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終幕の結婚式
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「シュロト……」
今度はわたしの番。この胸に溢れる想いをありのままに彼に伝えなければ。
「わたしも世界で愛する人は、あなたただ一人です。シュロト・ヴァロア。あなたのことを心から愛しています」
震える声だったかもしれない。その震えは怯えからではなく、抑えきれない感情の奔流そのもの。初めて口にする飾り気のない、純粋な愛の告白。恥ずかしさよりもこの想いを彼に届けられた喜びの方が遥かに大きかった。
その言葉を聞いた瞬間、この世の何よりも美しい笑顔が彼の顔に広がった。無垢な少年のように、純粋な喜びに満ちた笑顔だ。
「リリーナ……!」
彼は再びわたしを力の限り抱きしめた。その腕の中で彼の鼓動の速さを感じながら、幸福感に包まれて目を閉じた。もう何も恐れることはない。この腕の中がわたしの帰るべき場所なのだから。
ゆっくりと彼が顔を離し、視線が求めあう。彼の瞳の奥の熱情がわたし自身の内なる感情にも引火し、瞬く間に燃え上がらせる。言葉はもう必要なかった。互いの想いは皮膚を焦がすほどの熱で伝わっている。
彼がそっとわたしの頬に手を添え、その顔を近づけてくる。反射的に目を閉じたわたしの唇に、柔らかく、そして温かい感触が触れた。それはとても繊細で、慈しみに満ちたキスだった。これまでの悲しみも、苦しみも、誤解も、不安も……そのすべてが溶けて消えていく気がした。
わずかな時間なのに、時が永遠に止まったかのようなひととき。唇が離れると、まだ夢見心地のままそっと目を開けた。目の前には愛おしそうにわたしを見つめるシュロトの姿がある。
「ごめん……」
彼の声は先ほどよりも少しだけ掠れていた。
「君への想いをこれ以上抑えることができそうにない」
そう言うと今度は先ほどよりも強く、深く、わたしの唇を求めてくる。互いの境界線が溶けて曖昧になるほど、情熱的で、愛を確かめ合うようなキス。
静寂に包まれた大聖堂。その中でわたしと彼だけの世界が息づく。二人だけの時間、それが世界の中心であるかのようだった。すべての苦しみを乗り越え、たどり着いた新たな誓いのキス。未来への希望と決して揺らぐことのない愛を込めて――。
名残惜しそうに唇が離れると互いに熱のこもった瞳で見つめ合い、どちらからともなく微笑み合った。頬が火照り、心臓はまだ高鳴っている。この幸福な高揚感を生涯忘れたくなかった。
その時、ふいにシュロトの表情が引き締まり、真剣な面持ちでわたしの手を取った。そして彼は迷いなくわたしの前に膝をついた。
「シュロト……?」
突然の出来事に彼の名をやっと呼ぶのが精一杯だった。彼がこんなことをするなんて全く予想していなかったから。
彼はもう片方の手で胸ポケットから小さなベルベットの箱を取り出した。その箱を見た瞬間、わたしの心臓が激しく跳ね上がったのを自分でも感じた。まさか……。
今度はわたしの番。この胸に溢れる想いをありのままに彼に伝えなければ。
「わたしも世界で愛する人は、あなたただ一人です。シュロト・ヴァロア。あなたのことを心から愛しています」
震える声だったかもしれない。その震えは怯えからではなく、抑えきれない感情の奔流そのもの。初めて口にする飾り気のない、純粋な愛の告白。恥ずかしさよりもこの想いを彼に届けられた喜びの方が遥かに大きかった。
その言葉を聞いた瞬間、この世の何よりも美しい笑顔が彼の顔に広がった。無垢な少年のように、純粋な喜びに満ちた笑顔だ。
「リリーナ……!」
彼は再びわたしを力の限り抱きしめた。その腕の中で彼の鼓動の速さを感じながら、幸福感に包まれて目を閉じた。もう何も恐れることはない。この腕の中がわたしの帰るべき場所なのだから。
ゆっくりと彼が顔を離し、視線が求めあう。彼の瞳の奥の熱情がわたし自身の内なる感情にも引火し、瞬く間に燃え上がらせる。言葉はもう必要なかった。互いの想いは皮膚を焦がすほどの熱で伝わっている。
彼がそっとわたしの頬に手を添え、その顔を近づけてくる。反射的に目を閉じたわたしの唇に、柔らかく、そして温かい感触が触れた。それはとても繊細で、慈しみに満ちたキスだった。これまでの悲しみも、苦しみも、誤解も、不安も……そのすべてが溶けて消えていく気がした。
わずかな時間なのに、時が永遠に止まったかのようなひととき。唇が離れると、まだ夢見心地のままそっと目を開けた。目の前には愛おしそうにわたしを見つめるシュロトの姿がある。
「ごめん……」
彼の声は先ほどよりも少しだけ掠れていた。
「君への想いをこれ以上抑えることができそうにない」
そう言うと今度は先ほどよりも強く、深く、わたしの唇を求めてくる。互いの境界線が溶けて曖昧になるほど、情熱的で、愛を確かめ合うようなキス。
静寂に包まれた大聖堂。その中でわたしと彼だけの世界が息づく。二人だけの時間、それが世界の中心であるかのようだった。すべての苦しみを乗り越え、たどり着いた新たな誓いのキス。未来への希望と決して揺らぐことのない愛を込めて――。
名残惜しそうに唇が離れると互いに熱のこもった瞳で見つめ合い、どちらからともなく微笑み合った。頬が火照り、心臓はまだ高鳴っている。この幸福な高揚感を生涯忘れたくなかった。
その時、ふいにシュロトの表情が引き締まり、真剣な面持ちでわたしの手を取った。そして彼は迷いなくわたしの前に膝をついた。
「シュロト……?」
突然の出来事に彼の名をやっと呼ぶのが精一杯だった。彼がこんなことをするなんて全く予想していなかったから。
彼はもう片方の手で胸ポケットから小さなベルベットの箱を取り出した。その箱を見た瞬間、わたしの心臓が激しく跳ね上がったのを自分でも感じた。まさか……。
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