【第1章完】攻撃力・防御力1の俺でも、もしかしたら魔王を倒せるかもしれない。〜理不尽な世界で俺は生きていく〜

霜月優

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間章 I

戦闘訓練

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 勿論、数時間も経って、1人も倒せておりません。
 しかも、連携を取って、最小限の動きで回避してくるせいか、俺しか疲れていない。

「もう終わりか?男のくせに情けない」
「フェル様なら既に全員に攻撃を当てていたぞ」

 この2人を除いて。
 アルマーとピムスは周りの動きとは異なり、自由奔放に動いている。
 それが逆に功を奏しているかの様に俺はこの2人に掻き乱されている。

「くそ……いい加減大人しくしとけ」

 俺は衝撃波を少し動きがズレたピムスを見逃さずに、狙う。
 しかし、まだまだ余裕のあるアルマーが、ピムスを抱き抱えて同時に逃げる。

「危ないぞ、ピム」
「ありがとうございます」

 駄目だ、このままでは一生終わらん。
 殺されてはいないが、飢えで先にくたばっちまう。
 6人は余裕があるから、交代でご飯の休憩をしている。
 勿論そいつにも攻撃は当たらない。
 
 今までの動きが全部通用してない。

(やり方が悪いんだ、まずは司令塔からだ
 ハイン、おそらく彼女の本職は回復役ヒーラーなら動きはそこまで早く無いはず!)

 俺はこの数時間をただひたすらに攻撃し続けていたわけでは無い。
 ちゃんと観察はして、どこから崩していくのか、そしてどうすればいいのか考えた結果がこれだった。

 俺は誰もが見える攻撃を、当たり前の様に空にいるカインに撃つ。
 当然躱されるのも想定内。
 急激にハインに追尾するかの様に軌道が変わる。
 それと同時に見える攻撃と、第3の矢として、時差で見えない攻撃、おまけに魔法で短剣を持った俺!
 四段攻撃で確実に司令塔を叩く!

「狙いは良い、けどその程度で終わりなら駄目」

 遂に最後の1人が動いた。
 剣と盾で、俺の第二の矢を防いできた。
 第一の矢は普通に避けられた。

防御魔法シールドは反則だろ?」
「ふん、それを本当の戦場でも言うのか?情け無い…
 全方位防御フルシールドじゃ無いんだ、もっと考えろ」

 その通りだ!
 まだ俺には第四の矢がある。
 最初はハインを狙う予定だったけど、気付かれてるみたいだし変更だ。

 これなら確実に当たる!

「セシリア!避けて」

 ハインの指示は少し遅れた。
 そして、本人も気付くのが少し遅かった。
 剣で何とか斬るも俺の攻撃の数を全て斬るのは到底、出来なかった。

「ヒット…だな」
「そうね、少しはやるじゃない」

 セシリアを倒した。
 恐らくだが、かなり面倒そうなのを割と早めに落とす事ができた。
 夜になる前に倒せて良かった。
 夜は一時休戦となり、俺以外にまとまった食事の時間が取られる。
 回復される前に1人取れたのは大きい。
 さらに、1人取れたのには他にも影響が出ていた。
 
(もしかして、連携が少し悪いか)

 さっきよりも、惜しい攻撃が何度も起きている。
 実際には当てられてはいないが、格段に迫って来ている。
 恐らく、セシリアはかなりの実力者だったのだろう。
 それを落としたことによって、体力的にも精神的にも俺の実力を理解して来たのだろう。

「そろそろ、私も本気、出させて貰います」
 舐めてかかれるほどの相手では無いことに、気付いてきた。

 さっきまで上空で全く動かなかったカインも遂に動き出した。

「思ったより強いじゃん」
「男を舐められたもんだ
 今日中に終わらせてやるぞ」

 もう夜になっている残り時間的にも全員は無理な事は分かっていた。それでも自分を奮い立たせる為に、あえて大きな声で宣言する様に喋る。

「ふっ、まずは私を倒すことね!」

 そう言って俺をピムスが挑発する。
 それに勿論なる俺だが、ただ乗るだけでは無い。作戦を何重にも巡らせて攻撃を組み立てる。
 さっきの様な全方向攻撃でやっと1人落とせたが、セシリアは自分に絶対的な自信を持っていたから、避けずに受け切ろうとしたおかげで倒すことはできたが、次はそうはいかない。

 ピムス、そしてアルマーは防御をあまりしない、父みたいな立ち回りをしている。
 速度は父に数段も劣るが、普通に女性だと考えるならとても速い。
 てか、ハンターは男性が多いはずなんだが、最近の風潮では女性も増えているのか。

「遅いぞ、男のくせにそれで終わりか」

 その言葉に俺は不敵な笑いをする

「何……確かに速いけど、遊びにそこまでは付き合ってられないよ、時間もないしね」
「だから、どうするって言うの?」
「俺は動かない、俺の攻撃はお前より速いぞ」

 そう言って、俺はルイスの様に指で銃の構えをして、今回は見えなくするのに集中するのではなく、速度に重点を置いた攻撃。
 あまり練習はしていないが、どうせ小さくするよりは簡単だろと甘く見ている。

「んなっ……」

 ピムスはせっかく遊んでくれると思っていたのか、ちょっと驚いた表情に少しの苛立ちが見える。
 それに、この攻撃は避けられないと察知したのか。
 

 両方とも違った。

「……ピムス」

 カインが地上に降り立ち、俺の攻撃を消した。
 そして、ピムスに向かって鋭い視線を飛ばす、すると、ピムスの背筋は震え上がりピシッとなる。
 
(おいおいまじか、それ使われると俺無理ゲーじゃんかよ
 てか普通に使えるやついるのかよ……)

「申し訳ありません、私とした事が…ルイス様にこの魔法は禁じられていましたのについ使ってしまって……
 ペナルティとして私かピムスどちらかを退場させて下さい」

 願ってもないラッキーが舞い降りて来た。
 どっちもとはいかないが、狙っても無いリーダーを強制的に退場できるチャンスが来た。
 普通に考えればカインを選ぶ。
 どれをとってもピムスがカインに勝るものが無い。

(でも、考えればこれはルイスが企画してるわけだし、この結果もルイスに伝えられるんだよな……それだと逃げ、とか甘えだとか言われて面倒くさそう
 逆に実践を想定するなら、強い敵が落とせるなら落とすのが基本、逃すと言うのはあり得ないと言う考えもある)

 俺は二択の選択肢に悩まされて、時間的に今日はこの選択をしたところで終わる事が確定した。
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