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むひ

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最終決戦

26話 コーナーズ

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 イヤザザガーデンではライブの準備に追われていた。次の出番はコーナーズ。
アキーチャは緊張しているようだった。リファーが励ます。
「アキーチャ大丈夫だよ、いっぱい練習したんだしみんな喜んでくれるって」
リンレも続く。
「そうだよ、今回の新曲めっちゃいい曲だし楽しく歌おうよ」
アキーチャも少しは落ち着いたようだった。
「ごめんね、どうしても新曲の初めは緊張しちゃうの」
リンレは踊りながら。
「もっと気楽に行こうよ!少々間違えても大丈夫♪」
リファーは笑いながら。
「リンレらしいよね。たまにはちゃんと歌詞覚えてきてね」
「あれ、そうだっけ?あたしそんなに間違えてる?」
リンレが真顔で言っていたのでアキーチャとリファーは笑った。アキーチャの緊張はすっかりほぐれたようだった。
「みんなありがとう。もう大丈夫。でもミユウさんはどこへ行ったんだろうね」
ギルド興行の主軸であったミユウは突然声が出なくなり失踪したのであった。
リファーも相槌を打つ。
「そうよね、あれだけ人気があって突然ですもの。ショックは大きいわよね。リンレだったらどうする?」
「私がもし声を奪われたら…そうね…奪ったやつ探し出して殴りに行くわ」
二人は声を揃えた。
「「やりそうwww」」
「準備はできた?」とエリーヌが出てきた。
「今回の曲は力入ってるからお願いするわよ、頑張ってちょうだい」
「はい、マスター!」と、三人は気合を入れた。
「私もこのお歌大好き!お姉ちゃん達頑張ってね」
メオリーもお気に入りの様子でヤミーと興奮していた。

 会場は熱気に包まれ今か今かと観客はコーナーズを待っていた。
舞台がセリ上がりコーナーズの姿が見えた。音楽が鳴る。ドライアイスの煙、色とりどりとサーチライト。観客も興奮する。
リンレがマイクに向かう。
「今日は来てくれてありがとう。それでは聞いてください。新曲『FAIRY STORY』」
観客の声援が最高潮に達した時だった。
バーンという音と共に照明が消え、静寂が包む。会場はどよめき悲鳴も上がった。
リファーは咄嗟にマイクを持つが声が入らない。あらぬ限りの声で叫んだ。
「みなさーん!落ち着いてください!どうか落ち着いてください!」
裏ではエリーヌが慌てていた。
「ちょっと何なのこれ!誰かブレイカーを調べてきてくれる?ん?何か音がするわ何かしら?」
舞台に轟音と共に黒い霧がかかる。リンレ、リファーは咄嗟に身を伏せた。
アキーチャは遅れたようで黒い霧に包まれていた。
「アキーチャ!」リンレは助けようと黒い霧に飛び込んだ。
リファーは止める間もなかった。「もうほんとに!どうかなる時は三人一緒なんだからね!!!」リファーも黒い霧に飛び込み、霧は三人を飲み、あっという間に消え去った。
残されたコーナーズは舞台に横たわっていた。
エリーヌは三人に駆け寄る。
「アキーチャ!リンレ!リファー!大丈夫?警備はどうしたの?ヤミー、メオリーはとりあえずお客さんを誘導して!」
エリーヌは会場をまとめ指図を飛ばす。ひとまず会場は落ち着き、三人も気がついたようだ。
エリーヌはほっと一息ついた。
「良かった。無事なようね。怪我はない?」
三人は何か言おうとするのだが声にならない。顔を見合わせた。
エリーヌは異変に気付いた。
「声?声がでないの?」
三人は頷く。
「一体何で!さっきの霧はなんなのよ!」
コーナーズは泣いていた。自分たちの歌が、皆に届けたい歌がこれから歌えなくなる、という現実を目の前に晒されたのである。エリーヌにはその気持ちが痛いほど分かった。
会場は涙に溺れた。
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