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名もなき村
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早朝、とある辺境の村で一人の男を背負って走る若者がいた。
その若者は村で唯一の宿屋に駆け込み大声をあげる。
「デルさん!!急患!!」
「グラスか・・・なんだい・・・こんな朝早くに・・・」
目をこすりながら初老の男がカウンターの奥から出てくる。
「ってなんだその血まみれの少年は」
「わかんねぇよ!朝にいつも通り塀の周りを巡回してたら倒れてたんだよ!」
「ひとまず二階の2号室のベットに寝かせといてくれ。すぐに準備していく」
「わかった!」
グラスと呼ばれた若者はすぐに二階へと上げっていき、2号室と書かれた部屋に入るとすぐに血まみれの少年をベットに寝かせる。
胸が上下しているので何とか生きていることはわかる。血は既に止まっているのか、流れ出ている様子はない。
「どうやら死んではいないようだな」
後から部屋に入ってきたデルは大き目のカバンを地面に置いて開きながら様子を見ていた。
服を脱がせ、こびりついた血を濡れた布で拭いて行く。
「ん・・・?」
「ふむ。どうやら血は全て返・り・血・だな。倒れたのは・・・空腹か」
「返り血って・・・何とどれだけ戦えばこうなるんだ・・・」
血を拭き終わると、傷一つ肌が姿を現す。少々やせこけ、唇が乾燥して切れている。
「飯を食わせれば回復するだろう」
「そうか・・・それは良かった」
「グラスがこいつが怖くないのか?大量殺人鬼かもしれないんだぞ?」
カバンをしまいながら、そう問いかけるデル。
「ん~なんとなく悪いやつじゃない気がした。だから怖くないし大丈夫だ」
「そうか。・・・お前の感はよく当たるし、信頼するとしようか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここは宿屋兼診療所として、デルが経営している建物だ。
この村は帝国の最西端で、王国との国境が一番近い場所。常時兵士が駐在し、国境を隔てる山は魔物の巣窟。魔の山の称されるこの山は、ありとあらゆる魔物が跋扈し、人の身で乗り越えることは不可能とされていた。
だからこそ王国と帝国は戦争が出来ない。この魔の山が、王国と帝国を遮るように連なっているからだ。
有事に備えての兵士と、山から下りてくる魔物に対応するための冒険者がこの村には多い。
毎日のように魔物との戦闘があり、大小問わずけが人は出る。
だからこその宿屋兼診療所である。
治癒魔法の使える僧侶は数が少なく、こんな国境間近の危ない場所には派遣できない。だかこそデルのような医者が常勤しているのだった。
朝食時の騒がしい食堂を後にし、眠っている少年の元へと向かうデル。手にはスープとパンの乗ったとレイ。
一応彼はドアをノックし、部屋に入る。
「起きたようだな」
ベットを見ると、上半身だけを起こしデルの方をじっと見ている少年。
「腹が減ってるんだろ?食べるといい」
そう言ってトレイを彼に渡す。それを受け取り、少年は静かに食事をとり始めた。
「食べながらでいいから聞いてくれ。儂の名はデル、しがない医者だ。ここは帝国の最西端の名もなき村だ。それで少年に質問だ。君の名前は?どうして血まみれで倒れていた。そして・・・君は何処からやって来たんだ」
一足に質問を浴びせるデル。少年は食事をとり終えるとじーっとデルの方を見る。
「ーっ・・・・っ!?」
口は開くが、のどからヒューヒューと空気の漏れる音がするだけ。彼は目を見開き、驚いたような顔をする。
「喋れないのか・・・喋れなくなったのか・・・ふむ。ちょっと待ってなさい」
そう言ってデルは部屋から出て行く。
少しして帰ってきたデルの手には、砂の入った箱。それを少年に手渡した。
「文字は書けるか?」
コクリと頷く少年。デルから箱を受け取り文字を書いていく。
『ありがとうございます』
「ふむ。お礼ならグラスに言うといい。ここまで運んできたのは彼女だ」
『名前はレン 王国から追放されてここにたどり着きました』
「ほう?お前さんはあの魔の山を越えてきたと・・・にわかには信じられんな」
『ひたすら魔物を殺して歩いていたらここに着きました しかし空腹で体が動かなくなってしまい』
「塀の外で力尽きたというわけか」
コクリとレンは頷く。
王国からの亡命。前代未聞のことである。どう対処するべきかデルは顎に手をやり考える。
『俺はどうなるのでしょうか もし出て行けと言うならすぐにでも』
「そんなことは言わんさ。ひとまず回復するまでここにいるといい。なに、悪いようにはせん。なにせ儂は医者だ。お前さんが死ぬようなことはしない」
魔の山を越えてきたというなら、彼はかなり強い。ならばそこに望みがあるのではないだろうか。
