anything

むひ

文字の大きさ
47 / 85
旅立ちとはまさに出会いである

5話 教会騎士団

しおりを挟む
 アムーロ教会では会議が開かれていた。司教を中心に円卓が組まれ教会騎士団幹部三名、カクト、リカー、ヒャノが重々しい空気の中座っていた。司教が口を開く。
「時は動いたか…カクト、分かっているな」
「はっ、司教様。我々の目的は大悪魔ムビー様の復活。その鍵を握る事」
「我々教会が悪魔をこの世に出すとは皮肉なものだな。だが、それもいたしかたあるまい。教会は罪の意識を浄化させ成り立つ。そのためには罪が必要なのだ。幹部三名の極秘任務だ、検討を祈る」
「「「はっ!」」」

 会議室を出た三人は別室で密談をした。カクトが切り出す。
「先ずはの確保だな」
リカーは頷く。
「第一の鍵は開いた。残る鍵は…」
ヒャノが立ち上がる。
「行こう。



 ダッタン国噴水広場は恋人の憩いの場。目のやり場に困る。そんなのには目もくれず、リファーは謎を解く名探偵のように思考を回す。
「なんだかクエストとは別に調査をしてたものがあるようね」
「そうね」とムーフー。
「異変の調査で図書館に行くのもおかしいし、アイテムショップで謎の小瓶、マカルを心配してた…」
マカルは震える。
「私に何かあるのかなー…怖い…」
リファーがなだめる。
「大丈夫よ、きっと。オーニズも絶対無事だわ。あれだけの修羅場をくぐってきたんだから。信じましょう」
マカルはうなづく。
「そうだよね。今は信じるしかないもんね。あの時みたいに」
ムーフーはスクッと立ち上がる。
「でもね、前と違うのは私たちも今は力が着いたって事。私たちの手で絶対お兄ちゃんを見つけてみせる!三人ならできないことないよ!スーパーヒーローの妹達なんだよ!」
二人はうなづく。リファーは「はっ」とする。
「そういえばセッツ山近いよねナカムトさんなら何か分かるかも!」
「そうだね!」ムーフーも名案とばかりにリファーを褒める。
「そうと決まれば」マカルが立ち上がる。
「セッツ山へレッツゴー!」

 セッツ山はダッタン国最高峰の山脈。簡単には登らせてくれない。「あっ!」山の入口でマカルは食料があまりないことに気づいた。
「ねぇどうする?せっかくここまで来たのに戻るのも時間かかるし…」
三人が悩んでいると後ろから女性の声がかかった。
「お困りですか?」
リファーは「実は…」と。
「ここまで来たものの食料が少し足りなくて」
「そんなことならうちに来なさい。私はレモ。なんだかあなた達は初めての気がしないのよ。放っておけないわ」
「いいんですか?」
「気にしないでちょうだい。昨日何故かキョーサを作りすぎて困ってるのよ」
マカルの目が輝く。
「キョーサ!大好物なの!」
ムーフーはたしなめる。
「マカル!興奮しないの!」
「だってキョーサだよ!興奮するでしょー」
リファーはハンケチを出す。
「マカルはとりあえずヨダレを拭きなさい」
レモが笑う。
「仲のいいこと」
 
 レモの家に着き、キョーサを包んでもらった。
「はいどうぞ。でもなんでかしらね。あなた達は懐かしい感じがするのよ」
リファーはうやうやしく受け取る。
「ありがとうございます。何でか分かりませんけど私もそう思ってました」
「何かの縁かしらね」
「全ては繋がってますから」
「そうよね、知らない人が実は誰かの知り合いだったり。前も倒れてた人を助けたんだけど後で『力を貸してください』って、そしたら平和が訪れた…不思議だものよね」
ムーフーは少し興奮しながら聞き直す。
「『力を貸してください』ってanythingの事よね!エニスだよね!レモさんエニスに会ってるの?」
「エニスを知ってるの?ええ、エニスと名乗っていたわ」
「じゃあオーニズは?」
「いいえ、オーニズは来てないわ」
「そうですか…実はオーニズがいなくなってしまって…探してるんです」
「三賢者がいなくなってしまったの?それは大変だったわね。でもオーニズはそれからも見てないわね。ん?そういえば2週間前にセッツ山が騒がしかったような…」
「もしかすると、お兄ちゃん達かも…」
しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを 

青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ 学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。 お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。 お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。 レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。 でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。 お相手は隣国の王女アレキサンドラ。 アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。 バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。 バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。 せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

処理中です...