんからどんな能力をもらったんだ?」
能力……? そういえばそんなこと言ってたな!朔とつるぎのことに気を取られてすっかり忘れてた。
「分からない。けど、どうやったら分かるの?」
「何となく分かるタイミングがあるんだよな。僕の能力は半径500m以内にいるマナンを検知し、座標を知ることができる。DAMではマナンが発する特殊な音波から出現場所を特定しているが、半径500m以内であれば僕のほうが正確に位置が分かる。ただ、建物や水の中にいるとあまりうまくいかないんだが……つるぎの能力はどんなのだっけ?」
「私の能力は総監督しか知りません。内緒です。」
つるぎがフフンと笑う。
「僕は言ったんだぞ! お前も言えー!」
朔がムキになって怒る。
しかし、ふっと険しい顔になった。
「……近くにマナンがいる」
私達の間に緊張が走る。
「北東方向に二百メートル。走るぞ!」
私達は朔を先頭にしてマナン出現場所に向かった。
その場所には一人の女性がいた。手には赤いポリタンクとライター。
「つるぎ、頼む!」
朔が声をかけるとつるぎは走りながら斧を取り出し、柄の部分を使ってライターを弾き飛ばした。
「真希はこっちだ」
つるぎの動きに目を奪われていると朔のほうに頭をグイっと向けられた。そのまま引き寄せ、額を合わせられる。
額を離すと朔の顔が近くにあった。他人と肌を合わせていたのに不思議と安心感があった。
「放して!」
そう叫ぶ女性の声で真希は我に返った。声のほうを向くとつるぎが女性を羽交い絞めにしてた。そして、女性の肩にマナンがくっついているのが見えた。
「真希、見えるな」
「……うん」
人に融合したマナンを見るのは初めてだ。この森で火と灯油なんて大惨事になりかねない。この人はもうマナンに操作され始めているのか……?
「押さえておくのもそれほど持たないから手短に話す。人と融合している状態のマナンは人体の一部となっているから、攻撃することができない。まずはマナンを女性から引き離し、それからコアを破壊する」
「どうやって引き離すの!?」
「マナンに誘導され、破壊活動の種となっている感情を変えてやるんだ。今は辛かった出来事の不満や後悔の感情で頭がいっぱいなんだ。辛い現実の中にも希望はある。そのことに気づけばマナンは引き離される」
「……分かった。やってみる!」
改めて女性に注目する。朔の話を聞いている間もずっと何かを叫んでいるようだった。
「あいつが悪いの! 私と一緒にいて楽しそうだったのに! 急にもうここには来るなって!意味分かんない!」
つるぎは暴れる女性を必死に抑えている。怒りからか彼女の肌は真っ赤に染まっていた。
「……あいつなんて大っ嫌い! それにあいつが育てたラベンダーも、この山も! 燃えて何もなくなっちゃえばいいんだ!」
段々と分かってきた。つるぎの負担もあるし、一か八か声を掛けるしかない。
「あなたはこの近くのラベンダー畑を育てる彼氏に別れを切り出されたんですね」
「そうよ! 本当にひどい男だわ。『君は悪くない』なんて綺麗ごと言って……どうせ他に女でもできて私のことは捨てたんだわ!」
そう言って暴れた拍子に片腕がつるぎの拘束から外れた。そしてその手で赤くなった顔や首を掻きむしり始めた。
これは、もしかすると……
「朔……鬼教官……」
真希はコテージに戻るなり床に倒れこんだ。
「これくらいでへばってるのかー? ほんと体力ないなぁ」
朔が私を見下ろしてぷぷぷと笑う。この生意気な子供め!
