27 / 33
完璧なはずなのに。
しおりを挟む
「うっ...!」
「あ、起きましたね。」
ガロン様は頭を抱えながらゆっくりと身体を起こした。眉間に皺を寄せて不機嫌そうな表情を浮かべる。その表情は私を嫌っていたものそのものでとても懐かしく、少し背筋が凍ってしまった。
「ガ、ガロン様?」
「ん...?あ、エリーゼ!無事だったか?」
ガロン様は私を見つけると真っ直ぐ私の方へ向かって走ってきた。記憶が戻ったのではないのだろうか?私と何も会話していなかった記憶を思い出して私のことをシカトするのではないのだろうか?もしくは今までも自分の行いを恥じて私に顔向けできないのではないのだろうか?なんで今まで通り私に話しかけて心配してくるのだろう。
「ガロン、お前記憶が戻ってるはずでしょ?そんな猿芝居やめなよ気持ち悪い。」
「貴様が何を言っているのか分らん。俺の記憶は戻っていない。」
「どういうこと...?ウェン様の解毒薬が効かなかったってこと?」
「そんなことはないはずだよ。あの解毒薬は完璧なはずなのに。」
ウェン様は自分の作った解毒薬は完璧らしく効いてないということはないらしい。それにここで嘘をついて記憶が戻っていないことも考えられはするがウェン様にそのメリットがない。じゃあガロン様が本当は記憶が戻っているのに嘘をついている?けれどそれもそれでメリットが全く無い。どうなっているの?
「ガロン、お前本当に...」
ウェン様はおもむろにガロン様の頭に触れようとした。多分ガロン様の頭の中をしっかりと見ようとしているんだろう。それが正確に分かるしいいだろうと思っていると...。
「「「ガロン様!!!」」」
突然ガロン様の部下の方々が乗り込んできた。そしてガロン様に寄り添う回復部隊と思われる人とウェン様を囲う攻撃部隊に分かれた。ガロン様の頭を覗こうとしていたウェン様は必然的に離されてしまい、どちらが嘘をついているのかが分からなくなってしまった。
「お前!ガロン様に何をしようとした!」
「ガロン様!お怪我はありませんか!」
「エリーゼ様もご無事でしょうか?」
ついでとばかりに私も一応の心配を受けた。色々な事がありすぎてぼーっとしている内にウェン様は捕まり、ガロン様と私は保護され、悪魔はいつの間にか消えていなくなっていた。
「エリーゼ、怖くはなかったか?」
「全く怖くなかったですけれど、少し疲れてしまいましたね。」
私たちは迎えに来てもらった馬車に乗せてもらい、ガロン様と久しぶりにゆったりとした空間でお話をした。久しぶりのちゃんとした会話で多少緊張したが今まで通りの雰囲気で話すことを頑張っていた。
「それなら、寝てていいぞ。」
「いやそれは失礼になってしまうので。」
「遠慮するな。」
そう言ってガロン様は私の肩に手を持っていき、私の身体はガロン様の方へ引き寄せられた。
「この体勢が嫌じゃなければこのまま眠っていて構わない。」
「え、そんなこ...と、は。」
ガロン様を支えにして寝るのは恥ずかしさと婚約者として良くないという気持ちがあり断ろうと思った。しかし私の身体は自分が思っている以上に疲れているようで、ガロン様の人肌がとても心地よくて私の睡眠欲をかき立たせた。そして私は抵抗出来ずにまた眠りについたのであった。
「はぁ。本当に可愛い。」
エリーゼが俺に身体を預けて眠っている姿がとても愛おしい。ずっとこのままでいたいという気持ちが沸々と湧いてくる。さらさらの髪の毛はなびく度に良い香りが漂ってきて少しでも油断したら理性に歯止めが利かなくなりそうになる。その無防備な姿を俺の瞳に刻もうと数少ない時間を堪能した。
「それよりもこれからどうしたものか...。」
俺はエリーゼに嘘をついてしまった。それも重い嘘を。
「あ、起きましたね。」
ガロン様は頭を抱えながらゆっくりと身体を起こした。眉間に皺を寄せて不機嫌そうな表情を浮かべる。その表情は私を嫌っていたものそのものでとても懐かしく、少し背筋が凍ってしまった。
「ガ、ガロン様?」
「ん...?あ、エリーゼ!無事だったか?」
ガロン様は私を見つけると真っ直ぐ私の方へ向かって走ってきた。記憶が戻ったのではないのだろうか?私と何も会話していなかった記憶を思い出して私のことをシカトするのではないのだろうか?もしくは今までも自分の行いを恥じて私に顔向けできないのではないのだろうか?なんで今まで通り私に話しかけて心配してくるのだろう。
「ガロン、お前記憶が戻ってるはずでしょ?そんな猿芝居やめなよ気持ち悪い。」
「貴様が何を言っているのか分らん。俺の記憶は戻っていない。」
「どういうこと...?ウェン様の解毒薬が効かなかったってこと?」
「そんなことはないはずだよ。あの解毒薬は完璧なはずなのに。」
ウェン様は自分の作った解毒薬は完璧らしく効いてないということはないらしい。それにここで嘘をついて記憶が戻っていないことも考えられはするがウェン様にそのメリットがない。じゃあガロン様が本当は記憶が戻っているのに嘘をついている?けれどそれもそれでメリットが全く無い。どうなっているの?
