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疑念と告白
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「こらヴィクトル!お2人の邪魔をしてはいけませんよ。」
ヴィクトルがいないことに気が付いたお母様が、ヴィクトルを呼びに来てくれた。
変なことをされる前に回収してくれて、命拾いをする。
「ごめんなさい、お母様。」
「貴女は本当にイザベラのことが好きね。」
「はい!」
満面の笑みで平気で嘘をつくヴィクトルの様子を見てゾッとする。
あの子より、よっぽどたちが悪いんじゃないだろうか?
少し怯えている間にヴィクトルはどこかに行ってしまった。
「──っ!」
ヴィクトルの様子を見ていたエド様は、何故か息を飲んでいた。
「エド様、どうかされました?」
「い、いや何でもないよ。それじゃあ、早速次に会う予定を決めようか。」
それから一か月の間、私とエド様は定期的にお茶会やお食事会を行っていた。
彼はとても誠実な人で、会う度にプレゼントを用意してくれていた。
ほとんどお付き合いをしているような状況であったが、正式にお付き合いをしているわけではないので、スキンシップは最小限。
私のことについても知ろうと努力してくれて、話していてとても楽しい人だった。
─ただ、1つだけ引っかかっていることがある。
この一か月間、私とエド様はこのモリー家以外に会うことがなかったのだ。
この歳にもなると、お外で食事やどこか美術館などでデートをすることが当たり前だそうだ。
きっと私たちもそうなるのだと思っていたのに、デートのお誘いは一度もなかった。
それだけではなく、家に来る時には必ず家族は家にいるのか聞いてきたのだ。
家に家族が居ない時を狙っているのかと思っていたらまさかの逆だった。
特にヴィクトルが居ない時には家に来ないのである。
「ヴィクトルは君のことが大好きだろう?僕が君と2人だけで会っていたら嫉妬してしまうんじゃないかな。」
最初は妹に気を遣ってくれている良い人だと思っていた。
しかしその考えはヴィクトルと2人きりになった時に疑念に変わった。
「エド...様ってとても素敵な方よね。本を読むのが好きらしいわよ。お姉様には釣り合わないわね?」
「え?エド様って本が好きなの?」
「あら、そんなことも知らなかったの!ごめんなさい?わたくし気が付かなくって♪」
私の知らない情報を知っているヴィクトルに違和感を持った。
ヴィクトルとエド様が会話できる時は、一緒に食事する時しかなかったはずだ。
その時はもちろん私もいるから、話の内容は聞こえてる。
怪しく思った私はエド様に尋ねた。
「エド様、私がいない所でヴィクトルとお話されてますか?」
「うん?そんなことしてないよ。」
(エド様、嘘ついた……。)
彼の嘘に気が付いたが、私は知らないフリをした。
もしかしたら、私に心配をかけないような優しい嘘をついた可能性もある。
一か月の付き合いであるが、私はエド様を信用して心を寄せていたのだ。
「信じてみよう、エド様のこと。」
そう決めてからは、私からも積極的に話し掛けて、誰がどう見ても仲睦まじい2人になった。
それでもエド様から告白はされない。
きっと奥手なんだろうと思い、出会って三か月後、私から告白した。
「その、エド様。私たちそろそろ正式にお付き合いしてみませんか。」
この人生で初めての告白。
私は柄にもなく自信を持った言葉を贈れたし、エド様は応えてくれると信じていた、のに。
「……すまない。それは出来ないんだ。」
私の告白は呆気なく散ってしまった。
ヴィクトルがいないことに気が付いたお母様が、ヴィクトルを呼びに来てくれた。
変なことをされる前に回収してくれて、命拾いをする。
「ごめんなさい、お母様。」
「貴女は本当にイザベラのことが好きね。」
「はい!」
満面の笑みで平気で嘘をつくヴィクトルの様子を見てゾッとする。
あの子より、よっぽどたちが悪いんじゃないだろうか?
少し怯えている間にヴィクトルはどこかに行ってしまった。
「──っ!」
ヴィクトルの様子を見ていたエド様は、何故か息を飲んでいた。
「エド様、どうかされました?」
「い、いや何でもないよ。それじゃあ、早速次に会う予定を決めようか。」
それから一か月の間、私とエド様は定期的にお茶会やお食事会を行っていた。
彼はとても誠実な人で、会う度にプレゼントを用意してくれていた。
ほとんどお付き合いをしているような状況であったが、正式にお付き合いをしているわけではないので、スキンシップは最小限。
私のことについても知ろうと努力してくれて、話していてとても楽しい人だった。
─ただ、1つだけ引っかかっていることがある。
この一か月間、私とエド様はこのモリー家以外に会うことがなかったのだ。
この歳にもなると、お外で食事やどこか美術館などでデートをすることが当たり前だそうだ。
きっと私たちもそうなるのだと思っていたのに、デートのお誘いは一度もなかった。
それだけではなく、家に来る時には必ず家族は家にいるのか聞いてきたのだ。
家に家族が居ない時を狙っているのかと思っていたらまさかの逆だった。
特にヴィクトルが居ない時には家に来ないのである。
「ヴィクトルは君のことが大好きだろう?僕が君と2人だけで会っていたら嫉妬してしまうんじゃないかな。」
最初は妹に気を遣ってくれている良い人だと思っていた。
しかしその考えはヴィクトルと2人きりになった時に疑念に変わった。
「エド...様ってとても素敵な方よね。本を読むのが好きらしいわよ。お姉様には釣り合わないわね?」
「え?エド様って本が好きなの?」
「あら、そんなことも知らなかったの!ごめんなさい?わたくし気が付かなくって♪」
私の知らない情報を知っているヴィクトルに違和感を持った。
ヴィクトルとエド様が会話できる時は、一緒に食事する時しかなかったはずだ。
その時はもちろん私もいるから、話の内容は聞こえてる。
怪しく思った私はエド様に尋ねた。
「エド様、私がいない所でヴィクトルとお話されてますか?」
「うん?そんなことしてないよ。」
(エド様、嘘ついた……。)
彼の嘘に気が付いたが、私は知らないフリをした。
もしかしたら、私に心配をかけないような優しい嘘をついた可能性もある。
一か月の付き合いであるが、私はエド様を信用して心を寄せていたのだ。
「信じてみよう、エド様のこと。」
そう決めてからは、私からも積極的に話し掛けて、誰がどう見ても仲睦まじい2人になった。
それでもエド様から告白はされない。
きっと奥手なんだろうと思い、出会って三か月後、私から告白した。
「その、エド様。私たちそろそろ正式にお付き合いしてみませんか。」
この人生で初めての告白。
私は柄にもなく自信を持った言葉を贈れたし、エド様は応えてくれると信じていた、のに。
「……すまない。それは出来ないんだ。」
私の告白は呆気なく散ってしまった。
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