サバイバルパーティー

Hanakappa!

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第9話 告白

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私は、これまでにたくさんのものをなくしてきた。小学校入学祝いのお姫様柄の鉛筆とか、中学時代にお母さんが編んでくれたマフラーを初日でなくすこともあった。けれど今回は過去最大級の忘れ物をしたみたい。しかも必ず”忘れ物”を取りに行かなければならなくなってしまった。きっと誠由美も同じ心境なのだろう。

彼女は私の隣で何食わぬ顔で窓の外を肘を付きながら見ていた。
雲に覆われ、大雨によってどんよりした天気の中、先生の車にいる。

「ねえ。二人共。そろそろ私の家につくよ。」
先生が言った。
「はーい」と答える二人。

そして私は先生にとあることを打ち開けようとしていた。
「この間の件なんだけど、先生が高校三年のときのこと、詳しく教えてくれないかな」
「いいよ。」

赤信号になり、ブレーキペダルを踏んだ瞬間、先生は私達二人にこういったのだ。

「私は村井高校出身なのは知ってるとは思うんだけど、実はこの時期に今と同じような事件が発生したの。たしか11月ぐらいだったかな。」

”先生が当時在籍していた村井高校は、まだできたての高校でね。そんなに今のような人はいなかったの。田舎にある小規模な高校っていう感じだった。今は頭のいい進学校として認知されているけれど、当時は少し頭の悪いところだったんだ。で、事件っていうのが、学校の裏道で女子生徒が20人虐殺されているところから始まったんだ。3人は制服で、他の17人は体操着で見つかったって言ってた。学校側から説明されたのが、制服を着ている人のほうが明らかに外傷がひどかったとのことで、鈍器で数回、頭蓋骨が半分なくなるくらいまで殴り、周辺の木々に足を縄で縛り、逆さに吊るされていたという。ちなみに他の人は胃の内容物から有毒ガスを吸い込んだとして一酸化炭素が致死量入っており、軽傷で済んだのかと思われたが、おそらく上から放ったものなのかわからないが、ボウガンの矢が脳天に刺さっていることに司法解剖中に気がついたって言われたんだ。それを聞いた私はなぜか犯人について知りたくなってしまったんだ。なぜなら犠牲者の中に友達と私の妹がいたからだった。敵討ちっていうわけじゃなかったけど、このまま虐殺される運命にあるのなら何もしないよりかは行動したほうがいいって思ったんだ。何度も「自分じゃ無理だ。あいつらと同じことにはなりたくない!」って死が誰よりも怖かった。
全然寝られなくて血の涙まで出てしまうほど私は病んでいたけれど、私は、「助けて・・・。」「このままだと、、みんな死んじゃうよ。」「お願い私をここから出して!」「ここから逃げないで一緒に死のうよ」「もっと生きたかった」と色々な声が聞こえてきたんだ。夜中、全然寝れなかった私は家を出てパジャマ姿で妹たちが死んだ場所に行ったの。そしたら幻覚が見えてしまったの。一人さまよっているところにゾンビのような色をした手が地面から私に差し伸べてくる。「こっちにおいで」とでも言いたいのか。私の周りを手で埋め尽くしたの。まるで米を収穫したあとの稲穂のように。
「この人達はここで命を落とした20人ってこと?ということはあの声の主はこれだったのか。」

私はしゃがみこんでこう言ったんだ。
「いやあああああああああああああ!!!!!!」
カラスの群れが一斉にどこかに飛んでいく衝撃が物語っていくだろう。そんなにきつかったんだ。けどここで私の運命を変えてくれたんだ。
「お姉ちゃん。なんで私、死んじゃったの?なんでここにいるの?教えてよ」
そう、もうここにいない妹の声が聞こえたんだ。それから私は、この幻覚を色んな人に話しても、もちろん誰一人味方にしてくれる人はいなかったんだ。だから一人で学校を抜け出しては遠方まで調査に行ったりした。なにか心当たりはないのかって思いながら、あのときは死に物狂いでなんでもやってたからさ。それから私は、犯人を見つけるために様々な場所を探したの。ここらへんは山が多いから人通りも少ないし、スムーズに見つけられるかなと思って。けど何も見つからなかった。その間に教師、生徒が次々に虐殺されていたことを当時は知らなかったの。何日か経って学校に戻ろうとしたら、体育館を見ても、1年生が集会していた痕跡が残っていた。もちろん毒ガスでみんなくたばっている。2年生もみんな第2体育館でくたばっている。そして教室に戻ろうとしたら、3年の廊下が血の海になっていたんだ。どこの教室も血だらけになっている。私のクラスも同じような惨状だった。唯一私の担任だけ襲撃されていたものの、まだ息が残っていた。
「先生!」
「おお・・・。お前か。」
「一体!何があったんですか!」
「いや。気にするな・・。お前は、早く、ここから逃げろ。」
「いいんですか?そんなことして。」
「いいから早く逃げろ!」
「え・・。は、、はい!」
私は、先生と学校を見捨てて裏道の参道から逃げ去ったのだ。
「あいつだけ、生きてくれたら。おれは、、、、」
それから先生は静かに息を引き取ったんだという。
私は当時何も考えられなかったの。目に亀裂のようなヒビが入って、血の涙を吹きながら、どこかに行ったのだ。そう、家だったんだ。家に行けば安全だって。そう思ってた。

ガチャ。

「おお、おかえり。」
「お父さん!!なんでここにいるの?」
「急に驚かせちゃってゴメンな。いやアメリカで仕事をしてたんだけど、急に家に帰りたくなってしばらくお休みをもらったんだ。」
「そうだったんだ。」
「お前こそ、どうしたんだ。まだ昼間なのに制服姿で何してたんだ。」
「実は・・・。」
私はお父さんに経緯を話したんだ。お父さんはアメリカでFBIの捜査官をしている。
だから助けてもらえるのではないかと思って、相談したんだ。すると、
「まだ新聞とかにも事件は乗っていないんだな?よし、わかった。とりあえず警察に行って話してみよう。」
「うん。わかった」


そして私とお父さんの二人で近くの警察署に行ったんだ。
車を降りた瞬間。

パン!!

「えっ?」
なんと私は足を撃たれたんだ。もう死ぬんじゃないかって悟ったの。
(だって皆もういるんでしょ?天国に。)
すると、「私はFBIのものだ。警察官がなぜ善良な一般市民を無差別に射撃するんだ?」
お父さんは腰に抱えていた銃で発砲した警官たちを脅威に陥れたんだ。
「ひっ、ひいいいいいい!!」これに警官たちは戦意喪失になった。
「おい。大丈夫か?」
「うん。大丈夫。」
こんなかっこいいお父さん見たことがなかった。年に数回しか帰ってこないから、すごく悲しかったけど、仕事しているお父さんを見るとやはりかっこいいんだなってなったよ”

「少し戻るけど、私は、二人を見てるとあの頃を思い出すんだよね。」
「先生って普段普通に見えて結構苦しかったんだね。」
「結局どうなったの?」

”お父さんによって事件が明るみに出たの。そしてまさかの事実が発覚したの。
それが、この町に警官はいないということ。そう、実はお父さんから後々聞いたことなんだけど、警官を見たときに何か見覚えがあるって言ってたのよ。それが、アメリカで大企業の会社ごと爆発テロを起こした組織だってことが発覚したの。当時学校から警察に通報を受けて、ある程度の警備はしていたんだけど、警官はすべて事前に殺されていたの。で、その警備をしていたというのが警官に扮していたテロ組織そのものだって言うことだったの。見た目は日本系の顔立ちをしていて、英語と日本語を流暢に喋れることから、違和感がまったくなかったの。1,2年は毒ガスで一掃したが、3年だけ一斉に銃で射撃を行ったんだというの”

「まあ。こんな感じだわ。引かないでよね。今同じことが起きてるんだから。家についたから早く降りる準備したほうが良いよ」

「わかった」


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