「お姉さんに向かって何だその態度は! 私が再教育してやるー! ……ったく、こっちは怪我人だっていうのに」
「真希の怪我はとっくに治っているので、体力がないのはただの怠け者です」
「つるぎが冷たいー!?」
つるぎがふふっと笑う。
「さて、真希をいじめたところでお昼にするか。午後はもっとキツイぞ」
「そんなぁ……」
午後はどんなスパルタメニューをやらされるんだろう……
真希はのっそりと起き上がった。
お昼ご飯を食べた私達は朔を先頭にして森の中を歩いていた。
「朔、まだぁ?」
午前中とは違う道だから向かっているのはあの広場ではないようだ。あんまり歩くとその後動けないんだけど……
「もうすぐだ……ほら、着いたぞ」
突然目の前が明るくなって開けたところにでた。朔が示す先には青紫色の花が一面に咲いている。
「綺麗……」
思わず呟いた。
「あれはラベンダーですね」
つるぎが言った。確かに。よく見るとそれはラベンダーだった。
「そうだ。コテージの周辺を調べていたら近くにラベンダー畑があることが分かったんだ」
「へぇー。北海道以外にもそんな場所があったんだ……」
富良野のイメージだったけど関東にもあるんだ。それにすごくいい香り。
「午後のメニューはここで休憩だ。こんなところまで連れてこられたんだ。総監督の好きにされた分、こっちも楽しまないとな。……それにラベンダーの香りにはリラックス効果があるらしい。しばらくここで好きにしてろ」
そう言って朔はラベンダー畑から少し離れた木陰に向かおうとする。ちょっと待て。
私は朔の手を取った。
「ねえ! このラベンダー畑の中に入れるみたいだよ! 朔も一緒に行こうよ!」
私達二人のために探してくれたんだ。きっとそうだ。なら、朔も一緒に楽しまないと。
「ぼ、僕はいいんだ! お前たちのために来たんだから」
「だーめ! ほら、行くよ!」
朔を引っ張って花畑に連れ出す。
私達はラベンダーの小道を歩いた。青紫の美しい風景と心休まる香り。隣には笑顔のつるぎ。朔は初めぶつくさと何か言っていたが、小道を抜ける頃には楽しそうな表情に変わっていた。
「そろそろ木陰で休憩しようか」
真希は二人に声をかけた。お昼過ぎの日差しはまだまだ強い。私達は木陰で涼むことにした。
「神谷総監督は何でこんないいコテージ知ってるんだろ」
朔が答える。
「DAMの支部は全国各地にあるんだ。数カ月に一度、情報交換もかねて支部を回っているからそのこともあって蘭さんはいろんな場所に詳しいんだ」
「へぇー」
「そういえば真希は蘭さんからどんな能力をもらったんだ?」
能力……? そういえばそんなこと言ってたな!朔とつるぎのことに気を取られてすっかり忘れてた。
「分からない。けど、どうやったら分かるの?」
「何となく分かるタイミングがあるんだよな。僕の能力は半径500m以内にいるマナンを検知し、座標を知ることができる。DAMではマナンが発する特殊な音波から出現場所を特定しているが、半径500m以内であれば僕のほうが正確に位置が分かる。ただ、建物や水の中にいるとあまりうまくいかないんだが……つるぎの能力はどんなのだっけ?」
「私の能力は総監督しか知りません。内緒です。」
つるぎがフフンと笑う。
「僕は言ったんだぞ! お前も言えー!」
朔がムキになって怒る。
しかし、ふっと険しい顔になった。
「……近くにマナンがいる」
私達の間に緊張が走る。
「北東方向に二百メートル。走るぞ!」
私達は朔を先頭にしてマナン出現場所に向かった。
その場所には一人の女性がいた。手には赤いポリタンクとライター。
「つるぎ、頼む!」
朔が声をかけるとつるぎは走りながら斧を取り出し、柄の部分を使ってライターを弾き飛ばした。
「真希はこっちだ」
つるぎの動きに目を奪われていると朔のほうに頭をグイっと向けられた。そのまま引き寄せ、額を合わせられる。
額を離すと朔の顔が近くにあった。他人と肌を合わせていたのに不思議と安心感があった。
「放して!」
そう叫ぶ女性の声で真希は我に返った。声のほうを向くとつるぎが女性を羽交い絞めにしてた。そして、女性の肩にマナンがくっついているのが見えた。
「真希、見えるな」
「……うん」
人に融合したマナンを見るのは初めてだ。この森で火と灯油なんて大惨事になりかねない。この人はもうマナンに操作され始めているのか……?
「押さえておくのもそれほど持たないから手短に話す。人と融合している状態のマナンは人体の一部となっているから、攻撃することができない。まずはマナンを女性から引き離し、それからコアを破壊する」
「どうやって引き離すの!?」
「マナンに誘導され、破壊活動の種となっている感情を変えてやるんだ。今は辛かった出来事の不満や後悔の感情で頭がいっぱいなんだ。辛い現実の中にも希望はある。そのことに気づけばマナンは引き離される」
「……分かった。やってみる!」
改めて女性に注目する。朔の話を聞いている間もずっと何かを叫んでいるようだった。
「あいつが悪いの! 私と一緒にいて楽しそうだったのに! 急にもうここには来るなって!意味分かんない!」
つるぎは暴れる女性を必死に抑えている。怒りからか彼女の肌は真っ赤に染まっていた。
「……あいつなんて大っ嫌い! それにあいつが育てたラベンダーも、この山も! 燃えて何もなくなっちゃえばいいんだ!」
段々と分かってきた。つるぎの負担もあるし、一か八か声を掛けるしかない。
「あなたはこの近くのラベンダー畑を育てる彼氏に別れを切り出されたんですね」
「そうよ! 本当にひどい男だわ。『君は悪くない』なんて綺麗ごと言って……どうせ他に女でもできて私のことは捨てたんだわ!」
そう言って暴れた拍子に片腕がつるぎの拘束から外れた。そしてその手で赤くなった顔や首を掻きむしり始めた。
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