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マリーの生い立ち
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マリーが突如倒れ、即座に宿に戻り、聖女アンジュの診察と治療も空しく、マリーが目覚めることはなかった。結局そのまま夜が明け・・・宿の部屋のベットで眠るマリー。
それを心配そうにベットの横で見つめるレン。
ガチャリと宿の部屋の扉が開く。
「レン様。助けになりそうな人を連れてきたっす」
そう言って、その助けになりそうな人とやらを、乱暴に部屋の中に放り投げるドロシー。
「久々に会ったかと思えばこの仕打ちか・・・まったく・・・ってレンじゃないか」
その人物は、レンが帝国に入って最初にあった人物。
デルであった。
「それにそこに寝ているのは・・・マリーか・・・なるほど理解した」
レンは木の板に文字を刻む。
『知ってるのか?』
「ふむ。マリーは儂の孫だからもちろん知っとるし・・・こうなった原因も知っとる」
「原因は私でも何となくわかるっす。知りたいのは治す方法っす」
ギラリとドロシーはデルを睨む。
「まぁまぁ落ち着け。グラス人払いを」
「分かった!」
扉の外にいた女性が返事をする。
「どこで聞き耳を立てられとるかわからんからな」
「流石変態じじいの人造人間。確か人の魔力を探知できるんでしたっけ?」
「逆に言えばそれしか出来ないただの人だよ」
デルは部屋にあった椅子に座り、レンのほうを向く。
「これから話すのは本人も知らない彼女の過去の話だ。お主には聞く資格・・・いや、義務がある」
レンはコクリと頷く。
「まず、マリーは魔物の遺伝子を植え付けられた改造人間だ」
「!?」
「そもそも天啓と同時にスキルなんぞ発現するはずが無い。心を読むという能力は、ある魔物の能力なのだ」
「昔帝国にとある研究者がいた。儂とそいつは同期で、お互い回復魔法に頼らない治療の研究をしていた。
なにせ回復魔法が使える人は少ない。なのに怪我や病気で死んでいく人は後を絶たない。
だからワシとそいつは思った。誰でも知識さえあれば出来る治療を広めれば、もっと不合理に死んでいく人は減るのではないかと。
死体を解体し、人体の構造や病気の症状をひたすら研究し、やがて儂とそいつで今の医療の基礎を作り上げた。あとは広めるだけ、それだけだったのに・・・。
奴は狂った。原因が何だったのかは未だに分からない。そして禁忌へと手を出し始める。
怪我も病気もしない新しい人を作ると言う。
そこでやつが目をつけたのが魔物だった。
奴は帝国から姿を消し、酷い人体実験を繰り返しておった。
そのことを聞き付けた皇帝は奴の排除を命じた。
そこにおるドロシー達暗部の協力の元、ようやく居場所を見つけ、そこで儂が見たものは・・・この世の地獄じゃった。
まさに怪物。もはや正気を失い、異形の姿になった人々。もはや殺す以外に救いは無かった・・・。
ドロシー達に彼らと奴の処理を任せ、儂はやつの研究資料を見た。そこには・・・何百何千の実験体の記録。
儂自身吐き気をもよおしたほど邪悪な研究じゃった。
そして・・・その研究室の奥にいたのが・・・検体番号211番、生まれて間もないマリーだった。そしてマリーを守るように立ちはだかる3つの尻尾を持つ、真っ白なけこのような魔物だった」
「それで情が湧いて、マリー様を連れ帰ったわけっすね」
「あの頃のお主だったら赤子でも殺しただろ?」
「否定はしないっす。あそこで殺していた方が、この先ひどい目にあう事もない、と考えていました」
「だから儂は赤子とその魔物を連れ帰った。魔物にしては妙におとなしく従ってくれた。それもそのはずだよな。なにせその魔物は、儂の思考を読んでおったのだから。
その後は儂の研究室にいた夫婦をマリーの両親とし、その母親の親が儂ということにした。
マリーは普通の子だった。人として成長し、一緒に連れてきた魔物もペットとしてマリーと共に生きていた。
