51 / 85
旅立ちとはまさに出会いである
9話 世界とは
しおりを挟む
「ねえ、あれじゃない?」
ムーフーは門を見つけた。
死にそうだったマカルは途端に元気になる。
「やったー着いたー!すいませーーーん!」
「待ってよー」とリファーは追いかける。
マカルは門を叩きながら誰か居ないか確認する。
「すーいーまーせーーーーん!」
すると中から声が聞こえた。門が開き中から女性が焦りながら出てきた。
「そんな大きい声出したら御館様が起きてしまします。私はウニョ。どうぞお入りください」
ウニョに通され館に向かう途中ナカムトが鬼の形相で仁王立ちしていた。
「全く!お前ら兄妹はうるさくて敵わん!何回私を起こせば気が済むんだ!」
リファーはハッとする。
「今、兄妹って言いました?兄たちは来たのですか?」
「あいつらもほんと騒がしくて起きてしまったわい。バタバタ聞くだけ聞いてさっさと帰りやがる。全く人の寿命を縮めておいてなんだと思ってるんだ。ほんとに!」
ムーフーは食いつく。
「何を聞いて行ったんですか?教えてください」
ナカムトはチラッとマカルを見る。
「うーん、それは今は言えん」
「なんでですか?お兄ちゃん達いなくなってしまったんですよ!教えてください!」
「いなくなった…か…」
ナカムトは少し考え、手をパンパンと叩き、ウニョにロウソクを持ってこさせた。
「例えばだ」と、ナカムトはロウソクに火をつけた。
「この炎はどこから来たのだ?」
マカルの頭がハテナで埋め尽くされた。
リファーは考える。
「どこから?付けたから?」
ナカムトはふーっと火を消す。
「炎はどこに行ったのだ?」
マカルはムーフーに耳打ちをする。
「このおっさん頭大丈夫かな?」
「ちょっと!おっさんって!」
ナカムトが鬼の形相で睨んだ。
「聞こえてるぞ!」
二人は震え上がった。
「「ごめんなさい!!!」」
ナカムトは続ける。
「まあいい、炎は突然現れた訳では無い。大気中の元素、そしてロウソクの物質、それが他の炎の力を借りてここに存在してるんだ。たまたま火をつけた瞬間、炎として存在しているんだ。消しても炎が無くなった訳では無い。また他の存在に戻っただけなのだ。だから、いなくなったからと言ってそのものが消えた訳では無い。騒ぐな」
マカルは頭を抱え込んだ。
「さっぱりわからないいいいいいい」
「今は分からなくていい。ただ心配するなという事だ。意外と近くにいたりしてな」
ナカムトはイーモズの向こうの一輪の花をチラッと見て笑い、館へ帰って行った。
取り残されたイーモズはポカーンと口を開けていた。
「ほらほら」と、ウニョは背中を押す。
「ご飯の準備ができているわ、食堂へどうぞ。今日はアオインが久しぶりの来客に腕を振るっているの。あなた達のお兄さんは食べずに帰ってしまったから…食べずに帰ったら知らないわよ…」
と、ウインクする。
ムーフーは旅の疲れと空腹でお腹が鳴った。
マカルは茶化す。
「ムーフーが全部食べるって!」
「こら!マカル!余計なことを言わないの!」
リファーはお辞儀をする。
「せっかくなので頂いていきます」
「着替えも用意してきたから着替えて」と、ノーラが寝巻きを持ってきた。
イーモズは改めてお礼を言った。
その夜、みんなが寝静まる頃、マカロはふと目が覚めた。
「なんだろ?胸騒ぎがする。……あっち?」
何かを感じたマカルは感じるままに歩く。すると御堂のような建物に行き着いた。
「ん?ん?ジースにぃの匂いがする」
扉に手をかけるとスーッと開いた。
ドクン
鼓動が早くなる。
ドクン
誘われるまま中に入る。
ドクン
「体が熱い…」
ドクン
「そこを出ろ!!」
ナカムトが入ってきた。
はっと我に返ったマカルは御堂を出る。
地面に崩れるように力が抜けた。
「やはり誘われたか…お前はまだ早い」
「ここは…なんなんですか?」
「言えぬ。それが約束だ。もう寝なさい」
次の日、アオインがオニキリを作ってくれ、送り出してくれた。
山を降りる中、マカルの元気が無いことにリファーは気づいた。
「どうしたのマカル?」
「うううん、何でもないよ。少し疲れたのかな」
「そう、顔色も悪いわ。状態回復魔法かけようか?」
「大丈夫、すぐ治るよ。ありがとうリファー」
「そう、ならいいけど…」
リファーはマカルの目の奥に何かを感じた。
ムーフー二人を振り返りダッタン国が近くなったのを教える。
もう辺りはすっかり暗くなり。遠くからオオカミの遠吠えが聞こえた。
