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そして出逢いは繰り返す

21話 マントの男

　｢何があったのかしら｣とリファーは考えていた。
｢急にムーフーがおかしくなってマカルの虚無で元に戻った…見えないところで何かが動いてる？｣
　マカルも同意する。
｢ずっと近くににぃにがいる気がしてならないのよね…たまに声？も聞こえる気がするしユランは何か知らない？｣
｢……。歪み？かな…どこかで世界はいくつもあるって聞いたことがある。そしてその世界は少しづつ干渉している。それが巷に言う超常現象なんだって｣
　ムーフーはそんなこと気にもしていないようだった。
｢それよりシャラーを探さないと…どこに…それに一体何がどうなってるのか｣
　ユランが森を指さす。
｢パクの巣が森にあると聞いたことがあるんだ。行ってみる？｣
ムーフーは頷く。
｢手がかりがあるなら虱潰しに行きましょ｣
　一同は同意した。

　一行は森に進む。草むらからカサっと音がし、影が飛び出した。
ムーフーの反応が早い。敵が見えるか見えないかでネズミのような魔物を切った。レイピアを収めるなり｢行こう｣と促す。
リファーは何か嫌なものを感じた。
｢ちょっとムーフーどうしたのよ。焦りすぎよ｣
｢こうしてる間にもシャラーは苦しんでるの！私に助けを求めてるの！可哀想じゃない…｣
｢それはわかるわ。でもね、焦ると判断が鈍るわ｣
｢分かってる…｣
　リファーは今のムーフーには届かないのかもしれないと思った。（自分たちがカバーをすれば何とかなるかな)

　小川を超えたところでユランが立ち止まる。
｢多分この辺だな。臭いが濃い｣
マカルが鼻をヒクヒクさせる。
｢臭わないよ？｣
｢あっ、ごめん。臭いというか感覚かな｣
｢ふーん、とりあえず近いのね｣
　ムーフーは｢わかった｣と言いながらユランの制止も聞かず前に進んだ。
マカルが心配する。
｢ムーフー危ないよ！もう！行くしかないか｣
　ムーフーを先頭に進む形になった。まるで居場所を知っているかのように進む。マカルが疑問を投げた。
｢ムーフー？どこ目指してるのか分かるの？｣
｢感じるんだ。シャラーを。私たちはずっと一緒だったからね。この奥よ｣
　その目は何か決意が見えた。

　草むらを抜けると洞窟の入口が見えた。まるで何かが見えているようにムーフーは進む。
｢大丈夫なの？｣マカルはリファーに耳打ちする。
｢いつでも魔法は使えるようにしてあるから任せて｣
｢うん…｣
　｢シャラー！｣とムーフーは奥へ駆け出した瞬間黒い霧が襲った。
｢神の加護を！プロテクション！｣リファーは咄嗟にムーフーを防御で包んだ。
｢奥か！｣ユランが球体の物をジャンプしながら奥に放り投げた。爆発と同時に霧が止む。

【帰れ】

　低い声が響き渡り、奥から黒いマントの男が現れた。
｢帰れと言っている。分からぬなら力づくで帰らせるぞ｣
　ムーフーが切りかかる。
｢シャラーを返して！｣
　切りかかるもマントの男は霧になって別のところへ移動する。
ムーフーは着地と同時にまた飛び込む。男が手を前にかざす。
｢無駄なことはやめろ｣黒い霧を噴射する。
リファーのプロテクションが霧を弾く。
男は少し驚いたようだった。
｢ほう…なるほど｣
｢ムーフー後ろに飛んで！｣とマカルは虚無を撃つ。
男は急に態度を変え叫んだ。
｢お前！その力どこで手に入れた！｣
｢どこって知らないよぉ！｣
男は霧で分散し声だけ聞こえた。
｢一つ君たちは勘違いしている。この二人をやったのは私ではない。まあ落ち着け｣
　｢どういうこと！｣ムーフーが食ってかかる。

　男はフードを脱いだ。
｢私はイールビ。この二人は私たちでは夢から覚ますことができない。できるのは…｣

　イールビは一呼吸置いた。

｢姐さんだけだ｣