【完結】未来から来た私がもたらしたもの

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私は再び、壬生浪士組の屯所に来ていた。

正面に近藤勇、土方歳三、山南敬助が座り、私の横に一さんがいる。

「すまなかった」

近藤勇が私に頭を勢いよく下げた。その事に面を食う。

「あ、あの。頭を上げてください」
「君のような若い娘に非情なことをさせようしたことは許されたことではない」

私も嫌だと言わなかったし、そもそもその方面に向かわせてしまったのは私の発言のせいでもある。全てが土方歳三が悪いわけではない。

私はそのことを近藤勇に伝えた。

「どんな経緯があろうとも、武士たるもの女子を使ってまでのし上がろうとすることは間違ってる。そのようなことでのし上がっても誠の武士とは言えぬ」

その言葉に土方歳三は気まずそうに視線を逸らす。

その後、私の処遇の話になった。

私と一さんの婚姻は認めてくれると。だけど、私が未来人ということで屯所で過ごすことになった。私が長州側の手に陥っては窮地になるということで。住み込みの女中という名目をもらった。

それから何と将軍様が私に会いたいとのこと。作法を習ってから会う段取りをつけると。どうやら未来起きることは土方歳三から近藤勇にそして松平容保から徳川家茂に渡ったとのこと。最初はすまふぉだけ落ちていたと説明したが、私の存在を知った近藤勇が真実を告げた。

「一くんと一緒の部屋はいいけど閨事は出会茶屋でしてくださいね~。天女さんのあの時の声は刺激が強すぎますので~」

沖田総司が部屋に入ってきた。

「総司!お前盗み聞きしていやがったな!」
「やだな~。部屋の前にいたら聞こえただけでですよ~。盗み聞きではないです~」

沖田総司と一さんの部屋は隣合ってるとのことで初めでした時、声が丸聞こえだったみたいだ。恥ずかしいし申し訳もなく思う。

こうして私の処遇が決まった。

早速、夕食作りから始めようとしたが、火のつけから分からず困ってしまった。今日の当番の人から教わりながら、料理する。

「麗奈さん、変わってますね。火のつけ方が分からないのに包丁の扱い方や料理の仕方が分かるなんて」

基礎は分からないのに応用は出来るって不思議に思うよね。でも未来ではもっと楽だから。ボタンひとつで何でも出来る。

「さて、皆、聞いてくれ。今日から女中をしてくれる麗奈君だ。彼女は斎藤君の妻でもある」

この時代、女性には姓はないので下の名前で呼ばれる。

「斎藤、お前いつの間にこんな美女と知り合ったんだよ!」
「俺たちに紹介しないで結婚なんてつれないなぁ」
「そうそう。って左之さん、俺のオカズー!」

永倉新八、原田左之助、藤堂平助がじゃれながらご飯を食べてる。

「斎藤、お前の妻を一晩貸せ」
「お断りします」

芹沢鴨の言葉に一さんは即座に断った。その事に芹沢鴨は怒ることなく、そうかと言いながら豪快に笑う。だけど、芹沢鴨の隣にいた新見錦はこちらを睨みつけていた。

私はそれらは知らないフリして、一さんの隣で大人しく食事をとる。

食後の洗い物をしてると、一さんが手伝いに来てくれた。そのあと風呂に入り、髪を乾かす。ドライヤーがあればな。タオルドライだけでは時間がかかる。

「いい匂いだな」

一さんが私の髪をひと房とり匂いを嗅ぐ。

「自家製のシャンプーとリンス作りましたの」

遊郭にいた時、この時代にはシャンプーもリンスもないことに絶望して作った。この作成方法は遊郭の姉さん方にも伝授した。

そのまま一さんに押し倒される。

「一さん、閨事は出会茶屋でと……」
「俺は承諾してない。それに、麗奈が声を抑えればよい」

無理だから。他の人となら出来るよ?でも一さんとは無理。自分で自分が分からなくなるのだから。そんな私の意見はサラッと無視され貪られた。

翌日、沖田総司から恨み言があった。私は申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、一さんはシレッとしてる。

婚姻の祝いに数日、非番になったということで街に買い物に行く。

一さんは私の着物やら小物を購入する。

「一さん、こんなに沢山は……」
「美しい妻を着飾せたいと思う男心だ」

美しい妻。その言葉に顔が熱くなる。演技で赤くさせることは出来るけど、素で赤くなるなんて初めてかもしれない。素のためどうやって落ち着かせればいいのかも分からなかった。

「麗奈ほどの美貌だ。褒められることなど常であろう?それなのに、赤くなるなんて可愛いな」

可愛い。

更に顔が熱くなり、俯く。その私の頬に一さんは手をあて顔を上げさせた。

「心を寄せてる殿方に言われれば、こうなります」
「そうか」

一さんは嬉しそうに微笑む。その顔を見て、ずっと笑っていてほしいと思った。

「一さんの誕生日はいつですか?」

話を逸らすため話題を変える。

「誕生日?」
「はい」
「それは何だ?」
「え?生まれた日……」
「そのようなものは覚えてない」
「いつ歳を重ねるのです?」
「元旦に皆で歳を重ねるのだろう?違うのか?」

この時代は数えなのか。となると、私は19歳になるのかな?

「私がいた時代は生まれた日に歳を重ねるのです」
「つまり、麗奈は自分の誕生日を知ってるのか?」
「はい」
「いつだ?」
「6月12日です」

一さんは覚えておこうと言った。

一さんの非番が終わり、私も女中の仕事をする。私の非番は一さんと一緒という配慮をしてもらった。

朝から洗濯をしてるが、ボタンひとつで乾燥までしてくれる洗濯機が欲しい。手で擦るだけでは汚れが落ちないので木の棍棒で叩いて汚れを落とす。洗剤も作った。

「天女さんは洗濯も上手ですね~」
「沖田さん」
「手伝いますよ~」
「そんな申し訳ないです」
「気にしないでください~。お礼は甘味でいいですよ~」

礼を求めてくる沖田総司におかしくて、クスクスと笑ってしまう。

「沖田さん、私のことは天女ではなく麗奈と呼んでくださいね」
「ええ~。天女のように美しいから無理です~」

天女様のほうがもっと美しいですよと答えれば見たことあるの?と聞かれてしまった。

そんな日々を送ってたら将軍様に会うために大阪に行く日になった。近藤勇、芹沢鴨、一さん、私の4人で向かう。何故、芹沢鴨も一緒なのかは分からないが。

「芹沢局長は何故一緒なの?」
「目当ての芸妓に会うためだ」

大阪にいるお気に入りの芸妓に会うためにいるとのこと。大阪に行ったら別行動みたいだ。

大阪に着いて一泊したあと、将軍様に会うために大阪城に行く。

通された部屋で待ってると足音がした。近藤勇、一さんが頭を下げたので私も同じようにする。

「面を上げよ」

ゆっくりと顔を上げた。将軍様は私を見ていたのか目が合う。そっと視線を下にした。

「直答を許す。そなたが未来からやってきたという者か?」
「左様にございます」
「未来の日本はどうだ?」
「献上したスマフォに記載されてる通りです。日本は平和な国となっております。それが良いのか悪いのかは別としまして」
「悪いこともあると?」
「大和魂がなくなりました」

未来の日本では政治に興味を持ってる人はほとんどいない。

「第二次世界大戦とやらに負けたからか」
「それ以前ゆえかと思います」
「それは?」
「江戸幕府がなくなり長州薩摩が政治を行った故、日本の歴史が歪められたからかと思います。現在、幕府は外国勢と対等に交渉を行っております。しかし、明治後期に結び直した条約により、外国のものは安く、日本のものは高く売れないという事態に陥り、また幕末のこともきちんと伝わっておりません」

歴史は勝者が作るもの。それによってこの幕末も長州薩摩のいいようになってる。

「そなたは幕府が続くことが良い事だと思っておるのか?」
「分かりません。ただ、分かることは幕府対倒幕派は外国勢の思うつぼ、利益は外国勢にありということです」

西欧諸国は幕府が勝とうが長州薩摩が勝とうがどちらでもいいのだ。己たちの武器が売れるのであれば。

「しかし、異国から武器を輸入しなければ倒幕派に負ける」
「はい。その上で魔改造すればいいのです。日本人は魔改造に優れております」

更に研究を進めて優れた武器を作ればいいのだと将軍様に伝えた。

「これは、そなたの武器か?」

そう言って出されたのは、私が飛び降りた時に持っていた箱。狙撃銃の入った箱だった。まさか、この箱も一緒に来ていたとは。私は頷き、中身を取り出し組み立てた。

「これを研究してもらっても構いません」
「そなたは余の命の恩人のうえ、更に功まで立てるのか」

恩人?私何かしたかしら?私が首を傾げてると、脚気が治ったとのこと。それは私のスマフォのおかげだということを言った。

「これは、そなたのであろう。そなたに返す」

スマフォを渡された。

「実はまだスマフォはあるので、公方様が持っていてください」
「まだあるのか?」
「はい」

そう言ってスマフォを出した。更にスマフォの使い方やら、何やらを教えた。そうしたら将軍様とライン友になることに。しかし充電は減らないし、電波も通らないのにネットは繋がる不思議な現象だ。だけど、これは役に立つ。

私はスマフォと狙撃銃代として500両もらった。更に年間100両、生涯に渡って支給されるとのこと。

それは将軍様が脚気を治したところスマフォの中の歴史も変わったみたいなのだ。この先も行いによっては未来が分かるということは大きいこと。それを献上した私の功績は天にも昇るとされた。
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