anything

むひ

文字の大きさ
51 / 85
旅立ちとはまさに出会いである

9話 世界とは

しおりを挟む
 「ねえ、あれじゃない?」
ムーフーは門を見つけた。
死にそうだったマカルは途端に元気になる。
「やったー着いたー!すいませーーーん!」
「待ってよー」とリファーは追いかける。
マカルは門を叩きながら誰か居ないか確認する。
「すーいーまーせーーーーん!」
すると中から声が聞こえた。門が開き中から女性が焦りながら出てきた。
「そんな大きい声出したら御館様が起きてしまします。私はウニョ。どうぞお入りください」
ウニョに通され館に向かう途中ナカムトが鬼の形相で仁王立ちしていた。
「全く!お前ら兄妹はうるさくて敵わん!何回私を起こせば気が済むんだ!」
リファーはハッとする。
「今、兄妹って言いました?兄たちは来たのですか?」
「あいつらもほんと騒がしくて起きてしまったわい。バタバタ聞くだけ聞いてさっさと帰りやがる。全く人の寿命を縮めておいてなんだと思ってるんだ。ほんとに!」
ムーフーは食いつく。
「何を聞いて行ったんですか?教えてください」
ナカムトはチラッとマカルを見る。
「うーん、それは今は言えん」
「なんでですか?お兄ちゃん達いなくなってしまったんですよ!教えてください!」
「いなくなった…か…」
ナカムトは少し考え、手をパンパンと叩き、ウニョにロウソクを持ってこさせた。
「例えばだ」と、ナカムトはロウソクに火をつけた。
「この炎はどこから来たのだ?」
マカルの頭がハテナで埋め尽くされた。
リファーは考える。
「どこから?付けたから?」
ナカムトはふーっと火を消す。
「炎はどこに行ったのだ?」
マカルはムーフーに耳打ちをする。
「このおっさん頭大丈夫かな?」
「ちょっと!おっさんって!」
ナカムトが鬼の形相で睨んだ。
「聞こえてるぞ!」
二人は震え上がった。
「「ごめんなさい!!!」」
ナカムトは続ける。
「まあいい、炎は突然現れた訳では無い。大気中の元素、そしてロウソクの物質、それが他の炎の力を借りてここに存在してるんだ。たまたま火をつけた瞬間、炎として存在しているんだ。消しても炎が訳では無い。また他の存在に戻っただけなのだ。だから、いなくなったからと言ってが消えた訳では無い。騒ぐな」
マカルは頭を抱え込んだ。
「さっぱりわからないいいいいいい」
「今は分からなくていい。ただ心配するなという事だ。意外と近くにいたりしてな」
ナカムトはイーモズの向こうの一輪の花をチラッと見て笑い、館へ帰って行った。
取り残されたイーモズはポカーンと口を開けていた。
「ほらほら」と、ウニョは背中を押す。
「ご飯の準備ができているわ、食堂へどうぞ。今日はアオインが久しぶりの来客に腕を振るっているの。あなた達のお兄さんは食べずに帰ってしまったから…食べずに帰ったら知らないわよ…」
と、ウインクする。
ムーフーは旅の疲れと空腹でお腹が鳴った。
マカルは茶化す。
「ムーフーが全部食べるって!」
「こら!マカル!余計なことを言わないの!」
リファーはお辞儀をする。
「せっかくなので頂いていきます」
「着替えも用意してきたから着替えて」と、ノーラが寝巻きを持ってきた。
イーモズは改めてお礼を言った。

 その夜、みんなが寝静まる頃、マカロはふと目が覚めた。
「なんだろ?胸騒ぎがする。……あっち?」
何かを感じたマカルは感じるままに歩く。すると御堂のような建物に行き着いた。
「ん?ん?ジースにぃの匂いがする」
扉に手をかけるとスーッと開いた。

ドクン

鼓動が早くなる。

ドクン

誘われるまま中に入る。

ドクン

「体が熱い…」

ドクン

「そこを出ろ!!」
ナカムトが入ってきた。
はっと我に返ったマカルは御堂を出る。
地面に崩れるように力が抜けた。
「やはり誘われたか…お前はまだ早い」
「ここは…なんなんですか?」
「言えぬ。それが約束だ。もう寝なさい」

 次の日、アオインがオニキリを作ってくれ、送り出してくれた。
山を降りる中、マカルの元気が無いことにリファーは気づいた。
「どうしたのマカル?」
「うううん、何でもないよ。少し疲れたのかな」
「そう、顔色も悪いわ。状態回復魔法かけようか?」
「大丈夫、すぐ治るよ。ありがとうリファー」
「そう、ならいいけど…」
リファーはマカルの目の奥に何かを感じた。
ムーフー二人を振り返りダッタン国が近くなったのを教える。
もう辺りはすっかり暗くなり。遠くからオオカミの遠吠えが聞こえた。
しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

処理中です...