皇后はじめました(笑)

ルナ

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芍薬

あ、落ちた

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「需要の無いマスコットめぇ‥‥また、定時前に帰りやがって!」
 需要の無いマスコットとは、自分の上司なのだが「俺には家庭がある。」といって、すぐ家に帰り、部下である私達がいつも遅くまで働かさられ、しまいにはグチグチと文句を言うとんでもない上司である。あまりにも仕事をしないせいで、ぬりかべ、なめくじ、需要の無いマスコットと呼ばれている。
「家庭があるって、私にもあるわ!!」
ガンっと地面を蹴る。子供はいないものの、私には妹が3人いる。3年前に両親が他界し4姉妹で頑張って生きているのだ。
「あのハゲェ、たまには定時前にあがらせろよ‥‥」
クソ上司の顔が浮かび、もう一度地面を蹴る。ヒールがガリッと音を立てたが気にしない。
「早く駅に行こう。」
時計を見れば10時。家に着く頃には12時頃になるだろう。
「‥‥ルナは起きてるだろうな。」
ルナとは私の2番目の妹。今年、大学生になったばっかりだ。私達姉妹の中でお淑やかで家庭的なルナは大学進学を渋っていた。両親が死んだことで、金銭面に負担がかかると心配したからだろう。しかし、妹達には大学をでて貰いたい。私が大学を卒業できたのは卒業式前に両親が他界したからである。不幸中の幸いというべきなのかどうかわからないが。
「あ、駅。」
あれこれと考えている内に駅に着いた。改札をくぐるとメールが受信した音がしたので携帯を開いてみると
「お?ルナからだわ」
メールを開き、内容を確認する。その内容は
「え?!麗華が家出?!!えー?!」
思わず絶句したせいで、周りからジロジロ見られた。
「う、嘘でしょ?!」
麗華とは、3番目の妹で現在高校2年生。反抗期真っ盛りで度々いい争いをしていた。昨日も「瑠璃姉さんなんて死んじまえ!」と言われたばかりである。
「早く、帰らないと!」
もし、事件に巻き込まれたりしたらと最悪な事態が頭をよぎる。いくら、反抗期でも麗華は冷静沈着な性格だ。自分で判断して危険な目に合うような選択はしないはずだと信じ、プラットホームに通じる階段を駆け下りようとした時
「ーみつけた、い‥ご‥まー」
「え?」
背後から声がしたので振向いたとたん、景色がぐにゃりと歪む。すると、強い力に押され下に吸い込まれた。一瞬、何が起きたかわからず、何故か涙が溢れたせいで私を押したであろう人の顔は見ることは出来きなかった。

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