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魔王戦 前
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日も差さないような深い森の中。馬車は止まり、馬車の中から人が降りる。
「ここから目的地までは徒歩になります。皆様ご武運を・・・ここで帰りをお待ちしております」
そう言うと御者は丁寧に頭を下げる。
その姿を後ろに、7人は歩き始める。
「平地だったら、遠くから1発だったのになぁ・・・」
そう呟くのはキース。
「魔王の出現場所は前回倒された場所、仕方ない」
エリーは淡々とキースに向かって喋る。
「が・・・頑張ろ?キー君」
オドオドと喋るのはスイ。
「歩けますか聖女アンジュ?」
「ええ。大丈夫ですマザー」
何故か既にフラフラと歩くアンジュと、それを支えるマザー。
『どうしたんだアンジュ?』
レンは少し心配そうにアンジュを気遣う。
「あはは・・・自分の罪を償いに行っただけよ。ちゃんと戦闘には参加できるから心配しないでレン」
苦笑いをしながらレンにそういうアンジュ。
「・・・魔王討伐が終わってからでもよかった」
「そうはいかないわエリー。私はこの魔王討伐で・・・」
「聖女の補助の為に私がいるのです。何も問題はありませんよ」
教会のマザーはレンに微笑みかける。その様子を見て、レンは前を向いて歩く。
不気味なほど静かな森の中を歩き続けると、ふと遠目に森が切り開かれている場所が見える。
「あれが前回の魔王戦の爪痕か」
まるで大きな隕石でも落ちたかのように地面が抉れ、所々地面が真っ黒に焦げている。
その土地には草の一本生えず、荒廃した大地が広がっていた。
その荒廃した大地の中心に、禍々しい小さな黒い炎が燃えていた。それこそが・・・魔王の魂であった。
三賢者の気配を感じたのか、小さな炎は、激しく燃え上がり・・・形を成していく。
「ユウシャ・・・セイジョ・・・ケンジャ・・・ニクイ・・・・・・
コロセ!!!!!!!!!!!!」
「なんだ!?」
いまだ魔王を視認していない勇者一行は、辺りから聞こえる様々な魔物の咆哮に驚き・・・。
『行け。露払いは俺の仕事だ』
「レン?お前何を――」
「―――――――――――ッ!!!!」
レンが吼える。声は出ていない。
それなのに、キースたちは空気が震え、肌にビリビリと振動を感じた。
それとほぼ同時に、魔物の足音がドドドドドドッっと周りから聞こえる。
レンは既に剣を抜き、臨戦体勢に入っていた。
「死ぬなよレン」
それだけ言うとキース達は魔王の元へと走り出す。彼らの元に魔物は一匹も来ない。
魔物達は本能的に察したのだろう。この中で一番危険な者はレンであると・・・。
真っ先に飛んできた大きな鳥のような魔物を、レンは一刀両断し・・・。
レンと大量の魔物たちの戦いが始まった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あれが魔王か!!」
キースは森を抜け、荒地に飛び込む。
荒地の真ん中には真っ黒の人型をした何かが佇んでいた。
「このまま行く!スイちゃん!!」
「フィジカルブースト!」
スイの魔法で身体能力が向上し、一気に距離を詰めて飛び上がり、人型の何かに斬りかかる。
「轟雷一閃!!」
光の速さで振り下ろされた剣は、人型の黒い何かを一刀両断。左右に分断された体は、ドサリと地面に倒れた。
「へ・・・?やったのか?」
キースは後ろに飛び、両断したなにかと距離を取る。
そして・・・二つに分かれた黒い何かは、地面に溶け・・・。
「ユウシャ・・・コロス!!」
ゴゴゴゴゴッと地鳴りが響く。
突如地面から湧きだす黒い液体。それが次第に形を成していき・・・。
7メートルほどの大きな二足歩行の獣のような姿になる。
体は黒い体毛に覆われ、目は赤く光り、指の先には鋭い爪を宿している。
「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!!」
魔王の放つ咆哮に、空気がビリビリと震える。
「相手にとって不足なし・・・どころじゃ無さそうだな・・・」
「わ・・・分かってたこと・・・でしょ?キー君」
「そうだなスイちゃん!いくぞぉ!」
キースは刃渡り2メートルほどある大きな剣を構え、魔王に向かって走る。
「ホーリーランス!!」
スイは魔法で作った白い槍のような物を魔王に向かって飛ばす。
白い槍は魔王に体に刺さり・・・。
「うらぁ!!」
キースは剣で魔王の足を斬りつける。
魔王の体はスイの魔法で穴が開き、キースの剣で足からダラダラと血が流れる。
しかし・・・即座にその傷は塞がる。
魔王は攻撃を食らったことなどなかったかのように、キースに腕を振るう。
「っと!」
軽々とその攻撃を避けるキース。
突如魔王の体から黒い靄が発生する。
「やっべぇ!」
キースは即座に反転。全力で退避する。
魔王の周りの黒い靄が球状になっていき・・・。
「シネ・・・!!」
キィィィンっと甲高い音をあげ、ドッドドドドドドド―――ン!!と連鎖的に爆発していく。
「うおおおおぉぉ!!」
キースは全力で飛び、何とか攻撃範囲から飛び出る。
「キー君平気?」
「なんとかな・・・しっかし・・・文献通りだな」
「そうね・・・ってことは作戦通り?」
「魔王の力は僅かですか削れています。作戦通り慎重に行ってください」
アンジュの目が淡く光っている。アンジュは魔王の力を可視化する魔法を唱え、魔王を見ていた。
「ってことはやっぱり長期戦か・・・」
過去の魔王戦の資料が、帝国には山ほどあった。魔王の行動パターン、攻撃方法、種類などなどすべてを加味したうえで、より確実な作戦を立てて来ていた。
魔王の攻撃は全て事前にシュミレーション済み。
だからこそ、前代未聞の復活前に叩くという作戦に出たのだった。
爆発で巻き起こった粉塵が晴れていき、魔王の光る眼がキースに向けられる。
「それじゃあ・・・我慢比べと行きますかぁ!!」
三賢者と魔王の、消耗戦が始まる。
「ここから目的地までは徒歩になります。皆様ご武運を・・・ここで帰りをお待ちしております」
そう言うと御者は丁寧に頭を下げる。
その姿を後ろに、7人は歩き始める。
「平地だったら、遠くから1発だったのになぁ・・・」
そう呟くのはキース。
「魔王の出現場所は前回倒された場所、仕方ない」
エリーは淡々とキースに向かって喋る。
「が・・・頑張ろ?キー君」
オドオドと喋るのはスイ。
「歩けますか聖女アンジュ?」
「ええ。大丈夫ですマザー」
何故か既にフラフラと歩くアンジュと、それを支えるマザー。
『どうしたんだアンジュ?』
レンは少し心配そうにアンジュを気遣う。
「あはは・・・自分の罪を償いに行っただけよ。ちゃんと戦闘には参加できるから心配しないでレン」
苦笑いをしながらレンにそういうアンジュ。
「・・・魔王討伐が終わってからでもよかった」
「そうはいかないわエリー。私はこの魔王討伐で・・・」
「聖女の補助の為に私がいるのです。何も問題はありませんよ」
教会のマザーはレンに微笑みかける。その様子を見て、レンは前を向いて歩く。
不気味なほど静かな森の中を歩き続けると、ふと遠目に森が切り開かれている場所が見える。
「あれが前回の魔王戦の爪痕か」
まるで大きな隕石でも落ちたかのように地面が抉れ、所々地面が真っ黒に焦げている。
その土地には草の一本生えず、荒廃した大地が広がっていた。
その荒廃した大地の中心に、禍々しい小さな黒い炎が燃えていた。それこそが・・・魔王の魂であった。
三賢者の気配を感じたのか、小さな炎は、激しく燃え上がり・・・形を成していく。
「ユウシャ・・・セイジョ・・・ケンジャ・・・ニクイ・・・・・・
コロセ!!!!!!!!!!!!」
「なんだ!?」
いまだ魔王を視認していない勇者一行は、辺りから聞こえる様々な魔物の咆哮に驚き・・・。
