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記憶でも失ってしまったんですか?
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「エリーゼ。」
そう言ってガロン様は静かに私の頬に手を添えてきた。その手はひんやりと冷たく今にも消えそうなくらい白かった。しかしここにときめくことはなく、むしろ気持ち悪ささえ覚えてしまった。
「ガロン様!落ち着いて下さい!」
ガロン様の使用人に混じり病院の専門服を来た1人のお医者さんが強引にガロン様を離してくれた。正直凄く助かった。下手に触って無礼者!なんて言われたらたまったものではない。
「俺は常に落ち着いている。ただ愛しのエリーゼに会いに来ただけではないか。」
「それが問題なんです!」
「婚約者に会いに行くことの何が問題なのだ?」
「本来は問題ではありませんが、問題なんですよ!」
ガロン様とその使用人達、そしてお医者さんが『エリーゼに会いに行くこと』について言い争っている。普通に考えたら婚約者に会うことは何も悪いことでは無い。むしろ愛し合っているのだなと心温まるハートフルストーリーである。しかし私とガロン様はハートフルストーリーどころかミステリーやサスペンス等の類に近いだろう。月1の会食のみしか顔を合わせない。しかも話しかけたら怒られる。そんな2人に愛なんてあるはずもない。
(最初は愛されてたとかならまだいいけどそもそも愛されてた記憶無いし、政略結婚でもないから使用人達も扱いに困るよね。でも会いに行くことが問題はちょっと面白いかも。)
「エリーゼ様、申し訳ございません。睡眠のお邪魔をしてしまって。」
「いえ、それは大丈夫です。それよりガロン様はどうなさったのですか?」
「ああエリーゼ。俺の名前を呼んでくれるなんて…」
ガロン様は何故か少し泣きそうになりながら微笑んでいる。あ、気持ち悪い。前世では割とさっぱりした恋愛しかしてこなかったせいかラブラブカップルみたいな会話に慣れていないせい。ガロン様が悪い訳では無い。そんなことより本当に急にどうしたんだか。
「ガロン様は出ていってください!」
本当に仕えている使用人か?と疑問に思うほど力ずくでガロン様を私の部屋から追いやった。ナイス使用人。
「エリーゼ様、落ち着いて聞いて下さい。」
「・・・はい。」
さっきから落ち着いているし、皆同じ事を言うし少し展開にも飽きてきた。
(そうだ、ここで少し流れ変えてみようかな。)
「どうしたのですか?もしかして記憶でも失ったんですか?」
「はい。」
「ですよね~…ってえ?」
「何故だかエリーゼ様との記憶だけ失ってしまわれました。」
「いやいや私の名前知ってたじゃないですか。」
「そうなんです。お名前もお顔も性格も覚えてらっしゃるのに何故か会食の事や普段どのように関わっているのかだけ忘れていらっしゃるのです。」
「・・・。」
流石に理解するのに時間がかかりそうな事だけは理解することが出来た。私との思い出…思い出ではないがそれを忘れて何故ああなるのだろう。
そう言ってガロン様は静かに私の頬に手を添えてきた。その手はひんやりと冷たく今にも消えそうなくらい白かった。しかしここにときめくことはなく、むしろ気持ち悪ささえ覚えてしまった。
「ガロン様!落ち着いて下さい!」
ガロン様の使用人に混じり病院の専門服を来た1人のお医者さんが強引にガロン様を離してくれた。正直凄く助かった。下手に触って無礼者!なんて言われたらたまったものではない。
「俺は常に落ち着いている。ただ愛しのエリーゼに会いに来ただけではないか。」
「それが問題なんです!」
「婚約者に会いに行くことの何が問題なのだ?」
「本来は問題ではありませんが、問題なんですよ!」
ガロン様とその使用人達、そしてお医者さんが『エリーゼに会いに行くこと』について言い争っている。普通に考えたら婚約者に会うことは何も悪いことでは無い。むしろ愛し合っているのだなと心温まるハートフルストーリーである。しかし私とガロン様はハートフルストーリーどころかミステリーやサスペンス等の類に近いだろう。月1の会食のみしか顔を合わせない。しかも話しかけたら怒られる。そんな2人に愛なんてあるはずもない。
(最初は愛されてたとかならまだいいけどそもそも愛されてた記憶無いし、政略結婚でもないから使用人達も扱いに困るよね。でも会いに行くことが問題はちょっと面白いかも。)
「エリーゼ様、申し訳ございません。睡眠のお邪魔をしてしまって。」
「いえ、それは大丈夫です。それよりガロン様はどうなさったのですか?」
「ああエリーゼ。俺の名前を呼んでくれるなんて…」
ガロン様は何故か少し泣きそうになりながら微笑んでいる。あ、気持ち悪い。前世では割とさっぱりした恋愛しかしてこなかったせいかラブラブカップルみたいな会話に慣れていないせい。ガロン様が悪い訳では無い。そんなことより本当に急にどうしたんだか。
「ガロン様は出ていってください!」
本当に仕えている使用人か?と疑問に思うほど力ずくでガロン様を私の部屋から追いやった。ナイス使用人。
「エリーゼ様、落ち着いて聞いて下さい。」
「・・・はい。」
さっきから落ち着いているし、皆同じ事を言うし少し展開にも飽きてきた。
(そうだ、ここで少し流れ変えてみようかな。)
「どうしたのですか?もしかして記憶でも失ったんですか?」
「はい。」
「ですよね~…ってえ?」
「何故だかエリーゼ様との記憶だけ失ってしまわれました。」
「いやいや私の名前知ってたじゃないですか。」
「そうなんです。お名前もお顔も性格も覚えてらっしゃるのに何故か会食の事や普段どのように関わっているのかだけ忘れていらっしゃるのです。」
「・・・。」
流石に理解するのに時間がかかりそうな事だけは理解することが出来た。私との思い出…思い出ではないがそれを忘れて何故ああなるのだろう。
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