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第三話 葛藤
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私は病室にいた。まだ意識はない。病室の外で家族が見守ってくれている。
もともと、生まれつきで心臓に何らかの障害があった私は、幼い頃から病院で過ごすことが多かった。心臓の機能が年々落ちていることも自分ではわかっていた。稀に血液の逆流を防ぐためにある弁が機能しなくなり、左心房の血圧が上昇し、心臓にかかる負荷が大きくなってしまう。大動脈弁逆流症という病名がある。私はこれを起こしていた。だから医師の言う通り心臓の臓器移植が必要であるのは確かだが、家族にかかる負担が大きい。崖に登っているとして、上から大きい岩が転がってきてそれに巻き込まれて落ちるような負担がおしかかっている。そして私は意識を取り戻して、目が覚めた。
両親は、心臓検診の検診を受けると妹から連絡がきたが、私はこう言った。
「気持ちだけ受け取っておくよ、私たち子供と大人の心臓の大きさなんて明らかに違うんだから、お父さんとお母さんは無理だと思うんだ。私はどうせ死ぬんだからさ諦めなよ。」それを聞いた妹は、
「お姉ちゃんそんなこと言わないでよー!
私はお姉ちゃん大好きなんだから。絶対助けるよ。だから私、心臓移植の検診受けるよ。」と言った。
「え、何で?」
「私1番健康だから。お姉ちゃんに捧げようと思ったの。けど私も受けようと思っていたんだけどお父さんとお母さんに猛反対されてね。とてもリスクがあるのはわかってるけど、でもいいんだ。私が死んでも、お姉ちゃんが元気に生きてくれたら。」
「・・・。」
私は、妹にこのことを言われたら悲しくなってきた。私が助かるには妹という犠牲者を出す必要があるなんて思わなかっただろう。そのことに対して私に自殺心が芽生えてしまった。
「死にたい、死にたい、死にたい」
持っていたカッターで自分の手首、顔と首の大動脈のところを切るほどの自傷行為にまで発展した。ずっと思っていたせいで眠ることもできない。まだ、右手に血が付着したカッターを強く握りしめていた。身体中に包帯を巻きつけて泣きながら死を願っていた。いつか天に召される時が来るだろうと。
翌日家族が見に来ると全身血でいっぱいだった。
「大丈夫?」
「ねぇ、どうしてこんなことになってるの?」医師も唖然としていた。
「なぜこんなことに?深夜見にきたのにその時傷はひとつもなかったのに。」
一同驚いていた。
「大丈夫。ちょっと体調が悪くて血を吐いちゃったみたいで・・・。」
本当は自分で切ったっていえないもの。11歳の私がカッターで切ったなんて。
「実は、皆さんにいっておかなければいけないことがあります。心臓移植の検診なんですが、お二人ともヒットしませんでした。適していなかったと言うことでした。」医師が両親に行った検診はダメだった。
「ああ、もう終わりだ。」
「他にいないのかな。」
「でもドナーの人に待ってもらうと結構時間がかかってしまう。死んじゃうかもしれないのよ。」
すると医師がこう言った。
「ちょっと待ってください、他で当たった人がいたんですよ。」
「お姉さんにあった人があまりいらっしゃらなかったんですが、1人いたんですよ。」
「妹さんです。」
「え?私?」
そのことを聞いた両親は唖然とした。
「まさかヒットしてしまったのか。」
「いつ受けたかわからないけど、お姉ちゃんを救おうとしたのね。」
心臓移植のドナーは存在しているが、できるだけ早く移植をしてほしい家族の願いから、まず家族の中から誰か適応する人がいるかどうかを検査したのだ。
でも両親は絶対妹が受けると分かっていた。
両親だけじゃなくて、私も涙が止まらなかった。死ぬつもりだったのに、生きる希望がここにあった。家族だった。
「こんな私のためにありがとう。」と私は言った。
「妹さんは、二歳下で同じ子供なので心臓の大きさがお姉さんとほぼ変わらなかったので、ヒットしたのではないかと思われます。」
妹はこれで私を救うことができるんだと言う笑顔をしているけれど、他は違った。
「やめてくれ!いかないでくれ!」
「私も行かないで!」
って止めてあげたいけど妹の意思が固かったので、注視することができなかった。
「成功できるか心配だ。」
「妹がいなくなるかもしれない。」
と、両親は思っていたのだ。
そういえば妹は私に、
「わたしは、お姉ちゃんが元気で生きてくれればそれでいいんだ。わたしが死んでもね。」と言っていた。さようならを言う準備はできていると言うことか。
「成功する確率は、とても低いです。なぜなら子供同士なので体や臓器が未発達なので、大人の何倍の痛みを伴います。」
みんなうつむいていた。
「ごめんな・・・。」
「せっかく2人を産んだのに。」
みんなに泣き叫んでいた。
特にお父さんがね。
「娘2人をここでなくすわけにはいかないんだ。」と言った。
「みんな心配しないでよー。もしいなくなったらもっと悲しくなるんだから。ここは笑顔で行ってきますって言った方がいいでしょ?」
「それじゃあ行ってくるね!」
そして、妹は一週間ほど入院し、ついに私と妹の心臓移植手術が開始した。
第四話に続く
もともと、生まれつきで心臓に何らかの障害があった私は、幼い頃から病院で過ごすことが多かった。心臓の機能が年々落ちていることも自分ではわかっていた。稀に血液の逆流を防ぐためにある弁が機能しなくなり、左心房の血圧が上昇し、心臓にかかる負荷が大きくなってしまう。大動脈弁逆流症という病名がある。私はこれを起こしていた。だから医師の言う通り心臓の臓器移植が必要であるのは確かだが、家族にかかる負担が大きい。崖に登っているとして、上から大きい岩が転がってきてそれに巻き込まれて落ちるような負担がおしかかっている。そして私は意識を取り戻して、目が覚めた。
両親は、心臓検診の検診を受けると妹から連絡がきたが、私はこう言った。
「気持ちだけ受け取っておくよ、私たち子供と大人の心臓の大きさなんて明らかに違うんだから、お父さんとお母さんは無理だと思うんだ。私はどうせ死ぬんだからさ諦めなよ。」それを聞いた妹は、
「お姉ちゃんそんなこと言わないでよー!
私はお姉ちゃん大好きなんだから。絶対助けるよ。だから私、心臓移植の検診受けるよ。」と言った。
「え、何で?」
「私1番健康だから。お姉ちゃんに捧げようと思ったの。けど私も受けようと思っていたんだけどお父さんとお母さんに猛反対されてね。とてもリスクがあるのはわかってるけど、でもいいんだ。私が死んでも、お姉ちゃんが元気に生きてくれたら。」
「・・・。」
私は、妹にこのことを言われたら悲しくなってきた。私が助かるには妹という犠牲者を出す必要があるなんて思わなかっただろう。そのことに対して私に自殺心が芽生えてしまった。
「死にたい、死にたい、死にたい」
持っていたカッターで自分の手首、顔と首の大動脈のところを切るほどの自傷行為にまで発展した。ずっと思っていたせいで眠ることもできない。まだ、右手に血が付着したカッターを強く握りしめていた。身体中に包帯を巻きつけて泣きながら死を願っていた。いつか天に召される時が来るだろうと。
翌日家族が見に来ると全身血でいっぱいだった。
「大丈夫?」
「ねぇ、どうしてこんなことになってるの?」医師も唖然としていた。
「なぜこんなことに?深夜見にきたのにその時傷はひとつもなかったのに。」
一同驚いていた。
「大丈夫。ちょっと体調が悪くて血を吐いちゃったみたいで・・・。」
本当は自分で切ったっていえないもの。11歳の私がカッターで切ったなんて。
「実は、皆さんにいっておかなければいけないことがあります。心臓移植の検診なんですが、お二人ともヒットしませんでした。適していなかったと言うことでした。」医師が両親に行った検診はダメだった。
「ああ、もう終わりだ。」
「他にいないのかな。」
「でもドナーの人に待ってもらうと結構時間がかかってしまう。死んじゃうかもしれないのよ。」
すると医師がこう言った。
「ちょっと待ってください、他で当たった人がいたんですよ。」
「お姉さんにあった人があまりいらっしゃらなかったんですが、1人いたんですよ。」
「妹さんです。」
「え?私?」
そのことを聞いた両親は唖然とした。
「まさかヒットしてしまったのか。」
「いつ受けたかわからないけど、お姉ちゃんを救おうとしたのね。」
心臓移植のドナーは存在しているが、できるだけ早く移植をしてほしい家族の願いから、まず家族の中から誰か適応する人がいるかどうかを検査したのだ。
でも両親は絶対妹が受けると分かっていた。
両親だけじゃなくて、私も涙が止まらなかった。死ぬつもりだったのに、生きる希望がここにあった。家族だった。
「こんな私のためにありがとう。」と私は言った。
「妹さんは、二歳下で同じ子供なので心臓の大きさがお姉さんとほぼ変わらなかったので、ヒットしたのではないかと思われます。」
妹はこれで私を救うことができるんだと言う笑顔をしているけれど、他は違った。
「やめてくれ!いかないでくれ!」
「私も行かないで!」
って止めてあげたいけど妹の意思が固かったので、注視することができなかった。
「成功できるか心配だ。」
「妹がいなくなるかもしれない。」
と、両親は思っていたのだ。
そういえば妹は私に、
「わたしは、お姉ちゃんが元気で生きてくれればそれでいいんだ。わたしが死んでもね。」と言っていた。さようならを言う準備はできていると言うことか。
「成功する確率は、とても低いです。なぜなら子供同士なので体や臓器が未発達なので、大人の何倍の痛みを伴います。」
みんなうつむいていた。
「ごめんな・・・。」
「せっかく2人を産んだのに。」
みんなに泣き叫んでいた。
特にお父さんがね。
「娘2人をここでなくすわけにはいかないんだ。」と言った。
「みんな心配しないでよー。もしいなくなったらもっと悲しくなるんだから。ここは笑顔で行ってきますって言った方がいいでしょ?」
「それじゃあ行ってくるね!」
そして、妹は一週間ほど入院し、ついに私と妹の心臓移植手術が開始した。
第四話に続く
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