しかし・・・数年後その魔物は寿命でこの世を去った。短命だったのだろう。マリーはしばらく塞ぎ込んでいた・・・そして天啓を授かる日がやってくる・・・
偶然なのか、それとも必然だったのか、天啓を得た日・・・マリーは同時に魔物の特性を開花させた。人の心の声が聞こえるというその能力を・・・。
その日から儂はマリーの元から離れた。真実を知られるわけにはいかなかったからな。マリーの両親もマリーの能力故にどうもギクシャクした関係になってしまった。
これがマリーの生い立ちだ」
レンはデルの顔をじーっと見ていた。真剣にその話を聞き・・・。
『それで?どうやったらマリーが元気になるんだ?』
「ふっははは!そうだよな。お主には関係ない事か」
『そうじゃない。マリーはマリーだ。過去がどうあれ、俺がマリーを嫌いになることはない』
「ふむ。マリーとお主を会わせたことは間違いじゃなかったようだな。
マリーがこうなっている原因は、マリーの中にいる魔物が寿命を迎えようとしている。マリーはそれに引っ張られる形で死にかけておる」
『マリーを救う方法は?』
「一つだけある。それは・・・不死鳥の涙があれば、マリーは助かるだろう」
「それって・・・あの不死鳥のダンジョンの最奥にあると言われる・・・伝説級のアイテムじゃないっすか!?ほかに方法はないんですか!?」
「マリーの中にある魔物の遺伝子だけを取り出すなんて不可能だ。それに・・・寿命を覆す事なんぞ、それこそ女神くらいにしか出来んだろう・・・」
「そんな・・・ってレン様!?どこに・・・」
レンはスッと立ち上がり、部屋を出ようと歩き出す。
『その不死鳥のダンジョンに』
「落ち着けレン。お主がいくら強かろうが、間に合わん。なにせあのダンジョンは最奥まで100階層。この世界の根幹に一番近いとされているダンジョンだ。まっすぐ降りていったとして、最低1年はかかる」
『じゃあどうしろと?俺にマリーを見殺しにしろと?』
レンは歯噛みする。やり場のない怒りをぐっと堪える様に。
「実は帝都に一つだけあるんだよ。不死鳥の涙」
「・・・まさか」
「お察しの通りだ。皇帝の住まう城の宝物庫。・・・つまり皇帝が持ってるんだよ」
それを心配そうにベットの横で見つめるレン。
ガチャリと宿の部屋の扉が開く。
「レン様。助けになりそうな人を連れてきたっす」
そう言って、その助けになりそうな人とやらを、乱暴に部屋の中に放り投げるドロシー。
「久々に会ったかと思えばこの仕打ちか・・・まったく・・・ってレンじゃないか」
その人物は、レンが帝国に入って最初にあった人物。
デルであった。
「それにそこに寝ているのは・・・マリーか・・・なるほど理解した」
レンは木の板に文字を刻む。
『知ってるのか?』
「ふむ。マリーは儂の孫だからもちろん知っとるし・・・こうなった原因も知っとる」
「原因は私でも何となくわかるっす。知りたいのは治す方法っす」
ギラリとドロシーはデルを睨む。
「まぁまぁ落ち着け。グラス人払いを」
「分かった!」
扉の外にいた女性が返事をする。
「どこで聞き耳を立てられとるかわからんからな」
「流石変態じじいの人造人間。確か人の魔力を探知できるんでしたっけ?」
「逆に言えばそれしか出来ないただの人だよ」
デルは部屋にあった椅子に座り、レンのほうを向く。
「これから話すのは本人も知らない彼女の過去の話だ。お主には聞く資格・・・いや、義務がある」
レンはコクリと頷く。
「まず、マリーは魔物の遺伝子を植え付けられた改造人間だ」
「!?」
「そもそも天啓と同時にスキルなんぞ発現するはずが無い。心を読むという能力は、ある魔物の能力なのだ」
「昔帝国にとある研究者がいた。儂とそいつは同期で、お互い回復魔法に頼らない治療の研究をしていた。
なにせ回復魔法が使える人は少ない。なのに怪我や病気で死んでいく人は後を絶たない。