ムーフーは門を見つけた。
死にそうだったマカルは途端に元気になる。
「やったー着いたー!すいませーーーん!」
「待ってよー」とリファーは追いかける。
マカルは門を叩きながら誰か居ないか確認する。
「すーいーまーせーーーーん!」
すると中から声が聞こえた。門が開き中から女性が焦りながら出てきた。
「そんな大きい声出したら御館様が起きてしまします。私はウニョ。どうぞお入りください」
ウニョに通され館に向かう途中ナカムトが鬼の形相で仁王立ちしていた。
「全く!お前ら兄妹はうるさくて敵わん!何回私を起こせば気が済むんだ!」
リファーはハッとする。
「今、兄妹って言いました?兄たちは来たのですか?」
「あいつらもほんと騒がしくて起きてしまったわい。バタバタ聞くだけ聞いてさっさと帰りやがる。全く人の寿命を縮めておいてなんだと思ってるんだ。ほんとに!」
ムーフーは食いつく。
「何を聞いて行ったんですか?教えてください」
ナカムトはチラッとマカルを見る。
「うーん、それは今は言えん」
「なんでですか?お兄ちゃん達いなくなってしまったんですよ!教えてください!」
「いなくなった…か…」
ナカムトは少し考え、手をパンパンと叩き、ウニョにロウソクを持ってこさせた。
「例えばだ」と、ナカムトはロウソクに火をつけた。
「この炎はどこから来たのだ?」
マカルの頭がハテナで埋め尽くされた。
リファーは考える。
「どこから?付けたから?」
ナカムトはふーっと火を消す。
「炎はどこに行ったのだ?」
マカルはムーフーに耳打ちをする。
「このおっさん頭大丈夫かな?」
「ちょっと!おっさんって!」
ナカムトが鬼の形相で睨んだ。
「聞こえてるぞ!」
二人は震え上がった。
「「ごめんなさい!!!」」
ナカムトは続ける。
「まあいい、炎は突然現れた訳では無い。大気中の元素、そしてロウソクの物質、それが他の炎の力を借りてここに存在してるんだ。たまたま火をつけた瞬間、炎として存在しているんだ。消しても炎が無くなった訳では無い。また他の存在に戻っただけなのだ。だから、いなくなったからと言ってそのものが消えた訳では無い。騒ぐな」
マカルは頭を抱え込んだ。
「さっぱりわからないいいいいいい」
「今は分からなくていい。ただ心配するなという事だ。意外と近くにいたりしてな」
ナカムトはイーモズの向こうの一輪の花をチラッと見て笑い、館へ帰って行った。
取り残されたイーモズはポカーンと口を開けていた。
「ほらほら」と、ウニョは背中を押す。
「ご飯の準備ができているわ、食堂へどうぞ。今日はアオインが久しぶりの来客に腕を振るっているの。あなた達のお兄さんは食べずに帰ってしまったから…食べずに帰ったら知らないわよ…」
と、ウインクする。
ムーフーは旅の疲れと空腹でお腹が鳴った。
マカルは茶化す。
「ムーフーが全部食べるって!」
「こら!マカル!余計なことを言わないの!」
リファーはお辞儀をする。
「せっかくなので頂いていきます」
「着替えも用意してきたから着替えて」と、ノーラが寝巻きを持ってきた。
イーモズは改めてお礼を言った。
その夜、みんなが寝静まる頃、マカロはふと目が覚めた。
「なんだろ?胸騒ぎがする。……あっち?」
何かを感じたマカルは感じるままに歩く。すると御堂のような建物に行き着いた。
「ん?ん?ジースにぃの匂いがする」
扉に手をかけるとスーッと開いた。
ドクン
鼓動が早くなる。
ドクン
誘われるまま中に入る。
ドクン
「体が熱い…」
ドクン
「そこを出ろ!!」
ナカムトが入ってきた。
はっと我に返ったマカルは御堂を出る。
地面に崩れるように力が抜けた。
「やはり誘われたか…お前はまだ早い」
「ここは…なんなんですか?」
「言えぬ。それが約束だ。もう寝なさい」
次の日、アオインがオニキリを作ってくれ、送り出してくれた。
山を降りる中、マカルの元気が無いことにリファーは気づいた。
「どうしたのマカル?」
「うううん、何でもないよ。少し疲れたのかな」
「そう、顔色も悪いわ。状態回復魔法かけようか?」
「大丈夫、すぐ治るよ。ありがとうリファー」
「そう、ならいいけど…」
リファーはマカルの目の奥に何かを感じた。
ムーフー二人を振り返りダッタン国が近くなったのを教える。
もう辺りはすっかり暗くなり。遠くからオオカミの遠吠えが聞こえた。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる