冷酷王子が記憶喪失になったら溺愛してきたので記憶を戻すことにしました。

八坂

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顔が火照っているが熱でもあるのか?

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 私は目覚めると見慣れた天井が目に入った。どうやらあの後ガロン様が居るにも関わらず寝てしまったようだ。何故だか頬が熱くなって恥ずかしくなってきてしまった。早急に感謝と謝罪をするべきなのだろうが、ガロン様の所へ足を運ぼうと決めても心臓が締め付けられて自分の部屋から出ることを拒んでしまう。今までこんなことなかったのにどうしてなの…。
 そんな事を考えていると部屋のドアが開き、そこには少し不安そうな顔をしていたリゼの姿があった。

 「エリーゼ様!」
 「リゼ!」

 私が起きていることに気付いたリゼは持ってきていたタオルなどを放り投げてまで私に抱きついてきてくれた。

 「エリーゼ様…目が覚めて良かったです…!」
 「え、なんでそんなに重いことになっているの?」
 「それはエリーゼ様が3日も目を覚まさなかったからです。」
 「3日も?!」

 今まで最長でも9時間程度しか寝られない私からしてみたら大記録である。どうしてそこまで寝てしまったんだろうか。きっと普段はガロン様の事なんて考えずに生活していたのにここ数週間で様々なことが起こりすぎて脳みそが疲れていたのだろう。

 「その間、ガロン様は…?」
 「エリーゼ様がガロン様を気にするなんて珍しいですね?」
 「いやだって助けて頂いたし…。」

 起きてからというのも私が私じゃないかのように錯覚してしまうレベルでガロン様のことが気になって仕方なかったのだ。

 「ガロン様は寝てしまったエリーゼ様をお姫様抱っこでここまで運んできて下さってから、毎日数時間毎にエリーゼ様の様子を心配そうに見に来ておられましたよ。」
 「お姫様抱っこに、様子を見に来られてたんだね…恥ずかしい!」

 私は恥ずかしさで頭がいっぱいになり、近くにあった枕に顔をうずくめた。
 ガロン様が溺愛してくるのが嫌で嫌で仕方なくてせっかく解毒薬をやっとの思いで手に入れたのに治らない。薬のせいだと分かっているのに私のことを愛してくれているであろう台詞や行動になんとなく心を許していた私が恥ずかしい。全て薬のせいなのに、どこか本当にガロン様が想ってることなんじゃないのかなって期待してしまっている私や解毒薬が効かないことでまだ優しくして頂けている現状が嬉しいと思ってしまっている私が恥ずかしい。
 そんな気持ちでいっぱいいっぱいになっている所にまた部屋のドアが開く音が聞こえた。私は直ぐに顔を上げようとしたが声が聞こえた瞬間にむしろ枕に顔を強くうずくめてしまった。

 「丁度目が覚めたところです。」
 「そうか、なら良かった。」
 「いえいえ。積もる話もありますでしょうし、私はこれで。」

 リゼはさっさと部屋を出ていってしまった。そして入れ替わるように今1番会いたくない人が私の近くまで来た。

 「目が覚めたようで安心したよエリーゼ。」
 「ご心配を…お掛けして申し訳ないです。」
 「謝罪する必要はないのだが、その気持ちがあるなら顔を上げたらどうだ?」

 そう言ってその声の主は私の顔にそっと両手を添えて優しく顔を上げさせてきた。

 「顔が火照っているが熱でもあるのか?」
 「ガロン様のせいです…。」
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