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きっと私たちの未来は光り輝いて・・・
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「で?これからどうするのよエリー」
「分からない」
帝都の街中を行く宛もなくフラフラと歩くふたりの女性。
魔王討伐の報奨金で、当面は裕福に暮らせるだけの金銭を貰ったは良いが、特にやりたいこともなく、2人は呆然としていた。
「王国に帰ればまだちやほやして貰えるかもよ?」
「それだけは無い」
「まぁそうよねー・・・これから沈んでいく国に行きたいとは思わないわよね・・・」
王国は既に帝国のスパイ活動により反乱が起きていた。
反乱軍には帝国から獣人やエルフなどの種族が参加し、物資も軍力も圧倒的に勝っている。
王国に残された道は、帝国の属国となり生き延びるしかない。
その際に国王始め、王族や貴族たちは処分されるだろう。
皇帝にこの話を聞かされて、王国に戻るなんて選択肢は木っ端微塵に吹き飛んだのだった。
「聖女としての力も失い、世界を放浪して人々を救うなんて責務も消えたし・・・はぁ・・・暇ね」
「カタリーはマリクにぞっこんラブ、帝国騎士になるとか言う・・・アンジュがカタリーの代償を肩代わりしたせいでお役目御免・・・暇」
はぁ・・・と二人でため息をついてただ目的もなく歩く。
「高僧と魔道士でパーティでも組んで冒険者でもやる?」
「悪くない。けど火力不足」
アンジュは聖女から高僧侶にエリーは賢者から魔道士へと天啓が変わっていた。
女神の力を失い、三賢者は天啓がランクダウンした。
「目的がないって言うのは辛いわね・・・王国にいた時は欲まみれで欲しいものだらけだったけど、今思えばあんな物どうして欲しがったのかしらね」
宝石店に目をやり、キラキラと輝く装飾品達を目にアンジュはそう言う。
「綺麗に着飾った自分を見て欲しかったから」
「うげっ!あんたまさかまだあのキザったらしい男を・・・」
「そんな訳ない。客観的な考え」
あの男のことを考えるだけで胸焼けがし、吐きそうになる2人。
「お互い忘れましょ。これからはあの男を連想させる言葉は禁止ね」
「同意」
「しかし冒険者か~・・・レンとパーティを組めればなぁ・・・」
「どの面下げて頼む?もう彼の横は空いてない」
「別に隣じゃなくても・・・」
「ふはっはっはっは!!そこのしけた面をしている元聖女と元賢者!止まるです!!」
振り返らなくても声でわかるが、2人は振り返りその人物を正面に捕える。
「なん用よマリー」
そこには漆黒のマントを翻しながら立っているマリーが、腕を組み、ドヤ顔で笑みを浮かべていた。
「私たちは忙しい。自慢話なら聞く気は無い」
そう言いエリーとアンジュは踵を返そうとする。
「愛しのアルフレッドのところに行くですか?奴ならもうこの世界に居ないでしょうに・・・あっ!後追い自殺とかやめた方がいいです!!さすがの女神様も苦笑いしか出来ーーー」
「「する訳ない!!」でしょ!?」
いらだちを隠さずに怒鳴るエリーとアンジュ。
「せっかく今忘れようとしたのに・・・喧嘩なら買うわよ」
「賢者じゃ無くなったからって舐めるといたい目を見る」
ゴゴゴゴゴっと2人の気迫で空気が揺れているように見える。
「へ・・・へぇ~。わ・・・私に逆らうですか?せっかくいい話を・・・も・・・持ってきてやったのにです!」
「なによ?冥土の土産に聞いてあげるわ」
「固有結界展開。これで少しくらい暴れても大丈夫」
3人の周りに透明な壁ができ上がる。
エリーとアンジュの魔力がゆらゆらと体から放出されている。
「エリーとアンジュ。2人とも私のパーティーに入るです!」
「「はい?」」
今まさに攻撃する態勢に入っていた2人の思考は停止する。
