声の出ない少年と心を読む少女

てけと

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天国なのか地獄なのか

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 草の一本も生えない様な荒地を、ボロボロのフードの付いたローブを纏った二人が歩いていた。

 地面はごつごつとした岩場になっており、歩きづらく、時折尖ったところを踏んでしまって足が痛い。



 しかし二人は歩みを緩めることなくひたすら歩き続きた。



 すると見えてきたのは質素な木でできた柵。その策は腐っているのか所々黒ずんでおり、今にも壊れそうな感じだった。



「ここですか・・・」

「捨てられた地・・・最後にたどり着くところ」

「王国に虐げられ、使い潰された人が、希望を求めて訪れる場所・・・ですか」



 捨てられた地。曰くここには希望があると噂されていた。

 王国のスラム街でカタリーが巡回しているときに耳にしたことだ。あの頃は薬物におぼれた男のたわごとかと思っていたが・・・。



「行きましょう」



 そう言ってカタリーは柵をこえる。

 中には何もなく、ぽつりぽつりとぼろ布を纏った人が座っている。

 傷だらけの男や、やせこけた子供。虚ろな目をして歩き回る女など様々だった。



「ひどい・・・こんな事・・・」

「・・・カタリー。私たちには・・・そんなことを言う資格・・・ない」



 恵まれた環境で育ち、最近まで王を守る立場にいたカタリーと、賢者という特権に甘えて生きてきたエリー。

 そんな二人に彼らを案じる事すら許されない。そうエリーは思った。



 エリーやカタリーのような人が、少しでも彼らの事を考えて動けたなら・・・結果は違っていたのかもしれない。



「・・・」



 自分は誰よりも研鑽し、努力して地位を得た。そう思っていた。



 しかしこの国には、その研鑽や努力すらできない人もいたのだ。そのことにギリッと歯ぎしりを立てる。



 二人はなるべく他の人を見ないように歩く。そして奥にたどり着くと、ローブを着た老婆が立っていた。その横には小さな・・・人一人が通れるような穴が開いていた。



「ひっひっひ・・・お二人さん。希望の地へ行きたいのかえ?」



 ゴクリッと生唾を飲み込むカタリー。明らかに怪しい。



「そこの穴、希望の地に繋がってる?」

「あぁ・・・そうだよ。ただしもちろん保証はしないけどねぇ。この先に行って帰ってきた者はいないね。そこが帰りたくない様な天国なのか、はたまた帰れない地獄なのかは・・・私も知らないねぇ~。それでも行くかい?」

「行く」



 少しの躊躇もせずエリーは行くことを選択。



「いいのですか?エリー?」

「むしろ地獄であってほしい。私にはちょうどいい」



 そう言うとエリーは屈んで穴に入っていく。それに続いてカタリーも・・・。



「ひっひっひ・・・度胸のあるお嬢さんだ。一つアドバイスをやろう。まっすぐ進みな。それだけが唯一の道だ」

「・・・ありがとうございます」



 そう言ってカタリーは穴へと入っていった。





 穴の中は真っ暗で、上も下も、右も左もわからない。



「ライト」



 エリーの前方が光に照らされ・・・たかと思えば、すぐに消える。



「ッ!・・・魔力阻害」

「つまり光もないまま真っすぐに進まないといけないみたいですね」









 二人はただ歩く、真っ暗闇の中、自分たちが何処を歩いているかもわからず・・・。

 どれほどの時間が経っただろうか。何もわからない。ただわかるのは歩いている、前へと進んでいると言う事だけ。



 光りの全くない空間を、気が狂いそうになりながらも、唇を噛み切る痛みでそれを耐える。

 ただ一言も発することなく歩き続け・・・・。









 その先に小さな光が差し込んでいるのが見えた。

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