だからワシとそいつは思った。誰でも知識さえあれば出来る治療を広めれば、もっと不合理に死んでいく人は減るのではないかと。
死体を解体し、人体の構造や病気の症状をひたすら研究し、やがて儂とそいつで今の医療の基礎を作り上げた。あとは広めるだけ、それだけだったのに・・・。
奴は狂った。原因が何だったのかは未だに分からない。そして禁忌へと手を出し始める。
怪我も病気もしない新しい人を作ると言う。
そこでやつが目をつけたのが魔物だった。
奴は帝国から姿を消し、酷い人体実験を繰り返しておった。
そのことを聞き付けた皇帝は奴の排除を命じた。
そこにおるドロシー達暗部の協力の元、ようやく居場所を見つけ、そこで儂が見たものは・・・この世の地獄じゃった。
まさに怪物。もはや正気を失い、異形の姿になった人々。もはや殺す以外に救いは無かった・・・。
ドロシー達に彼らと奴の処理を任せ、儂はやつの研究資料を見た。そこには・・・何百何千の実験体の記録。
儂自身吐き気をもよおしたほど邪悪な研究じゃった。
そして・・・その研究室の奥にいたのが・・・検体番号211番、生まれて間もないマリーだった。そしてマリーを守るように立ちはだかる3つの尻尾を持つ、真っ白なけこのような魔物だった」
「それで情が湧いて、マリー様を連れ帰ったわけっすね」
「あの頃のお主だったら赤子でも殺しただろ?」
「否定はしないっす。あそこで殺していた方が、この先ひどい目にあう事もない、と考えていました」
「だから儂は赤子とその魔物を連れ帰った。魔物にしては妙におとなしく従ってくれた。それもそのはずだよな。なにせその魔物は、儂の思考を読んでおったのだから。
その後は儂の研究室にいた夫婦をマリーの両親とし、その母親の親が儂ということにした。
マリーは普通の子だった。人として成長し、一緒に連れてきた魔物もペットとしてマリーと共に生きていた。
しかし・・・数年後その魔物は寿命でこの世を去った。短命だったのだろう。マリーはしばらく塞ぎ込んでいた・・・そして天啓を授かる日がやってくる・・・
偶然なのか、それとも必然だったのか、天啓を得た日・・・マリーは同時に魔物の特性を開花させた。人の心の声が聞こえるというその能力を・・・。
その日から儂はマリーの元から離れた。真実を知られるわけにはいかなかったからな。マリーの両親もマリーの能力故にどうもギクシャクした関係になってしまった。
これがマリーの生い立ちだ」
レンはデルの顔をじーっと見ていた。真剣にその話を聞き・・・。
『それで?どうやったらマリーが元気になるんだ?』
「ふっははは!そうだよな。お主には関係ない事か」
『そうじゃない。マリーはマリーだ。過去がどうあれ、俺がマリーを嫌いになることはない』
「ふむ。マリーとお主を会わせたことは間違いじゃなかったようだな。
マリーがこうなっている原因は、マリーの中にいる魔物が寿命を迎えようとしている。マリーはそれに引っ張られる形で死にかけておる」
『マリーを救う方法は?』
「一つだけある。それは・・・不死鳥の涙があれば、マリーは助かるだろう」
「それって・・・あの不死鳥のダンジョンの最奥にあると言われる・・・伝説級のアイテムじゃないっすか!?ほかに方法はないんですか!?」
「マリーの中にある魔物の遺伝子だけを取り出すなんて不可能だ。それに・・・寿命を覆す事なんぞ、それこそ女神くらいにしか出来んだろう・・・」
「そんな・・・ってレン様!?どこに・・・」
レンはスッと立ち上がり、部屋を出ようと歩き出す。
『その不死鳥のダンジョンに』
「落ち着けレン。お主がいくら強かろうが、間に合わん。なにせあのダンジョンは最奥まで100階層。この世界の根幹に一番近いとされているダンジョンだ。まっすぐ降りていったとして、最低1年はかかる」
『じゃあどうしろと?俺にマリーを見殺しにしろと?』
レンは歯噛みする。やり場のない怒りをぐっと堪える様に。
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