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むひ

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翼をください

20話 強さとは

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 三日後、エニスはナカムトに庭に呼ばれた。
「傷や疲れもだいぶ取れたろ。これから本題に入る。エニス、お前は欠片の力を分かっていない」
「欠片の力…知ってるんですか?」
「知ってるも何もお前…まあいい。欠片は確固たる信念がないと発動しない。イールビとか言うやつと戦った時は出てこなかったろ。それは迷いだ。ほんとにイールビを倒していいのかというな」
「確かに声を奪う悪いやつかもしれないが元はいい人だと…」
「それだ。それがお前の弱さだ。お前は何を信じて戦ってるのだ」
「僕は西に行けば何かが分かると。でも一緒にいてくれる仲間がいて、苦しんでる人がいっぱいいて。助けたいって…」
「曖昧だな。だから力が使えない」
エニスは焦っていた。救えない自分に。
「じゃあどうすれば!」
「仲間を救いたい。それだけで良いのではないか?人は無力だ。全ての人を救うなどそんなものは自己満足に過ぎない。誰かを救おうとすれば誰かが不幸になる。だとすれば身近な人を救うのに全力を傾ける。それでいいではないか」
「それでも全ての人が幸せになる方法が…」
「お前の優しさは偽善だ!身近な人を救えないのに何が全ての人だ!まずは目の前に居る人を見るんだ!目の前に居る人、自分を慕ってくれる人達を守れ!」
「目の前の人を守る…」
「そうだ、話はそこからだ。それを続けていけば自ずと見えてくる」
「力…力が欲しい。目の前の人を守れる力が!」
「三年だな。三年修行することだ」
「そんなに待てません。こうしてるうちに不幸な人が増えていく。それに仲間も見つけなきゃ!」
「また同じことを繰り返すのか?同じ辛さを味わいたいなら行くが良い」
「くっ……」
「心配するな仲間は私の友ヨツネコに任せてある。お前達は安心して修行するが良い。言い忘れていたが電子鳩がいるだろ。あれは人のanythingに反応して飛んでいく。誰に飛ばしたいか願って飛ばせば伝言は伝わる。私の電子鳩を使うが良い」
「ありがとう。使わせてもらいます」
エニスの思いを乗せた電子鳩は飛び立った。

 部屋に戻りジースーに顛末を話した。
「三年か…妹達も心配だけど強くならなきゃ助けられないよね。僕も強くなりたい。必ずリファーの声を取り戻すよ」
外からナカムトの声が飛んできた。
「おい!何をしてる!修行だ!」
二人は慌てた。
「はいいい!」
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