21 / 23
間章 I
戦闘訓練
しおりを挟む勿論、数時間も経って、1人も倒せておりません。
しかも、連携を取って、最小限の動きで回避してくるせいか、俺しか疲れていない。
「もう終わりか?男のくせに情けない」
「フェル様なら既に全員に攻撃を当てていたぞ」
この2人を除いて。
アルマーとピムスは周りの動きとは異なり、自由奔放に動いている。
それが逆に功を奏しているかの様に俺はこの2人に掻き乱されている。
「くそ……いい加減大人しくしとけ」
俺は衝撃波を少し動きがズレたピムスを見逃さずに、狙う。
しかし、まだまだ余裕のあるアルマーが、ピムスを抱き抱えて同時に逃げる。
「危ないぞ、ピム」
「ありがとうございます」
駄目だ、このままでは一生終わらん。
殺されてはいないが、飢えで先にくたばっちまう。
6人は余裕があるから、交代でご飯の休憩をしている。
勿論そいつにも攻撃は当たらない。
今までの動きが全部通用してない。
(やり方が悪いんだ、まずは司令塔からだ
ハイン、おそらく彼女の本職は回復役なら動きはそこまで早く無いはず!)
俺はこの数時間をただひたすらに攻撃し続けていたわけでは無い。
ちゃんと観察はして、どこから崩していくのか、そしてどうすればいいのか考えた結果がこれだった。
俺は誰もが見える攻撃を、当たり前の様に空にいるカインに撃つ。
当然躱されるのも想定内。
急激にハインに追尾するかの様に軌道が変わる。
それと同時に見える攻撃と、第3の矢として、時差で見えない攻撃、おまけに魔法で短剣を持った俺!
四段攻撃で確実に司令塔を叩く!
「狙いは良い、けどその程度で終わりなら駄目」
遂に最後の1人が動いた。
剣と盾で、俺の第二の矢を防いできた。
第一の矢は普通に避けられた。
「防御魔法は反則だろ?」
「ふん、それを本当の戦場でも言うのか?情け無い…
全方位防御じゃ無いんだ、もっと考えろ」
その通りだ!
まだ俺には第四の矢がある。
最初はハインを狙う予定だったけど、気付かれてるみたいだし変更だ。
これなら確実に当たる!
「セシリア!避けて」
ハインの指示は少し遅れた。
そして、本人も気付くのが少し遅かった。
剣で何とか斬るも俺の攻撃の数を全て斬るのは到底、出来なかった。
「ヒット…だな」
「そうね、少しはやるじゃない」
セシリアを倒した。
恐らくだが、かなり面倒そうなのを割と早めに落とす事ができた。
夜になる前に倒せて良かった。
夜は一時休戦となり、俺以外にまとまった食事の時間が取られる。
回復される前に1人取れたのは大きい。
さらに、1人取れたのには他にも影響が出ていた。
(もしかして、連携が少し悪いか)
さっきよりも、惜しい攻撃が何度も起きている。
実際には当てられてはいないが、格段に迫って来ている。
恐らく、セシリアはかなりの実力者だったのだろう。
それを落としたことによって、体力的にも精神的にも俺の実力を理解して来たのだろう。
「そろそろ、私も本気、出させて貰います」
舐めてかかれるほどの相手では無いことに、気付いてきた。
さっきまで上空で全く動かなかったカインも遂に動き出した。
「思ったより強いじゃん」
「男を舐められたもんだ
今日中に終わらせてやるぞ」
もう夜になっている残り時間的にも全員は無理な事は分かっていた。それでも自分を奮い立たせる為に、あえて大きな声で宣言する様に喋る。
「ふっ、まずは私を倒すことね!」
そう言って俺をピムスが挑発する。
それに勿論なる俺だが、ただ乗るだけでは無い。作戦を何重にも巡らせて攻撃を組み立てる。
さっきの様な全方向攻撃でやっと1人落とせたが、セシリアは自分に絶対的な自信を持っていたから、避けずに受け切ろうとしたおかげで倒すことはできたが、次はそうはいかない。
ピムス、そしてアルマーは防御をあまりしない、父みたいな立ち回りをしている。
速度は父に数段も劣るが、普通に女性だと考えるならとても速い。
てか、ハンターは男性が多いはずなんだが、最近の風潮では女性も増えているのか。
「遅いぞ、男のくせにそれで終わりか」
その言葉に俺は不敵な笑いをする
「何……確かに速いけど、遊びにそこまでは付き合ってられないよ、時間もないしね」
「だから、どうするって言うの?」
「俺は動かない、俺の攻撃はお前より速いぞ」
そう言って、俺はルイスの様に指で銃の構えをして、今回は見えなくするのに集中するのではなく、速度に重点を置いた攻撃。
あまり練習はしていないが、どうせ小さくするよりは簡単だろと甘く見ている。
「んなっ……」
ピムスはせっかく遊んでくれると思っていたのか、ちょっと驚いた表情に少しの苛立ちが見える。
それに、この攻撃は避けられないと察知したのか。
両方とも違った。
「……ピムス」
カインが地上に降り立ち、俺の攻撃を消した。
そして、ピムスに向かって鋭い視線を飛ばす、すると、ピムスの背筋は震え上がりピシッとなる。
(おいおいまじか、それ使われると俺無理ゲーじゃんかよ
てか普通に使えるやついるのかよ……)
「申し訳ありません、私とした事が…ルイス様にこの魔法は禁じられていましたのについ使ってしまって……
ペナルティとして私かピムスどちらかを退場させて下さい」
願ってもないラッキーが舞い降りて来た。
どっちもとはいかないが、狙っても無いリーダーを強制的に退場できるチャンスが来た。
普通に考えればカインを選ぶ。
どれをとってもピムスがカインに勝るものが無い。
(でも、考えればこれはルイスが企画してるわけだし、この結果もルイスに伝えられるんだよな……それだと逃げ、とか甘えだとか言われて面倒くさそう
逆に実践を想定するなら、強い敵が落とせるなら落とすのが基本、逃すと言うのはあり得ないと言う考えもある)
俺は二択の選択肢に悩まされて、時間的に今日はこの選択をしたところで終わる事が確定した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで
六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。
乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。
ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。
有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。
前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。
異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
農家の四男に転生したルイ。
そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。
農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。
十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。
家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。
ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる!
見切り発車。不定期更新。
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる