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追い出した

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 そこから俺は挨拶周りに集中することが出来なかった。あの少女とウェンが知り合いなのか?いつ知り合ったのか?もしウェンと彼女が駆け落ちでもしたらどうしようかと俺は気が気ではなかった。何とか挨拶周りを終えて会場を見渡して見たが2人の姿が見当たらない。俺は額に冷たい汗を浮かべながら必死に探した。しかしやはり会場内には二人の姿がない。もしやと思い俺は外に出てみることにした。
 この屋敷はウェンの一族の屋敷で俺は何度か訪れたことがあるため、ある程度屋敷の構造は把握していた。しかし中々につけることが出来ない。噴水や物置、庭園を俺は走り回った。

 「くそっ!あと思い当たるのは...。」

 ウェンが教えてくれた秘密基地という名のぼろい小屋しかない。本当は真っ先にそこが頭を過ったがもしそこに連れ込んでいるとしたらと考えると身体が震えた。だからほかの所で見つけることが出来たら安心できると思っていたのだがそんな甘い考えは許されないようだ。
 俺は秘密基地へ向かった。その屋根が見えてきた辺りに差し掛かると何やら喋っている声が聞こえてきて俺は咄嗟に木の後ろに隠れた。どうやらウェンとエリーゼのようだった。やはりここに居たのかと怒りと悲しみが同時に襲ってきた。どうにか二人の会話を聞きたかったがどうにも聞き取ることが出来なかった。少し時間が経つと小屋の中からエリーゼと何やらもう一人の女性が出てきた。その女性は何やら意識が朦朧としていた様子でエリーゼは少し青い顔をしていた。俺はそれを見て全身の血が頭を上ったような気がした。エリーゼが屋敷の方へ消えると中からウェンが出てきた。俺は冷静な判断ができるわけもなくウェンの所へ走っていった。
 
 「ウェン...!」
 「あれガロン?挨拶周りは終わったのかい?」
 「お前!!!」

 俺はウェンのけろっとした表情を見て人生で初めて憤怒した。目の前が真っ赤になっていくのを感じながら俺はウェンの胸倉を掴んだ。

 「お前、何やってたんだ!」
 「ん-あの子を夢の世界へ連れて行ったんだ。」
 「は...?」

 こいつは何を言っているのか全く見当もつかなかった。しかしただ事ではないということだけは分かり、掴んでいた手の力を強める。

 「ウェン、あの子に何をしたんだ!」
 「だから僕が夢の世界に連れて行ってあげたよ。」
 「何を言っているんだ?」
 「ガロンには内緒だよ。けど危ないことはしていない。」
 「嘘をつくな、とても顔が真っ青だったぞ!」

 こいつは適当なことを言っているんだ。そうに違いないと俺はウェンを問い詰めたが一向に夢の世界に連れて行ったしか言わなかった。埒が明かずにその日はそれで終わったが、後日お父様に真実と嘘を混ぜながら話し、ヴァーン家をこの国に害を及ぼす一族として国から追い出した。そして堕ちてしまった少女を俺が娶ったのだ。
 
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