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婚約破棄しなさい。
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過去の軽い考えの自分を恨みながら今後どうしようかと考えていると奥からカツ、カツ、カツという少し耳障りな足音が聞こえてきた。
「うわぁ…」
「お嬢様!!!」
ドンっと勢い良く扉が開かれたのとリゼの声は上手いくらいに重なっていた。扉の方を見てみるとやけに派手な赤…ワインレッドとでもいうのだろうか、そんな綺麗な色のドレスを身に纏い、バブル時代を彷彿とさせる羽の扇子をたなびかせてガロン様の義母であるカリーナ・モンタギューが私の部屋にやってきた。
「あらエリーゼ様?もしかしてあのお噂をお聞きになってお倒れになったのですか?まぁ!弱々しいこと。」
わぁすごい。まだ何も言ってないのに自己完結。普通に寝起きだっただけなのに。
「カリーナ様ご機嫌よう。噂とは何の話でしょうか?」
「強がっても意味は無いわよ?貴女も聞いたのでしょう、婚約破棄の話を。」
ニヤニヤしながらこちらを流し目で見てきた。
カリーナ様はガロン様のお母様であるリリー様の妹である。リリー様は身も心もとても美しい人だったという話は国民なら誰でも知っている。この国では一夫多妻制であるが国王様はリリー様だけを想い、その息子のレオン様とガロン様と共に仲睦まじく過ごされていた。しかしガロン様が10歳の頃リリー様は謎の病に倒れて亡くなってしまった。それからというもの、国王様は元気を無くされ、レオン様は国王の仕事を代理として引き継いでいた。本来なら国王自身が次の婚約者を見つけるべきだったが、そんな元気も無くされてしまったので仕方なくリリー様の妹であるカリーナ様と婚約した。
ここまでは全国民が知っている事。しかし王宮に入るとカリーナ様の黒い噂ばかりを聞くようになった。
「カリーナ様がリリー様に毒を盛った。」
「カリーナ様はガロン様の事が好き。」
「カリーナ様はこの国の財産を自分の物かのように使っている。」
大きく分けてこの3つをよく聞く。私は直接的に関わる事は少なかったが大方合っているだろうと考えている。
以前王宮にある古びた図書室に行った時、大体の本が埃を被っていたが何故か毒の本だけは真新しかったし、国王様やレオン様には最低限のお食事しか会わないのにガロン様にはほぼ毎日お食事に誘っていたり、カリーナ様だけ毎日違うドレスを身に纏っていたり。ほぼ、という確実に黒である。しかし国王様が元気じゃない故に下手に騒ぎを起こしたくないのであろう、誰も告発できずにいた。
そんな好き勝手おばさんの愛し子に婚約者が出来たのだ。それは黙っている訳がないだろうと言わんばかりに何かと難癖を付けてくる。
「あらエリーゼ様?そのドレス肌に似合ってないわよ?」
「あらエリーゼ様?その髪型顔が長く見えますわよ?」
「あらエリーゼ様?そんな事では婚約破棄されてしまいますわよ?」
似合っていないのを指摘されるのは前世でもよくあったから何とか耐えられた。何とか。特に実害もなかったし。
このようにカリーナ様は私の事が邪魔なのだ。だからこの婚約破棄の噂がとても嬉しかったのだろう。大きくため息をつき、カリーナ様の方へ向いた。
「その噂なら今耳にしました。ですが、ガロン様からは何も言われていないので気にしておりません。」
そう口にするとドレスくらい顔を真っ赤にして
「貴女は何故そう飄々としているの?!婚約破棄の噂が流れた時点で終わっているのよ!」
過去最高に頭に響く怒号を喰らい、飛んできた唾が顔にかかった。汚い。そう思って顔を伏せて拭こうとすると何を勘違いしたのだろうか。急に愉快愉快と言わんばかりに笑い始めた。
「ふふ、そうね。やはり悲しいわよね?・・・あぁそうだ。エリーゼ様から婚約破棄しなさい。」
「・・・ん?」
元々狂っていたが更に義母の頭は狂ってしまったようだ。
「うわぁ…」
「お嬢様!!!」
ドンっと勢い良く扉が開かれたのとリゼの声は上手いくらいに重なっていた。扉の方を見てみるとやけに派手な赤…ワインレッドとでもいうのだろうか、そんな綺麗な色のドレスを身に纏い、バブル時代を彷彿とさせる羽の扇子をたなびかせてガロン様の義母であるカリーナ・モンタギューが私の部屋にやってきた。
「あらエリーゼ様?もしかしてあのお噂をお聞きになってお倒れになったのですか?まぁ!弱々しいこと。」
わぁすごい。まだ何も言ってないのに自己完結。普通に寝起きだっただけなのに。
「カリーナ様ご機嫌よう。噂とは何の話でしょうか?」
「強がっても意味は無いわよ?貴女も聞いたのでしょう、婚約破棄の話を。」
ニヤニヤしながらこちらを流し目で見てきた。
カリーナ様はガロン様のお母様であるリリー様の妹である。リリー様は身も心もとても美しい人だったという話は国民なら誰でも知っている。この国では一夫多妻制であるが国王様はリリー様だけを想い、その息子のレオン様とガロン様と共に仲睦まじく過ごされていた。しかしガロン様が10歳の頃リリー様は謎の病に倒れて亡くなってしまった。それからというもの、国王様は元気を無くされ、レオン様は国王の仕事を代理として引き継いでいた。本来なら国王自身が次の婚約者を見つけるべきだったが、そんな元気も無くされてしまったので仕方なくリリー様の妹であるカリーナ様と婚約した。
ここまでは全国民が知っている事。しかし王宮に入るとカリーナ様の黒い噂ばかりを聞くようになった。
「カリーナ様がリリー様に毒を盛った。」
「カリーナ様はガロン様の事が好き。」
「カリーナ様はこの国の財産を自分の物かのように使っている。」
大きく分けてこの3つをよく聞く。私は直接的に関わる事は少なかったが大方合っているだろうと考えている。
以前王宮にある古びた図書室に行った時、大体の本が埃を被っていたが何故か毒の本だけは真新しかったし、国王様やレオン様には最低限のお食事しか会わないのにガロン様にはほぼ毎日お食事に誘っていたり、カリーナ様だけ毎日違うドレスを身に纏っていたり。ほぼ、という確実に黒である。しかし国王様が元気じゃない故に下手に騒ぎを起こしたくないのであろう、誰も告発できずにいた。
そんな好き勝手おばさんの愛し子に婚約者が出来たのだ。それは黙っている訳がないだろうと言わんばかりに何かと難癖を付けてくる。
「あらエリーゼ様?そのドレス肌に似合ってないわよ?」
「あらエリーゼ様?その髪型顔が長く見えますわよ?」
「あらエリーゼ様?そんな事では婚約破棄されてしまいますわよ?」
似合っていないのを指摘されるのは前世でもよくあったから何とか耐えられた。何とか。特に実害もなかったし。
このようにカリーナ様は私の事が邪魔なのだ。だからこの婚約破棄の噂がとても嬉しかったのだろう。大きくため息をつき、カリーナ様の方へ向いた。
「その噂なら今耳にしました。ですが、ガロン様からは何も言われていないので気にしておりません。」
そう口にするとドレスくらい顔を真っ赤にして
「貴女は何故そう飄々としているの?!婚約破棄の噂が流れた時点で終わっているのよ!」
過去最高に頭に響く怒号を喰らい、飛んできた唾が顔にかかった。汚い。そう思って顔を伏せて拭こうとすると何を勘違いしたのだろうか。急に愉快愉快と言わんばかりに笑い始めた。
「ふふ、そうね。やはり悲しいわよね?・・・あぁそうだ。エリーゼ様から婚約破棄しなさい。」
「・・・ん?」
元々狂っていたが更に義母の頭は狂ってしまったようだ。
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