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今日も美しい。

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 「貴女から婚約破棄したらエリーゼ様の好感度は少しは上がるかもしれないわね!」

 1人で謎に盛り上がっているカリーナ様、早くどこかに行ってもらいたい。どうやって逃げようかな…なんて考えていると

 「エリーゼ様はお着替えがございます、今日はこの辺で。」

 とリゼが退室を促してくれた。さすがリゼ!頼りにしかならない!

 「ふん!まあ考えておきなさい。」

 捨て台詞を吐きながら大きなドレスを翻しカツ、カツとカリーナ様はどこかに行った。カリーナ様が部屋から出た瞬間途端に力が抜けてしまい、さっきまで寝ていたのにまた眠くなってしまった。

 「リゼ~、まだ寝ててもいい?」
 「もう…しょうがないですね。」

 そう言ってリゼは睡眠に良いアロマを焚いて部屋から出ていった。こんなにお世話してくれるリゼ。婚約破棄されたらリゼはどうなるんだろうか。実家から来てくれたとはいえ、今では立派な王宮の使用人だ。王宮の方がお給料は高いだろうし、リゼもここの生活の方がいいだろうが私について来て欲しいというのも本音である。

 「起きたら日本人に転生してないかな…」

 そのまま私はまた眠りについたのであった。


 「お嬢様!大変です!」

 リゼの大きな声で目を覚ました。今日は色々騒がしい事がよく起こる。朝起きた時も大変です!って起こしてきたのに一体次はどうしたのやら。

 「どうしたの…って17時じゃない。そんな寝てたんだ。」
 「今はそんな事どうでもいいんです!それより…」

 焦るリゼの声が掻き消されるくらい何やら廊下がざわついている。私の部屋は王宮の奥に位置しているから人が大勢来ることはないはずなのに。そう不思議に思ってるとバンっと扉が強く開かれた。開けた主を見た私は大いに驚いた。

 「ガ、ガロン様…?」
 「・・・」

 そこには昨日会いたくないと言ったガロン様と専属使用人たちがいた。ガロン様は女性が羨むであろう綺麗な黒髪と赤眼がとても美しいが今の私にとってはどんなお化けより恐怖の対象である。

 (私何かした?いや、何かしてしかないけど。え、婚約破棄?ここで?パーティーで別の女の子連れて『俺は彼女と結婚するんだ!』とかでは無いのね。私パジャマだけど大丈夫かな、着替えくらいくれるよね。うん、何とかやっていけそう!)

 なんて呑気に考えながらガロン様の方をただ呆然と見ていた。するとガロン様は急に私のベッドの近くまで来たかと思うと私の顔をじっと見つめてきた。

 「えっと、お話なら別の場所で…」
 「エリーゼ」
 「え」

 今まで無言or話すなしか言ってこなかったガロン様が私の名前を…?婚約破棄する前に名前呼ぶとか良くないよ。別に何も思ってないけどなんか良くないよ。

 「今日も…」
 「きょ、今日も?」
 「今日も美しいな。」
 「・・・ん?」

 今日は皆頭おかしい日なの?
 
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