異世界で世界を救った後、戻されたのは幕末だった

家族

「玲奈よ。家族に会いたいか？」
「……会いたくないといえば嘘になります」

でも会えない。

「ならば会いに行こう」
「私の家族は未来ですよ」
「神の力を使えば可能ではないか」

え？可能なの？

「知らなかったのか？」
「はい」

念じて可能かどうか聞いてみると可能だと返ってきた。

「私が連れて行ってやる」
「ありがとうございます！」

私は慶喜様と手を繋ぐ。すると景色が一転し懐かしい我が家の前だった。

緊張しながらインターホーンを押した。

暫くすると中からバタバタと音がして、ドアが勢いよく開く。そこには記憶より少しだけ老けたお母さんがいた。

「玲奈！」

私はお母さんにきつく抱き締められた。
その後、暫くするとお母さんは慶喜様を睨みつける。

「あなたですか？うちの玲奈を連れていったのは!?」
「お母さん、違うから！」

私はそう言うもお母さんはなかなか信じてくれない。どうしたらいいのだろうか？

「お母さん、全部話すから家の中に入れて」

そう言って中に入れてもらい、説明をするがお母さんは私が厨二房を患わせてるのかと心配してた。

どうしたら信じてくれると言うの？

「玲奈よ。見せてやればいいではないか？」

そうよ。魔法よ！私はお母さんに魔法の数々を見せた。

「それだけでない。玲奈。そなたが異世界でどのように生きたか見せるのだ」
「どうやって？」

慶喜様は私の頭に手を置いたかと思うと、空中にミニチュアの立体型が現れ、私の経験したことが流れる。

へぇー。神様ってこんなことも出来るのか……。私より慶喜様のほうが神の力を存分に理解して利用できてるわ。

「こんなことが……」

お母さんは口元を抑え、立体のミニチュアに釘付けになっていた。

夕方、お父さんも帰ってきて、同じことをした。

「父上様、母上様、私の時代に共に参りませんか？」
「それは……」
「今の日本は安全ではありません。それに玲奈もご両親にいつでも会いたいでしょう」
「え？日本って安全じゃないの？」
「そうよ。玲奈。台湾有事が発生したわ」

台湾有事……。中国が台湾を攻めたのね。

「いつ第三次世界大戦が始まるか分からないのだ。既に始まってるという声もある」
「それなら、お父さん、お母さん、私と一緒に行こうよ！」

お父さんは暫く考えたあと頷く。

「だが、ひと月待って欲しい。今の仕事を引き継がないと行けないし、家だって処分したりしないといけない」

ひと月後にまた来ると約束して、私たちは帰った。

そのひと月後、お父さんたちを迎えに来た。キャリーケース数台を持ったお父さんたちを連れていく。

両親にはとりあえず、地下都市の豪華な一軒家を用意した。

「こんな良い部屋いいのか？」
「父上様にはやってほしいこともありますし」
「やってほしいこととは？」
「こちらです」

慶喜様が何かお父さんに渡した。渡されたのは分厚い書類。お父さんは中を確認する。

「私に会社を作れということだな」
「はい。今の日本に、未来の日本に必要な会社です」
「まぁ、これらを売れば作れないこともないか」

そう言ってお父さんはゴールドを見せた。家を売ったお金などを金に変えたようだ。

「資金の援助は致します」
「何、婿殿の世話になるのには申し訳がない」
「いえいえ、私がお願いしたことですから、力添えさせていただきたい」
「そうか？それならばよろしく頼む」

お父さんと慶喜様は固く握手をした。