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むひ

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最終決戦

38話 悲しき魔女

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 「ムヒコーウェルさん、お薬をお願いします」
「あら、ムシャさん。はいはい、お薬ね。お婆さん良くなった?冬は余計に悪くなるから温めて上げてね」
「はーい、ありがとうございます。いつもいつもすいません。あっ、またあの美しい歌もまた披露してくださいな」
「あらヤダ!美しいなんて。そんなことありませんのよ。いいのよ、あたしはこれくらいのことしかできませんから」

 数日後、ムヒコーウェルの家にドタドタと兵士が入ってきた。
「魔女はお前か!連行する」
「ちょっとなに!やめてちょうだい!離して!」
ムヒコーウェルは広場の処刑台に連行された。十字架に磔にされ足元には薪がくべられた。
兵士が聴衆の前に立つ。
「これより魔女の処刑を行う。この者は魔術により国を貶める危険人物である!よって法律により処刑する!」
「殺せー!」聴衆は騒ぎ立てる。
ムヒコーウェルはあらぬ限りの声で助けを求めた。
「あたしが何をしたっていうの!病気を治すことはそんなにいけないことなのですか!」
「魔術を使うことは法律禁じられておる。この物も証言している」
ムシャは前に出された。
「ムヒコーウェルさん…ごめんなさい…」
「ムシャさん…あたしは魔術なんか使ってません!ほんとです!信じてください!」
ムシャは泣いていた。
「ごめんなさい…仕方なく…ごめんなさい…」
ムシャは泣き崩れた。
見るとムシャの体には無数の傷、拷問の痕あった。
「まだある。この街の歌演団体からも魔力を持つ歌で民衆を魅了していると」
「そんな…あんなに仲良くしてたのに…」
「もう言い残すことはないか?魔女よ」

「…してやる。

…殺してやる…

皆…

殺してやる!!!!」

ムヒコーウェルは力の限り暴れた。繋がれた手首から血が滴る。髪を振り乱しそれはそれは凄い形相で聴衆を睨んだ。
「処刑を始める!!!」
薪に火がつけられた。火は足元からムヒコーウェルにまとわりつく。
「殺してやるぅぅぅぅ!!!一人残らず!!熱い!助けてぇぇぇぇ!覚えていろ…お前ら…覚えていろ…この怨みはらさでおくべきか…」
ムヒコーウェルは混沌の中に思った。私が魔女になればいい。本当の魔女になって自分の恐怖を、痛みを思い知らせてやると。
燃え盛る炎の中ムヒコーウェルは笑った。
「ふふふ…はっは…おーほっほっほほっほ!!!!」
周りの空気が淀んだ。黒い霧がどこからか這い出しムヒコーウェルへ集まる。
聴衆はザワついた。
「ほら見ろ!やっぱり魔女だ!こいつは魔女だった!殺せー!」
霧はムヒコーウェルを包み込み火を消した。バチン!という音と共に鎖が引きちぎられムヒコーウェルは地に立った。聴衆は逃げ惑う。
ムヒコーウェルは口を開く。


「It’s show time.」
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