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第51話 エルフの里と世界樹2
しおりを挟む風を切ってリルが走る。
目前に迫る木々を器用にかわしながら速度は落ちない。
木々の密度が高くなってくると飛び上がって木々の上を走る。
たちまち大森林の外縁を越えて奥深くへと入っていく。
わしが魔力を放つまでもなくフェンリルを襲おうとする魔獣も魔物もいない。
皆リルに道を譲る様に避けて行く。
急にリルが立ち止まる。
女性らしい二人が決死の覚悟と言った表情で両手を広げてリルの行く先を遮っている。
一人は弓を構えている。
「この先は我らの里じゃ、何用じゃ。」
声が震えている。
リルが怖いんじゃろ。
わしはリルから降りて二人に近づく。
「待て、近づくな。」
と言いながら、何かに気がついた様に一人が近づいてくる。
おお、エルフだ本当に耳がとがっている。
そしてとても整った顔立ちをしている。美人さんじゃ。
「パパだ。パパの匂いがする。」
いや、どう見てもお前の方が年上じゃろう。
むしろわしの方がママと呼びたいぐらいじゃ。
それを聞いてもう一人も近づいてくる。
「おじいちゃんなの?」
いやいや、確かに中味はじじいじゃが小さな子供相手におかしいだろうが。
するとさらに森の奥からゾロゾロと美形のお姉さんやお兄さんが出て来る。
「勇者が帰ってきた。」
「勇者ユウトが里に帰って来た。」
と口々に言う。
どいつもこいつも匂い匂いって勇者の匂いってなんなんじゃ。
そんなに匂うのか?
わしらは彼らに伴われてさらに森の奥のエルフの里に入った。
こやつらはある程度育つと老化せんらしい。
羨ましいのう。
しかも超長生きする。
という事は勇者のパーティメンバーだったティルーンもまだ生きとるんか?
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