「少し後になりますが、私たちは不死鳥のダンジョン攻略に行くです。私のパーティーは斥候と剣士、忍びで、近接しかいないのです。だから後衛火力と回復役がいれば万全なのです!」
ふはっはっはっと何故か高笑いを始めるマリー。
エリーとアンジュはお互いを見て・・・。
「「つまりレンと一緒」にいられるってこと?」
「ふぇ?なんでレンが関係あるです?あぁ・・・レンは別に2人のことを嫌ってないです。気まずくなることは無いですよ?」
マリーは知らなかった。未だ2人がレンの事を想っていることを。
マリーは今まで人の気持ちなんて聞きたくなくても聞こえていた。だからこその油断。
マリーの思考の中では、この二人はかつてレンが好きだったが、そのあと勇者を好きになりレンを切り捨てた。つまり・・・すでにレンに未練などあるはずはないのだ。そう思っていた。
実は勇者の事など好きではなく、その場の空気に流されていただけ。そして・・・気づいたのだ。その代償は軽くはなかったが、本当に愛する人を知ることになった。
エリーとアンジュは目配せする。お互いの意図を直ぐに察し、頷き合う。
「それはいい提案だわマリー。ちょうど私たちもパーティーを探してたの。ね?エリー」
「ん。グットタイミング」
「そ・・それならよかったです。なんか嫌な予感がするのですが・・・」
「これからは同じパーティーの仲間ね!よろしくねマリー」
「よろしく」
「よ・・よろしくです?」
マリーは二人から差し出された手を順番に握る。
「さて・・・レンは何処にいるのかしら?」
「レンなら先に門に向かってるです」
「善は急げ」
「へ?ちょっと!?なんでいきなり走り出すです!!」
アンジュとエリーが駆けだし、マリーもそれに続いて走り出す。
(もう別に恋人になりたいとかは思わないわ)
(近くに居れればいい)
((でも・・・))
(マリーを篭絡できれば・・・)
(レンのハーレムを容認させれば・・・)
こうして二人の長い戦いが始まった。
目的がなかった時のような死んだ目ではなく、エリーとアンジュの目は光輝いて・・・。
幸せな未来を目指し、走っていくのだった。
「分からない」
帝都の街中を行く宛もなくフラフラと歩くふたりの女性。
魔王討伐の報奨金で、当面は裕福に暮らせるだけの金銭を貰ったは良いが、特にやりたいこともなく、2人は呆然としていた。
「王国に帰ればまだちやほやして貰えるかもよ?」
「それだけは無い」
「まぁそうよねー・・・これから沈んでいく国に行きたいとは思わないわよね・・・」
王国は既に帝国のスパイ活動により反乱が起きていた。
反乱軍には帝国から獣人やエルフなどの種族が参加し、物資も軍力も圧倒的に勝っている。
王国に残された道は、帝国の属国となり生き延びるしかない。
その際に国王始め、王族や貴族たちは処分されるだろう。
皇帝にこの話を聞かされて、王国に戻るなんて選択肢は木っ端微塵に吹き飛んだのだった。
「聖女としての力も失い、世界を放浪して人々を救うなんて責務も消えたし・・・はぁ・・・暇ね」
「カタリーはマリクにぞっこんラブ、帝国騎士になるとか言う・・・アンジュがカタリーの代償を肩代わりしたせいでお役目御免・・・暇」
はぁ・・・と二人でため息をついてただ目的もなく歩く。
「高僧と魔道士でパーティでも組んで冒険者でもやる?」
「悪くない。けど火力不足」
アンジュは聖女から高僧侶にエリーは賢者から魔道士へと天啓が変わっていた。
女神の力を失い、三賢者は天啓がランクダウンした。
「目的がないって言うのは辛いわね・・・王国にいた時は欲まみれで欲しいものだらけだったけど、今思えばあんな物どうして欲しがったのかしらね」
宝石店に目をやり、キラキラと輝く装飾品達を目にアンジュはそう言う。
「綺麗に着飾った自分を見て欲しかったから」
「うげっ!あんたまさかまだあのキザったらしい男を・・・」
「そんな訳ない。客観的な考え」
あの男のことを考えるだけで胸焼けがし、吐きそうになる2人。
