ヴァンパイアの騎士

くじら

文字の大きさ
5 / 5
第1章 ヴァンパイアは騎士になる

就職したいらしい……

しおりを挟む





「あのさーー……この国の騎士になるにはどうすればいいんだ?」







 俺が彼女との出会いを思い出していたために黙っている様子を不思議に感じたのか、彼女が質問してきた。



 彼女と出会って幾許いくばくかの日にちが過ぎ……彼女と食事するのが日常になってきた。


 ……そして、衝撃的な話を聴かされた俺は……彼女に協力したい旨を伝え、今のような関係になった。



 曰く、血液の摂取がのように頻繁にいるものではないらしい。


 しかし、今回の大怪我が原因で血がかなり減った。そのため定期的に血を得る必要があり、誰かに血を貰おうと考えていたーー……


だから俺は自分の血を提供することを提案した。



 なぜそこまでするのかーー……理由を問われたが曖昧に誤魔化した。




 誰にも知られないところで命をかけ、世界のために動いている彼女がどこか悲しくてーーーー………


もっと報われてもいいと思ったなんて……伝えるつもりもない。


















「……どういうことだ?なぜ、そんなことを聞く?」


 俺は、思わずいぶしげな表情かおをする。


 を聞くということは……


「いや~~……そろそろ、腰を据えようと思ってな……」



 ーー……




「……騎士になりたいのか?」





 騎士になる方法を聞く理由は、それしか考えられなかった。





「うーーん?

騎士になりたかったというよりも、

元々……ここーー……ワルキューレ王国で就職しようとは思ってたんだ。

色んな国を見てきたが……ここが1番過ごしやすそうだったしな。

騎士になろうと思ったのは……単に面白そうだったからだな。

それに、お前がいる騎士団なんだろ?
お前の職場って何か……楽しそうじゃないか」




「なんだその理由……」

 思ったことが、口から零れた。彼女の言葉が予想外だったのだから……仕方がない。


 俺が呆れて……そう言ったというのに、彼女はそのことを気にすることなくーー……むしろ嬉しそうに言った。


なんてーー……最高だと思ってな」





 ーー……




 だが、彼女はーーーー…………




まるで……



ーー……



俺が……彼女のであるかのように告げた。





 ……違和感が無かったと言えば、嘘になる。




 でも、



俺は彼女がそうやって笑顔でいてくれるのが



なぜかーー……




             嬉しかった……























「騎士になるには、主に2つの方法がある。

1つは……騎士になるための試験を受けること。

2つ目は、王族や貴族に騎士に任命されることだ。

騎士にも国のものと貴族のものと2つあり、俺のいる騎士団は国のものだから……もし試験を受けずにその騎士団に入りたいのなら王族の任命が必要だな。同じようにどこかの貴族の護衛とかなら、貴族に任命されればいいことになる」




 ……理由は置いといてソイツの質問に答える。



 ワルキューレ王国は、新興国で……他の国に比べて実力主義的な考えが強い。そのおかげか、身分による差別も少なく……実力のある者や努力できる者は身分に関係なく功績が得られる。

 望む者には、必ず手がさしのべられるような政策だっていくつもある。






「へーー?じゃあ、俺の場合は試験を受けた方が早そうだな……因みに、試験ってどんな感じだ?」



「そうだなーー……王族か団長、副団長の推薦があれば試験をしない場合があるが……

お前の場合は……筆記試験と実技試験を受けることになるだろうな。

……今から勉強するとなると、正式に騎士になれるのは来年になるんじゃないか?」


 次の試験の日程を考えると、その結論になった。


「げ……そんなにかかるのか?もっと手っ取り早く騎士になれるかと思ってたんだけどな……」



 嫌そうな……面倒くさそうな顔をしながら彼女は自分で作ったスープを頬張った。



「そもそも、一般人は騎士育成のカリキュラムがある学校で何年か勉強し学校から受験資格などをもらってから試験を受けるのか普通で……

それ以外となると何か功績のある人か……

貴族から紹介状を書いてもらうとかだな。

どちらにしろ、筆記試験が難しいから

一から勉強するとなると時間がかかるぞ?」


「何か、他に方法ねえーのか?」


 時間がかかるのが余程嫌なのか……若干、必死になりながら俺に再度問う。

 他に方法があったか……と、記憶を辿る。


「あとはーーーー…………そうだな、騎士団員からの紹介や推薦で入るとかか?」



「それだ!!!!

お前が俺を推薦してくれれば、来年まで待たなくても騎士になれるんじゃねーか!?」


「いや、確かに可能だが……そんな前例は無いぞ?どちらにしろ…試験は受けなければならないし……かえって難しい試験になるらしく誰も受けようとせず"あってないような規則ルール"だぞ?」


 ソイツが妙案とばかりに告げてきたが、俺は否定的な意見を述べた。


 何しろ、"それ"はとして有名なのだ。



 騎士団員からの紹介や推薦は、結構簡単に貰えるんだ。そもそも、仲間が増えることにを嫌がる者は滅多にいないし……やる気のある者は大歓迎って雰囲気の職場だからな。だが…………大変なのはだ。



 そもそも、この規則ルールは毎年一度しかない入団試験をもっと頻繁にすべきという世間とそんなに試験をやることが出来ないという国の都合から作られたものであり、表面的にはいつどんな人でも騎士団に入り……騎士になってもいいというものだが……実際は、特例で入団したいならこれくらい出来ねばいけないということで明らかに合格基準を高く設定したものだ。




 過去に受験した人はこの試験の筆記で出された問題の難易度の高さに驚き、一般で受験した方がよっぽど早く合格できると思い……早々に諦めて普通に受験したらしい。


 筆記試験の問題が難しいことに加え、実技試験も明確にされておらず……どんな無理難題を与えられてしまうか恐ろしくなり受験を考えていた数え切れないほどの人が辞退したらしい。


 それほど、ほとんどの人が避ける受験なのだ。


 大体、過去問が公開されていない時点で勉強のしようがないというか……



「そんなに受かんねえのか?」

 難しい表情の俺を見てソイツが訊ねた。
 俺は、頷いた。


「でもさーー
どうせ、受かるならそっちの方がいいな。誰も受かってねえ試験に受かったらすっげぇ嬉しいじゃん!!!!」

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました

美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

離婚すると夫に告げる

tartan321
恋愛
タイトル通りです

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

処理中です...