「ガロン、お前本当に...」
ウェン様はおもむろにガロン様の頭に触れようとした。多分ガロン様の頭の中をしっかりと見ようとしているんだろう。それが正確に分かるしいいだろうと思っていると...。
「「「ガロン様!!!」」」
突然ガロン様の部下の方々が乗り込んできた。そしてガロン様に寄り添う回復部隊と思われる人とウェン様を囲う攻撃部隊に分かれた。ガロン様の頭を覗こうとしていたウェン様は必然的に離されてしまい、どちらが嘘をついているのかが分からなくなってしまった。
「お前!ガロン様に何をしようとした!」
「ガロン様!お怪我はありませんか!」
「エリーゼ様もご無事でしょうか?」
ついでとばかりに私も一応の心配を受けた。色々な事がありすぎてぼーっとしている内にウェン様は捕まり、ガロン様と私は保護され、悪魔はいつの間にか消えていなくなっていた。
「エリーゼ、怖くはなかったか?」
「全く怖くなかったですけれど、少し疲れてしまいましたね。」
私たちは迎えに来てもらった馬車に乗せてもらい、ガロン様と久しぶりにゆったりとした空間でお話をした。久しぶりのちゃんとした会話で多少緊張したが今まで通りの雰囲気で話すことを頑張っていた。
「それなら、寝てていいぞ。」
「いやそれは失礼になってしまうので。」
「遠慮するな。」
そう言ってガロン様は私の肩に手を持っていき、私の身体はガロン様の方へ引き寄せられた。
「この体勢が嫌じゃなければこのまま眠っていて構わない。」
「え、そんなこ...と、は。」
ガロン様を支えにして寝るのは恥ずかしさと婚約者として良くないという気持ちがあり断ろうと思った。しかし私の身体は自分が思っている以上に疲れているようで、ガロン様の人肌がとても心地よくて私の睡眠欲をかき立たせた。そして私は抵抗出来ずにまた眠りについたのであった。
「はぁ。本当に可愛い。」
エリーゼが俺に身体を預けて眠っている姿がとても愛おしい。ずっとこのままでいたいという気持ちが沸々と湧いてくる。さらさらの髪の毛はなびく度に良い香りが漂ってきて少しでも油断したら理性に歯止めが利かなくなりそうになる。その無防備な姿を俺の瞳に刻もうと数少ない時間を堪能した。
「それよりもこれからどうしたものか...。」
俺はエリーゼに嘘をついてしまった。それも重い嘘を。
13
あなたにおすすめの小説
記憶喪失の私はギルマス(強面)に拾われました【バレンタインSS投下】
かのこkanoko
恋愛
記憶喪失の私が強面のギルドマスターに拾われました。
名前も年齢も住んでた町も覚えてません。
ただ、ギルマスは何だか私のストライクゾーンな気がするんですが。
プロット無しで始める異世界ゆるゆるラブコメになる予定の話です。
小説家になろう様にも公開してます。
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
当て馬令嬢は自由を謳歌したい〜冷酷王子への愛をゴミ箱に捨てて隣国へ脱走したら、なぜか奈落の底まで追いかけられそうです〜
平山和人
恋愛
公爵令嬢エルナは、熱烈に追いかけていた第一王子シオンに冷たくあしらわれ、挙句の果てに「婚約者候補の中で、お前が一番あり得ない」と吐き捨てられた衝撃で前世の記憶を取り戻す。 そこは乙女ゲームの世界で、エルナは婚約者選別会でヒロインに嫌がらせをした末に処刑される悪役令嬢だった。
「死ぬのも王子も、もう真っ平ご免です!」
エルナは即座に婚約者候補を辞退。目立たぬよう、地味な領地でひっそり暮らす準備を始める。しかし、今までエルナを蔑んでいたはずのシオンが、なぜか彼女を執拗に追い回し始め……? 「逃げられると思うなよ。お前を俺の隣以外に置くつもりはない」 「いや、記憶にあるキャラ変が激しすぎませんか!?」
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
「陛下、子種を要求します!」~陛下に離縁され追放される七日の間にかなえたい、わたしのたったひとつの願い事。その五年後……~
ぽんた
恋愛
「七日の後に離縁の上、実質上追放を言い渡す。そのあとは、おまえは王都から連れだされることになる。人質であるおまえを断罪したがる連中がいるのでな。信用のおける者に生活できるだけの金貨を渡し、託している。七日間だ。おまえの国を攻略し、おまえを人質に差し出した父王と母后を処分したわが軍が戻ってくる。そのあと、おまえは命以外のすべてを失うことになる」
その日、わたしは内密に告げられた。小国から人質として嫁いだ親子ほど年齢の離れた国王である夫に。
わたしは決意した。ぜったいに願いをかなえよう。たったひとつの望みを陛下にかなえてもらおう。
そう。わたしには陛下から授かりたいものがある。
陛下から与えてほしいたったひとつのものがある。
この物語は、その五年後のこと。
※ハッピーエンド確約。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる