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十四話
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翌日の昼頃、オーニーズが祠に近づいていると知り、流石に拠点である祠の目前で戦闘は避けたかったので、こちらから近づき出向く事にした。
魔法使いのチュラー、剣士のポッツ、銃士のジースー。
3人共昔からの顔なじみだ。
そして、傍に見かけない青年もいた。
エニス、と呼ばれていた。
私だとバレませんように…、とロッロは極力喋らず、精一杯魔物らしく唸って演技をはじめると、早速オーニーズに気配を気づかれたようだった。
「敵か!」
ロッロが草むらから飛び出す…と同時に木陰から赤い髪の見慣れた少女が飛び出した。
「やめて!おじさんをこれ以上傷つけないで!イールビおじさんは悪くないんだ!」
《タバスちゃ…!!》
心の中で叫びかけたが、バレてはいけないと慌てて飲み込んだ。
「大丈夫だよ」
チュラーが優しく声をかけるが、タバスは引く様子がない。
「来るなって言ってるだろ!これ以上進むなら私が容赦しないからな!」
ロッロはタバスの言葉に驚きを隠せなかった。
いきなりアッキの声を奪って憎いはずの2人をなぜここまでしてタバスが庇うのだろう…と不思議に思う一方でイールビは冷静で、チャンスだとばかりにロッロに目配せをしてきたので、
「タバス、下がれ」
とイールビが言うと同時にオーニーズへと飛びかかった。
だが、ジースーにすぐ気づかれて、物騒なライフルから弾が飛び出す。
《ひゃ…!》
涼しい顔で避けてはみたが、怖いものは怖い。脚が震えているのと心で小さく発した悲鳴はイールビにはお見通しだったようだ。
「大丈夫だったか、ロッロ」
演技で逆立てた背中の毛をわざとらしく撫でられて「こういう時だけ撫でてきて~~!」と、ちょっとムッとするロッロだったが、チュラーが声を荒らげ、詠唱をはじめたのが聞こえたのですぐに構えた。
チュラーは火を操る。
この詠唱は知っている。
ポッツが動こうとする様子も見逃さない。
ポッツが動く前は、行こうとする方向へ足の向きが変わるのだ。
良いコンビネーションだ。オーニーズの事は誰よりもよく知っているロッロだった。
《挟まれます》
と小声でイールビに伝えると、
「一旦引く。捕まってろ」
と、チュラーが繰り出した炎の玉に当たる…と見せかけてイールビの魔法で黒い霧に包まれ、その場を後にした。
黒い霧から解放されると、イールビの屋敷の前にいた。
《え…あっ!…ふみゃっ!!!》
急に少し高い位置から放り出されてまた着地に失敗した。
《優しく下ろしてください~~!》
「アホが。俺に優男を求めんな。自分でなんとかせい。そのうち鼻が陥没するぞ」
《ひぇ~…いたた…》
「なんでバカスが出てくるんだ」
《バカ…ス……、、タバスちゃんですか》
「そうだ。置いてきたがな」
《なぜ私達を庇うのでしょうね。声を奪った張本人達なのに》
イールビはふぅ~っと長いとため息をついてしばらく考えてから、
「スーザンヌあたりにでも何か言われたんだろうよ。…お人好しめ」
と、ゆっくりと吐き出した。
《なるほど。それなら納得です…》
「敵の状勢はわかった。俺が直接相手してやる事はねぇな。次もコイツ(分身)でいく。
中に本体戻ってるから入って来い。一旦消すぞ」
イールビの分身はそう言って黒い砂を散らしたようにパッと消えた。
ロッロも恐ろしい魔物の姿ではなく、人の姿に戻って屋敷へと入って行った。
魔法使いのチュラー、剣士のポッツ、銃士のジースー。
3人共昔からの顔なじみだ。
そして、傍に見かけない青年もいた。
エニス、と呼ばれていた。
私だとバレませんように…、とロッロは極力喋らず、精一杯魔物らしく唸って演技をはじめると、早速オーニーズに気配を気づかれたようだった。
「敵か!」
ロッロが草むらから飛び出す…と同時に木陰から赤い髪の見慣れた少女が飛び出した。
「やめて!おじさんをこれ以上傷つけないで!イールビおじさんは悪くないんだ!」
《タバスちゃ…!!》
心の中で叫びかけたが、バレてはいけないと慌てて飲み込んだ。
「大丈夫だよ」
チュラーが優しく声をかけるが、タバスは引く様子がない。
「来るなって言ってるだろ!これ以上進むなら私が容赦しないからな!」
ロッロはタバスの言葉に驚きを隠せなかった。
いきなりアッキの声を奪って憎いはずの2人をなぜここまでしてタバスが庇うのだろう…と不思議に思う一方でイールビは冷静で、チャンスだとばかりにロッロに目配せをしてきたので、
「タバス、下がれ」
とイールビが言うと同時にオーニーズへと飛びかかった。
だが、ジースーにすぐ気づかれて、物騒なライフルから弾が飛び出す。
《ひゃ…!》
涼しい顔で避けてはみたが、怖いものは怖い。脚が震えているのと心で小さく発した悲鳴はイールビにはお見通しだったようだ。
「大丈夫だったか、ロッロ」
演技で逆立てた背中の毛をわざとらしく撫でられて「こういう時だけ撫でてきて~~!」と、ちょっとムッとするロッロだったが、チュラーが声を荒らげ、詠唱をはじめたのが聞こえたのですぐに構えた。
チュラーは火を操る。
この詠唱は知っている。
ポッツが動こうとする様子も見逃さない。
ポッツが動く前は、行こうとする方向へ足の向きが変わるのだ。
良いコンビネーションだ。オーニーズの事は誰よりもよく知っているロッロだった。
《挟まれます》
と小声でイールビに伝えると、
「一旦引く。捕まってろ」
と、チュラーが繰り出した炎の玉に当たる…と見せかけてイールビの魔法で黒い霧に包まれ、その場を後にした。
黒い霧から解放されると、イールビの屋敷の前にいた。
《え…あっ!…ふみゃっ!!!》
急に少し高い位置から放り出されてまた着地に失敗した。
《優しく下ろしてください~~!》
「アホが。俺に優男を求めんな。自分でなんとかせい。そのうち鼻が陥没するぞ」
《ひぇ~…いたた…》
「なんでバカスが出てくるんだ」
《バカ…ス……、、タバスちゃんですか》
「そうだ。置いてきたがな」
《なぜ私達を庇うのでしょうね。声を奪った張本人達なのに》
イールビはふぅ~っと長いとため息をついてしばらく考えてから、
「スーザンヌあたりにでも何か言われたんだろうよ。…お人好しめ」
と、ゆっくりと吐き出した。
《なるほど。それなら納得です…》
「敵の状勢はわかった。俺が直接相手してやる事はねぇな。次もコイツ(分身)でいく。
中に本体戻ってるから入って来い。一旦消すぞ」
イールビの分身はそう言って黒い砂を散らしたようにパッと消えた。
ロッロも恐ろしい魔物の姿ではなく、人の姿に戻って屋敷へと入って行った。
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