皇后はじめました(笑)

ルナ

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芍薬

夢?現実?あの世?

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目が覚めると見慣れない天井があった。眺めること約10分。今までの状況をやっと呑み込み、勢いよく起き上がる。
「こ、ここ何処?!確か駅の階段で落ちたはずなのに何故‥‥」 
辺りを見渡すと、見慣れないものばかりだでどこか古めかしい。自分が着てる服も着物にそっくりで、コスプレみたいだ。
「こんなコスプレ紛いな服、病院服なわけないよね‥‥」
となると私は
「死んだ?それとも夢?」
腕や頬をつねるが痛い。 怪しいと思ったので棚にあった高そうな皿を床に叩きつけて割り、腕を切って見ると血が出たので間違いなく現実のようだ。
「じゃあ、ここは」
駅の階段から落ちて運ばれたのが病院ならわかる。夜遅くとはいえ、10時だった。駅員はまだいたはずだ。故意に落とされたとはいえ
ドラマででくるような病院のVIP室に通されるわけがない。
「血はでてるし、痛い。死んではいないみたい‥‥っは?!まさかあの世は痛みが伴うのか?!」
皿の破片が散らばった床にしゃがみ込み、やばい、やばいを連発しながら血がついた破片を眺める。これから自分はどうなるのか、麗華は無事なのかと考え込んでいるとドア?が開き、女が入って来た。女もコスプレみたいな格好をしている。
「あ、村人‥‥じゃなくて、あの」
皿を割ってごめんなさい、ここはどこですか?と聞こうとしたが、女はわなわなと震えはじめ
「皇后様!!なぜ、お怪我をしているのですか?!誰か!待医を待医を呼びなさい!」
侍医‥医者のこと
「え、ちょ?!」
女の一言でぞろぞろと人が入ってくる。みな同じようにコスプレをしている。
「こ、皇后様!!いったいどうされたのですか?!!」
「皇后様!早く寝台へ参りましょう!もうじき待医がいらっしゃいますから!」
「皇后様!ここは危険ですので、早くお立ちください!」
「皇后様、すぐに陛下を呼びますので!」
口々に言われてしまい、頭がおいつかない。
ん?ちょっと待って?この人達今「皇后様」っていってなかった? 私は立ち上がり聞いてみる事にした。
「ね、ねぇ」
「皇后様どうされ‥‥」
「皇后様って?」
私の一言で沈黙に包まれる。周りの人達は顔を見合わせたり、「なんということだ」「祟りだ」と呟く者もいたので
「ちょ、祟りだなんて失礼な!」
思わずつっこむといったであろう人がひざまづき
「お許しを!皇后様!どうか、お許しを!」
「い、いやあのね?!」
もうめちゃくちゃだ。私を「皇后」という人達に囲まれてる。もう、どっかの宗教なのではないかと思う。
すると、ある女が私の前に現れた。他のコスプレに比べて少し豪華めだ。
「皆の者!控えなさい!皇后様は今起きたばかりである!数日間眠っておられたのはみ皆知っておろう!静養を妨げ、皇后様のお体になにかあったらただでは済まさぬ!おい、そこの者!先程祟りといったな?」
「ひっ、は、はい‥」
祟りと言った男は怯えながら女の方を見る。
「鞭打ち30回の後、慎形司に連れて行きなさい!」
慎形司‥使用人に罰を与えるところ
しんけいし?聞きなれない言葉だ。しかし、男が怯えているのでものすごく怖い場所であることは間違いない。
「どうかお許しを!!」
「連れて行け!」
すると、剣を持った人たちが、男を引きずりだそうとしたので
「ま、まって!!悪気があって言ったわけでではないだろうし!たかが、そんな発言で鞭打ちなんて馬鹿げてる!」
「こ、皇后様」
「ですが、皇后様!これでは下の者に示しがつきません!」
下の者という発言にカチンときたので引き下がらない事にした。
「あのね!祟りなんてあるわけないでしょうよ?!それに、天は人の上に人を造らずっ諭吉様も言ってるでしょうよ?!」
すると、女は驚愕した顔を向けてきたが無視し
「祟りって、悪気があって言ったわけではないですよね?」
そう聞くと、小さい声で「はい」と答えた。
「なら良いです。でも、発言には責任を取ってくださいな。一週間、外出禁止。謹慎してください。あと、反省文書いてね。」
反省文、よく書かされたなー思いつつ男を見ると何故か泣きながら
「こ、皇后様、お慈悲をありがとうございます!」
お慈悲って、別に普通なんだけどなと思いながらも「早く書いてきてね」と言うと男はよろよろと立ち上がりながら出て行った。
「さ、みんなも一回、外へ出よう。私はこの人に話があるから。」
そういうと、皆一礼してから部屋を出て行った。
「(なんか、やばい黄泉の国だな。)」
皇后様設定の黄泉の国。もう、そう思わないとやってけないこの状況に溜息をついた。
すると、女はひざまづき
「皇后様の御前で声を荒げてしまい申し訳ありません!」
「え、あーうん。ところでさ、ここ何処?それに、なんでそんな格好をしてるのよ。」
話題を変えないと、「死ぬ」とか言い出しそうだったのでとりあえず何処なのか聞いてみる。
「‥‥何処とは?ここは、皇后様の宮ですが?それに、いつもと同じ服装ですが?」
「いつもと同じ?」
「はい。もしかして、何も覚えていらっしゃらないのですか?」
そう言うと、私の顔と腕を見比べながら
「と、とにかくお手当をしましょう。秋侍医がもうじきお越しになるはずですから。そしたらお話いたしましょう。」

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