anything

むひ

文字の大きさ
75 / 85
旅とは先の見えない闇である

33話 緊急

しおりを挟む
 ポッツが目を開けると目の前でマカルがまさに撃たれようとしていた。
「いきなりの緊急事態かい!マカル!今助けるからな!」
プルリが焦る。
「そんな急に干渉魔法使えないらよおお!」
チュラーがフッと笑う。
「俺らがどれだけキツい修行に耐えてきたと思ってるんだ。ポッツ見せてやれ」
「行っくで!波の呼吸」
ポッツは呼吸を整える。
「うぉぉおおおお!」
繰り出した拳の速度が高速から音速へと上がる。
「コズミックウェ~~~~イブ!」
ポッツのビブラー効果により拳は更に加速。音速から光速。光速を超えた時、空間の壁と激突した。
「わしらの愛がどんだけ強いか証明してやるわ!行っけええええ!」
プルリは目を丸くする。
「空間を破るなんてこんなの聞いたことがないらよ!」


 「ふふっ」リカーはほくそ笑む。
「観念したようね。撃てえぇ!」
「待って!」ヒャノが何かに気づく。ヒャノが指を指した先の空間にヒビが入り音を立て割れた。
真っ先にマカルが気付く。
「にぃに!!!!」
カクトは照準をポッツに向け撃つもポッツは指で弾丸を受け止めた。
「わしの光速に比べたらハエが止まるで」
カクトは記憶を辿る。
「そんな…お前!ポッツか!」
「久しぶりやな。そろそろ止めてくれんとこっちも反撃に出なかんようなるで」
ポッツと聞いてリカーは反応する。
「おいポッツ!」
条件反射。ポッツは姿勢を正す。
「はいいいいい!ご主人!」
「ふふふ、まだ私の術が効いてるようね。私に逆らうとはどういうこと?」
「こ、これはその…」
ポッツの意思とは別の力が行動を縛る。
「斬魔刀…」ジースーは手刀を作りポッツの前を切るとポッツは崩れ落ちた。
「助かったで、ジースー」
リカーがうろたえる。
「僕は魔力が視覚化できるようになった。見えればどうにでも扱えるし斬ることもできる」
ジースーはニコッと笑う。
「みんな元々仲間だろ。仲良くしよ!」
全員の緊張の糸が切れた。イーモズは泣きながらオーニズに駆け寄った。
オーニズは今まで起こったことを話す。イーモズも思いの丈をぶちまけた。

 事の顛末を聞いたオーニズはムヒコーウェルに対峙した。
ムヒコーウェルはフンッと鼻を鳴らすと。
「あんた達には恨みもあるけど。そのおかげでアイツから解放されたからまあ許してあげますわ。ほんと痛かったんですからね!あのナンチャラカンチャラバズーカーってやつ!」
ポッツの条件反射。
「バズーカー言うてへん!自分の殺られた技くらい覚えといて!」
「冗談はさておいて。役者が揃ったところでムビーんとこ行くわよ。出発は深夜。魔界の扉が開く時間…みんなそれまでに準備するように!」

 一同は近くの村の宿に泊まり、装備を整える者。思い出話に華を咲かせる者。思い思いに過ごし。少し寝ようと寝室に戻った。
布団に潜ったイーモズはなかなか寝付けない。リファーは二人の方を向く。
「私…怖い…」
マカルもムーフーも思いは一緒だった。
ムーフーは布団から出る。
「だって魔界だよ!無理よそんなの!」
マカルはうつむく。
「ごめん…みんな…私のせいで…もういいよ、私の為にみんなを危険に晒したくない」
沈黙が部屋を埋めた。
 廊下が騒がしい。ジースーが駆け込んできた。
「ねーねー!コーナーズが緊急ライブするって!それが放送で全国に流れるらしいよ!」
リファーは一気に目が覚めた。
「何それ!そんなの聞いてないよ!」
「ほら、グズグズしてないで広場に集合だ!」
駆け出した。

広場にはコーナーズのライブを聞くため大勢集まっていた。
スピーカーから声が聞こえた。

「皆さんお久しぶりでーす!コーナーズでーす!」
ワーっと歓声が上がる。
リンレの声。
「今コーナーズは二人です。リファーは遠く離れて頑張っています。でも離れててもリファーは私たちの仲間。リファーはとても辛い思いをしながら試練に立ち向かってると思います」
アキーチャの声。
「そんなリファーに私たちも何かできないかなって。だからエリーヌさんに無理を言ってライブをさせてもらいました。この歌をリファーに、今色々な想いで立ち止まってる人や戦ってる皆に未来に向かって進んでもらいたい。そんな気持ちを届ければと思います。聞いてください」

「「running to you 」」

  『君が落ち込んだ時 そばにいてあげる
   この空はどこまでも続いているから
   君が泣きそうな時 一緒に泣いてあげる
   流れた涙は胸に花を咲かすから

   だけど 今は遠く離れて
   だけどきっと 届けてみせるから

   今は 走れ走れ 走れ走れ
   僕が君を押す風になる
   走れ走れ 走れ走れ
   僕が君を包む空になるから』


歓声の中。ライブは終わった。
イーモズはしばらく黙っていたがリファーが口を切った。
「行こ。魔界へ行こ!マカルも世界も!絶対救ってやるんだから!ムビーが何よ。みんな応援してくれる。みんな付いていてくれる」
ムーフーは頷いた。
「そうだよね!オーニズもいるし絶対大丈夫!ね、マカル」
「………うん。ありがとう」

人々は解散し広場には再び虫の声で溢れた。
しおりを挟む
感想 132

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

冴えない建築家いずれ巨匠へと至る

木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」 かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。 安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。 現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。 異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~

二階堂吉乃
恋愛
 同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。  1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。  一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

処理中です...