『行け。露払いは俺の仕事だ』
「レン?お前何を――」
「―――――――――――ッ!!!!」
レンが吼える。声は出ていない。
それなのに、キースたちは空気が震え、肌にビリビリと振動を感じた。
それとほぼ同時に、魔物の足音がドドドドドドッっと周りから聞こえる。
レンは既に剣を抜き、臨戦体勢に入っていた。
「死ぬなよレン」
それだけ言うとキース達は魔王の元へと走り出す。彼らの元に魔物は一匹も来ない。
魔物達は本能的に察したのだろう。この中で一番危険な者はレンであると・・・。
真っ先に飛んできた大きな鳥のような魔物を、レンは一刀両断し・・・。
レンと大量の魔物たちの戦いが始まった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あれが魔王か!!」
キースは森を抜け、荒地に飛び込む。
荒地の真ん中には真っ黒の人型をした何かが佇んでいた。
「このまま行く!スイちゃん!!」
「フィジカルブースト!」
スイの魔法で身体能力が向上し、一気に距離を詰めて飛び上がり、人型の何かに斬りかかる。
「轟雷一閃!!」
光の速さで振り下ろされた剣は、人型の黒い何かを一刀両断。左右に分断された体は、ドサリと地面に倒れた。
「へ・・・?やったのか?」
キースは後ろに飛び、両断したなにかと距離を取る。
そして・・・二つに分かれた黒い何かは、地面に溶け・・・。
「ユウシャ・・・コロス!!」
ゴゴゴゴゴッと地鳴りが響く。
突如地面から湧きだす黒い液体。それが次第に形を成していき・・・。
7メートルほどの大きな二足歩行の獣のような姿になる。
体は黒い体毛に覆われ、目は赤く光り、指の先には鋭い爪を宿している。
「ガアァァァァァァァァァァァァァ!!!」
魔王の放つ咆哮に、空気がビリビリと震える。
「相手にとって不足なし・・・どころじゃ無さそうだな・・・」
「わ・・・分かってたこと・・・でしょ?キー君」
「そうだなスイちゃん!いくぞぉ!」
キースは刃渡り2メートルほどある大きな剣を構え、魔王に向かって走る。
「ホーリーランス!!」
スイは魔法で作った白い槍のような物を魔王に向かって飛ばす。
白い槍は魔王に体に刺さり・・・。
「うらぁ!!」
キースは剣で魔王の足を斬りつける。
魔王の体はスイの魔法で穴が開き、キースの剣で足からダラダラと血が流れる。
しかし・・・即座にその傷は塞がる。
魔王は攻撃を食らったことなどなかったかのように、キースに腕を振るう。
「っと!」
軽々とその攻撃を避けるキース。
突如魔王の体から黒い靄が発生する。
「やっべぇ!」
キースは即座に反転。全力で退避する。
魔王の周りの黒い靄が球状になっていき・・・。
「シネ・・・!!」
キィィィンっと甲高い音をあげ、ドッドドドドドドド―――ン!!と連鎖的に爆発していく。
「うおおおおぉぉ!!」
キースは全力で飛び、何とか攻撃範囲から飛び出る。
「キー君平気?」
「なんとかな・・・しっかし・・・文献通りだな」
「そうね・・・ってことは作戦通り?」
「魔王の力は僅かですか削れています。作戦通り慎重に行ってください」
アンジュの目が淡く光っている。アンジュは魔王の力を可視化する魔法を唱え、魔王を見ていた。
「ってことはやっぱり長期戦か・・・」
過去の魔王戦の資料が、帝国には山ほどあった。魔王の行動パターン、攻撃方法、種類などなどすべてを加味したうえで、より確実な作戦を立てて来ていた。
魔王の攻撃は全て事前にシュミレーション済み。
だからこそ、前代未聞の復活前に叩くという作戦に出たのだった。
爆発で巻き起こった粉塵が晴れていき、魔王の光る眼がキースに向けられる。
「それじゃあ・・・我慢比べと行きますかぁ!!」
三賢者と魔王の、消耗戦が始まる。
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