anything

むひ

文字の大きさ
42 / 85
旅立ちとはまさに出会いである

~プロローグ~

しおりを挟む
 「あー忙しい!オーニズのおかげで大繁盛だけどその分事務処理が大変なのよね」
イヤザザのギルドでは店が閉まった後もエリーヌは事務作業に追われている。扉の外が騒がしい。扉が勢いよく開きマカル、リファー、ムーフーが走り込んできた。
「全く騒がしいわね。今忙しいのよ、静かにしてくれる?」
エリーヌは目線も上げずに作業に追われる。
マカルがバンバンとテーブルを叩く。
「にぃに達がいなくなっちゃったの!」
エリーヌは手を止めた。
「一体どういう事よ」
ムーフーは涙をうかべる。
「もう一ヶ月も帰ってこないの」
「一ヶ月前と言えば…」
エリーヌは記憶を辿る。
「オーカマバレーの近くに異変が起こったの。その調査に行ってもらってからよね。確かに一ヶ月はおかしいわ、調査期間は一週間だったはず。私も仕事に追われて時間の感覚がなかったし、オーニズなら大丈夫だと思っていたから…」
リファーは泣きじゃくる。
「絶対何かあったのよ。探しに行かなきゃ。エリーヌさん許可を出してください!」
エリーヌは考えた。
「うーん、確かにあれから十年経ってあなた達も成人。『イーモズ』としてギルドクエストをこなしてきたわ。でも危険じゃないかしら」
マカルはテーブルをバンバン叩く。
「私達が行きます!ぜーったい私達がい!き!ま!す!」
イーモズの決意の視線がエリーヌを刺す。
「わ、分かったわよ。オーニズの看板で今ここのギルドは大盛況だったから行方不明は確かに困るわね。でも危険だと思ったら直ぐに帰ってくる事。いいわね!」
三人の顔が晴れた。

「「「ありがとうございます!」」」

「それはそうと、リファーはコーナーズの活動もあるのよ」
いつの間にかアキーチャ、リンレも部屋に入ってきた。
アキーチャは「そういう事だったのね」と。
「どうりでリファーは最近の練習に身が入ってなかったのね。それは心配だわ」
リンレがリファーの肩に手を置く。
「行ってきなさい。こっちは二人でなんとかするから心配しないで」
リファーは頷く。
「ありがとう、アキーチャ、リンレ…」
エリーヌが手をパンッと叩いた。
「それじゃあ二人にはリファーの分も倍働いてもらわないとね」と、ウインクした。
「それでは司令を出します。イーモズはオーニズを探し出すこと。行ってらっしゃい!イーモズ!」

「「「いってきます!!」」」
しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...