「お互い忘れましょ。これからはあの男を連想させる言葉は禁止ね」
「同意」
「しかし冒険者か~・・・レンとパーティを組めればなぁ・・・」
「どの面下げて頼む?もう彼の横は空いてない」
「別に隣じゃなくても・・・」
「ふはっはっはっは!!そこのしけた面をしている元聖女と元賢者!止まるです!!」
振り返らなくても声でわかるが、2人は振り返りその人物を正面に捕える。
「なん用よマリー」
そこには漆黒のマントを翻しながら立っているマリーが、腕を組み、ドヤ顔で笑みを浮かべていた。
「私たちは忙しい。自慢話なら聞く気は無い」
そう言いエリーとアンジュは踵を返そうとする。
「愛しのアルフレッドのところに行くですか?奴ならもうこの世界に居ないでしょうに・・・あっ!後追い自殺とかやめた方がいいです!!さすがの女神様も苦笑いしか出来ーーー」
「「する訳ない!!」でしょ!?」
いらだちを隠さずに怒鳴るエリーとアンジュ。
「せっかく今忘れようとしたのに・・・喧嘩なら買うわよ」
「賢者じゃ無くなったからって舐めるといたい目を見る」
ゴゴゴゴゴっと2人の気迫で空気が揺れているように見える。
「へ・・・へぇ~。わ・・・私に逆らうですか?せっかくいい話を・・・も・・・持ってきてやったのにです!」
「なによ?冥土の土産に聞いてあげるわ」
「固有結界展開。これで少しくらい暴れても大丈夫」
3人の周りに透明な壁ができ上がる。
エリーとアンジュの魔力がゆらゆらと体から放出されている。
「エリーとアンジュ。2人とも私のパーティーに入るです!」
「「はい?」」
今まさに攻撃する態勢に入っていた2人の思考は停止する。
「少し後になりますが、私たちは不死鳥のダンジョン攻略に行くです。私のパーティーは斥候と剣士、忍びで、近接しかいないのです。だから後衛火力と回復役がいれば万全なのです!」
ふはっはっはっと何故か高笑いを始めるマリー。
エリーとアンジュはお互いを見て・・・。
「「つまりレンと一緒」にいられるってこと?」
「ふぇ?なんでレンが関係あるです?あぁ・・・レンは別に2人のことを嫌ってないです。気まずくなることは無いですよ?」
マリーは知らなかった。未だ2人がレンの事を想っていることを。
マリーは今まで人の気持ちなんて聞きたくなくても聞こえていた。だからこその油断。
マリーの思考の中では、この二人はかつてレンが好きだったが、そのあと勇者を好きになりレンを切り捨てた。つまり・・・すでにレンに未練などあるはずはないのだ。そう思っていた。
実は勇者の事など好きではなく、その場の空気に流されていただけ。そして・・・気づいたのだ。その代償は軽くはなかったが、本当に愛する人を知ることになった。
エリーとアンジュは目配せする。お互いの意図を直ぐに察し、頷き合う。
「それはいい提案だわマリー。ちょうど私たちもパーティーを探してたの。ね?エリー」
「ん。グットタイミング」
「そ・・それならよかったです。なんか嫌な予感がするのですが・・・」
「これからは同じパーティーの仲間ね!よろしくねマリー」
「よろしく」
「よ・・よろしくです?」
マリーは二人から差し出された手を順番に握る。
「さて・・・レンは何処にいるのかしら?」
「レンなら先に門に向かってるです」
「善は急げ」
「へ?ちょっと!?なんでいきなり走り出すです!!」
アンジュとエリーが駆けだし、マリーもそれに続いて走り出す。
(もう別に恋人になりたいとかは思わないわ)
(近くに居れればいい)
((でも・・・))
(マリーを篭絡できれば・・・)
(レンのハーレムを容認させれば・・・)
こうして二人の長い戦いが始まった。
目的がなかった時のような死んだ目ではなく、エリーとアンジュの目は光輝いて・・・。
幸せな未来を目指し、走っていくのだった。
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