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第64話 カニツアー7
しおりを挟む真っ白な砂浜に透明な海、波もなく静かだ。
足跡がいくつかついているが沖に停泊している船の乗員が先に上陸したのだろう。
わしは砂浜にテーブルや椅子をインベントリから出してならべる。
作り置きしていたカレーライスを出す。
「カレーだ、勇者カレー美味しいんだ。」
ムートがそう言って真っ先に椅子に座る。
このカレーそんな名前ついてたんか。
皆もムートに続いて椅子に座り昼食とした。
「静かね。」
レティシアが言う。
「あの船の人はここで何をしているのかしら。」
島の外側は切り立った岩壁で船がとりつく所もない。
入り口は洞窟があるだけなのでマップがなければわしもここに上陸しようとは思わなかった。
内側も同じようなもので周囲は切り立った岩壁に洞窟がいくつかあるだけでまだ人の手が入っていない様に見える。
洞窟の一つから3人の男達が出て来る。
「えっ、なんでこの島に人がいるの。」
と商人風の若い男が言う。
文官風のヒョロリと背の高い男が「ここはあまり知られていないリゾートスポットなんですけどね。」と続ける。
もう一人は技術者か魔法師っぽい。
少し怯えている。
多分この人は魔力の感受性が高いのでわしの押さえ込まれている魔力を感じているのだろう。
「こ、この人達ならここに来てもおかしくないと思います。」
と普通なら納得できないような説明を二人にし始める。
魔法師ならそう考えるよね。
文官風の人の胸にはどんぶりに箸をクロスさせた紋章の入ったバッチをつけている。
帝国の紋章によく似ているけどあれは鎧のマスクに剣をクロスさせていたからだいぶ違うか。
「わしらは休憩に立ち寄っただけだから気にしないで仕事を続けてくださいね。」
と言う。
「あなた達はここで何をしているの。」
とレティシアは言う。
この海域は王国に近いので王国の貴族の娘としては気になるのかな。
相手が貴族とわかったので商人風の若い男は説明を始める。
「私は王国に認定を受けた商人でトラムと申します。」
「ここにリゾートホテルを建てようと考えています。」
「あちらはコスタドガル帝国の転移管理官のジナルトン様と魔法技術師のデルバート様です。」
「ここはアクセスが良くないので転移陣を設置しようとしているのです。」
「帝国と王国の商人が手を組んでリゾート開発?いつの間にそんな事が出来るようになったのかしら?」
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