デルはそう考え、すぐさま一筆たしなめることにした。
宛先は皇帝。彼の処遇についての対応をどうするか。そして、彼がどれだけ帝国に利をもたらす存在なのかを知らせるために。
その若者は村で唯一の宿屋に駆け込み大声をあげる。
「デルさん!!急患!!」
「グラスか・・・なんだい・・・こんな朝早くに・・・」
目をこすりながら初老の男がカウンターの奥から出てくる。
「ってなんだその血まみれの少年は」
「わかんねぇよ!朝にいつも通り塀の周りを巡回してたら倒れてたんだよ!」
「ひとまず二階の2号室のベットに寝かせといてくれ。すぐに準備していく」
「わかった!」
グラスと呼ばれた若者はすぐに二階へと上げっていき、2号室と書かれた部屋に入るとすぐに血まみれの少年をベットに寝かせる。
胸が上下しているので何とか生きていることはわかる。血は既に止まっているのか、流れ出ている様子はない。
「どうやら死んではいないようだな」
後から部屋に入ってきたデルは大き目のカバンを地面に置いて開きながら様子を見ていた。
服を脱がせ、こびりついた血を濡れた布で拭いて行く。
「ん・・・?」
「ふむ。どうやら血は全て返・り・血・だな。倒れたのは・・・空腹か」
「返り血って・・・何とどれだけ戦えばこうなるんだ・・・」
血を拭き終わると、傷一つ肌が姿を現す。少々やせこけ、唇が乾燥して切れている。
「飯を食わせれば回復するだろう」
「そうか・・・それは良かった」
「グラスがこいつが怖くないのか?大量殺人鬼かもしれないんだぞ?」
カバンをしまいながら、そう問いかけるデル。
「ん~なんとなく悪いやつじゃない気がした。だから怖くないし大丈夫だ」
「そうか。・・・お前の感はよく当たるし、信頼するとしようか」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ここは宿屋兼診療所として、デルが経営している建物だ。
この村は帝国の最西端で、王国との国境が一番近い場所。常時兵士が駐在し、国境を隔てる山は魔物の巣窟。魔の山の称されるこの山は、ありとあらゆる魔物が跋扈し、人の身で乗り越えることは不可能とされていた。
だからこそ王国と帝国は戦争が出来ない。この魔の山が、王国と帝国を遮るように連なっているからだ。
有事に備えての兵士と、山から下りてくる魔物に対応するための冒険者がこの村には多い。
毎日のように魔物との戦闘があり、大小問わずけが人は出る。
だからこその宿屋兼診療所である。
治癒魔法の使える僧侶は数が少なく、こんな国境間近の危ない場所には派遣できない。だかこそデルのような医者が常勤しているのだった。
朝食時の騒がしい食堂を後にし、眠っている少年の元へと向かうデル。手にはスープとパンの乗ったとレイ。
一応彼はドアをノックし、部屋に入る。
「起きたようだな」
ベットを見ると、上半身だけを起こしデルの方をじっと見ている少年。
「腹が減ってるんだろ?食べるといい」
そう言ってトレイを彼に渡す。それを受け取り、少年は静かに食事をとり始めた。
「食べながらでいいから聞いてくれ。儂の名はデル、しがない医者だ。ここは帝国の最西端の名もなき村だ。それで少年に質問だ。君の名前は?どうして血まみれで倒れていた。そして・・・君は何処からやって来たんだ」
一足に質問を浴びせるデル。少年は食事をとり終えるとじーっとデルの方を見る。
「ーっ・・・・っ!?」
口は開くが、のどからヒューヒューと空気の漏れる音がするだけ。彼は目を見開き、驚いたような顔をする。
「喋れないのか・・・喋れなくなったのか・・・ふむ。ちょっと待ってなさい」
そう言ってデルは部屋から出て行く。
少しして帰ってきたデルの手には、砂の入った箱。それを少年に手渡した。
「文字は書けるか?」
コクリと頷く少年。デルから箱を受け取り文字を書いていく。
『ありがとうございます』
「ふむ。お礼ならグラスに言うといい。ここまで運んできたのは彼女だ」
『名前はレン 王国から追放されてここにたどり着きました』
「ほう?お前さんはあの魔の山を越えてきたと・・・にわかには信じられんな」
『ひたすら魔物を殺して歩いていたらここに着きました しかし空腹で体が動かなくなってしまい』
「塀の外で力尽きたというわけか」
コクリとレンは頷く。
王国からの亡命。前代未聞のことである。どう対処するべきかデルは顎に手をやり考える。
『俺はどうなるのでしょうか もし出て行けと言うならすぐにでも』
「そんなことは言わんさ。ひとまず回復するまでここにいるといい。なに、悪いようにはせん。なにせ儂は医者だ。お前さんが死ぬようなことはしない」
魔の山を越えてきたというなら、彼はかなり強い。ならばそこに望みがあるのではないだろうか。
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