61 / 117
第61話 カニツアー4
しおりを挟む
ホビエの港街に着いたのだが、なんだか妙に静かだ。
旅館に着くとここも閑散とした感じ、まだカニシーズンには早すぎたのか?
旅館の店主が出て来て言う。
「せっかく来て頂いて申し訳ないのですが今はカニ料理は出来ません。」
「カニが入手出来ないんです。魚やエビなどの料理でしたらご用意できますがよろしいでしょうか。」
せっかく来たのだしそれはそれでいいか、港街だし海鮮物は美味しいだろうし。
少し旅館で落ち着いたら、街を散策に出かける。
お店などは開けているが人通りが少なく活気がない。
「カニもとれんし、お客さんも来ないし、今年はダメだな。」
とお土産物屋の店主が言う。
街のすぐ近くにある漁港に行くと漁師達が網の修繕をしながらここでも
「今年はダメだ。」
と口々にぼやいている。
漁港のそばの砂浜に立ってマップを広げて見る。
「魚はいる、カニはもっと深い所かな?」と探知のチャネルを変えて行くとなんかでかいものがおる。
リルが鼻をくんくんさせて「アサンー。」と叫ぶ。
ムートも同じように匂いを嗅ぐとリルと同じように「アサンー。」と海に呼びかける。
と、海の遠くの方で何かがちょこんと頭を出した。
はっとした様子を見せるとぐんぐん近づいてくる。
途中から海上に飛び上がって全身を見せる。
美しい水色の透明な羽根を広げる。
しかし、やはりでかいのう。
周囲に人がいないからいいものの間近で見たらパニックじゃ。
ムートとリルが手を振っている。
こいつが勇者の第3のペット、リバイアサンか。
もうネタバレじゃ。
こいつも人化した。
細かなドレープの入った水色のワンピースを着ておってお淑やかな雰囲気の超ナイスなお姉さんじゃ。
「久しぶりー。」とか言っておる。
なんでこんなところにおるんじゃいなどと思っていると。
「カニ食べてたー。」とか言いおる。
お前のせいか。
3人?3匹?で旧交を温めておったかと思うと急に何かに気がついたのかわしを見る。
ムートが「ご主人様だよ。ちっちゃいけどー。」と言う。
お前までちっちゃいって言うんかい。
リバイアサンはわしを抱き上げるとくんくん匂いを嗅ぐ。
「本当だ、ご主人様だ。」と言うとわしの手を持ったままぐるぐる回って。
「やっと会えたー。」
と言って涙目になっている。
「目が回るわい。」と言うと。
「あっ、と言って手を離す。」
お前もかー。
遠心力で存分に速度の乗ったわしがピューンと沖に飛んで行く。
まあ海なので壊れるものはないから問題ない。
わしはくるくると回転して海面に着水する。
重力が操れるのだからこのくらいは出来るのじゃ。
バッシャーンとアサンが飛び込んでくる。
ザブーンと水を頭からかぶってしまう。
びしょびしょのままアサンが抱きついてくるものだからわしもずぶ濡れじゃ。
かっこいい着水がだいなしじゃ。
「ごめんね、ご主人様。」
とアサンが目をうるうるさせる。
お前もか。
旅館に着くとここも閑散とした感じ、まだカニシーズンには早すぎたのか?
旅館の店主が出て来て言う。
「せっかく来て頂いて申し訳ないのですが今はカニ料理は出来ません。」
「カニが入手出来ないんです。魚やエビなどの料理でしたらご用意できますがよろしいでしょうか。」
せっかく来たのだしそれはそれでいいか、港街だし海鮮物は美味しいだろうし。
少し旅館で落ち着いたら、街を散策に出かける。
お店などは開けているが人通りが少なく活気がない。
「カニもとれんし、お客さんも来ないし、今年はダメだな。」
とお土産物屋の店主が言う。
街のすぐ近くにある漁港に行くと漁師達が網の修繕をしながらここでも
「今年はダメだ。」
と口々にぼやいている。
漁港のそばの砂浜に立ってマップを広げて見る。
「魚はいる、カニはもっと深い所かな?」と探知のチャネルを変えて行くとなんかでかいものがおる。
リルが鼻をくんくんさせて「アサンー。」と叫ぶ。
ムートも同じように匂いを嗅ぐとリルと同じように「アサンー。」と海に呼びかける。
と、海の遠くの方で何かがちょこんと頭を出した。
はっとした様子を見せるとぐんぐん近づいてくる。
途中から海上に飛び上がって全身を見せる。
美しい水色の透明な羽根を広げる。
しかし、やはりでかいのう。
周囲に人がいないからいいものの間近で見たらパニックじゃ。
ムートとリルが手を振っている。
こいつが勇者の第3のペット、リバイアサンか。
もうネタバレじゃ。
こいつも人化した。
細かなドレープの入った水色のワンピースを着ておってお淑やかな雰囲気の超ナイスなお姉さんじゃ。
「久しぶりー。」とか言っておる。
なんでこんなところにおるんじゃいなどと思っていると。
「カニ食べてたー。」とか言いおる。
お前のせいか。
3人?3匹?で旧交を温めておったかと思うと急に何かに気がついたのかわしを見る。
ムートが「ご主人様だよ。ちっちゃいけどー。」と言う。
お前までちっちゃいって言うんかい。
リバイアサンはわしを抱き上げるとくんくん匂いを嗅ぐ。
「本当だ、ご主人様だ。」と言うとわしの手を持ったままぐるぐる回って。
「やっと会えたー。」
と言って涙目になっている。
「目が回るわい。」と言うと。
「あっ、と言って手を離す。」
お前もかー。
遠心力で存分に速度の乗ったわしがピューンと沖に飛んで行く。
まあ海なので壊れるものはないから問題ない。
わしはくるくると回転して海面に着水する。
重力が操れるのだからこのくらいは出来るのじゃ。
バッシャーンとアサンが飛び込んでくる。
ザブーンと水を頭からかぶってしまう。
びしょびしょのままアサンが抱きついてくるものだからわしもずぶ濡れじゃ。
かっこいい着水がだいなしじゃ。
「ごめんね、ご主人様。」
とアサンが目をうるうるさせる。
お前もか。
10
あなたにおすすめの小説
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~
シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。
前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。
その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
序盤でざまぁされる人望ゼロの無能リーダーに転生したので隠れチート主人公を追放せず可愛がったら、なぜか俺の方が英雄扱いされるようになっていた
砂礫レキ
ファンタジー
35歳独身社会人の灰村タクミ。
彼は実家の母から学生時代夢中で書いていた小説をゴミとして燃やしたと電話で告げられる。
そして落ち込んでいる所を通り魔に襲われ死亡した。
死の間際思い出したタクミの夢、それは「自分の書いた物語の主人公になる」ことだった。
その願いが叶ったのか目覚めたタクミは見覚えのあるファンタジー世界の中にいた。
しかし望んでいた主人公「クロノ・ナイトレイ」の姿ではなく、
主人公を追放し序盤で惨めに死ぬ冒険者パーティーの無能リーダー「アルヴァ・グレイブラッド」として。
自尊心が地の底まで落ちているタクミがチート主人公であるクロノに嫉妬する筈もなく、
寧ろ無能と見下されているクロノの実力を周囲に伝え先輩冒険者として支え始める。
結果、アルヴァを粗野で無能なリーダーだと見下していたパーティーメンバーや、
自警団、街の住民たちの視線が変わり始めて……?
更新は昼頃になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる