32 / 33
終幕の結婚式
9
しおりを挟む
「シュロト……」
今度はわたしの番。この胸に溢れる想いをありのままに彼に伝えなければ。
「わたしも世界で愛する人は、あなたただ一人です。シュロト・ヴァロア。あなたのことを心から愛しています」
震える声だったかもしれない。その震えは怯えからではなく、抑えきれない感情の奔流そのもの。初めて口にする飾り気のない、純粋な愛の告白。恥ずかしさよりもこの想いを彼に届けられた喜びの方が遥かに大きかった。
その言葉を聞いた瞬間、この世の何よりも美しい笑顔が彼の顔に広がった。無垢な少年のように、純粋な喜びに満ちた笑顔だ。
「リリーナ……!」
彼は再びわたしを力の限り抱きしめた。その腕の中で彼の鼓動の速さを感じながら、幸福感に包まれて目を閉じた。もう何も恐れることはない。この腕の中がわたしの帰るべき場所なのだから。
ゆっくりと彼が顔を離し、視線が求めあう。彼の瞳の奥の熱情がわたし自身の内なる感情にも引火し、瞬く間に燃え上がらせる。言葉はもう必要なかった。互いの想いは皮膚を焦がすほどの熱で伝わっている。
彼がそっとわたしの頬に手を添え、その顔を近づけてくる。反射的に目を閉じたわたしの唇に、柔らかく、そして温かい感触が触れた。それはとても繊細で、慈しみに満ちたキスだった。これまでの悲しみも、苦しみも、誤解も、不安も……そのすべてが溶けて消えていく気がした。
わずかな時間なのに、時が永遠に止まったかのようなひととき。唇が離れると、まだ夢見心地のままそっと目を開けた。目の前には愛おしそうにわたしを見つめるシュロトの姿がある。
「ごめん……」
彼の声は先ほどよりも少しだけ掠れていた。
「君への想いをこれ以上抑えることができそうにない」
そう言うと今度は先ほどよりも強く、深く、わたしの唇を求めてくる。互いの境界線が溶けて曖昧になるほど、情熱的で、愛を確かめ合うようなキス。
静寂に包まれた大聖堂。その中でわたしと彼だけの世界が息づく。二人だけの時間、それが世界の中心であるかのようだった。すべての苦しみを乗り越え、たどり着いた新たな誓いのキス。未来への希望と決して揺らぐことのない愛を込めて――。
名残惜しそうに唇が離れると互いに熱のこもった瞳で見つめ合い、どちらからともなく微笑み合った。頬が火照り、心臓はまだ高鳴っている。この幸福な高揚感を生涯忘れたくなかった。
その時、ふいにシュロトの表情が引き締まり、真剣な面持ちでわたしの手を取った。そして彼は迷いなくわたしの前に膝をついた。
「シュロト……?」
突然の出来事に彼の名をやっと呼ぶのが精一杯だった。彼がこんなことをするなんて全く予想していなかったから。
彼はもう片方の手で胸ポケットから小さなベルベットの箱を取り出した。その箱を見た瞬間、わたしの心臓が激しく跳ね上がったのを自分でも感じた。まさか……。
今度はわたしの番。この胸に溢れる想いをありのままに彼に伝えなければ。
「わたしも世界で愛する人は、あなたただ一人です。シュロト・ヴァロア。あなたのことを心から愛しています」
震える声だったかもしれない。その震えは怯えからではなく、抑えきれない感情の奔流そのもの。初めて口にする飾り気のない、純粋な愛の告白。恥ずかしさよりもこの想いを彼に届けられた喜びの方が遥かに大きかった。
その言葉を聞いた瞬間、この世の何よりも美しい笑顔が彼の顔に広がった。無垢な少年のように、純粋な喜びに満ちた笑顔だ。
「リリーナ……!」
彼は再びわたしを力の限り抱きしめた。その腕の中で彼の鼓動の速さを感じながら、幸福感に包まれて目を閉じた。もう何も恐れることはない。この腕の中がわたしの帰るべき場所なのだから。
ゆっくりと彼が顔を離し、視線が求めあう。彼の瞳の奥の熱情がわたし自身の内なる感情にも引火し、瞬く間に燃え上がらせる。言葉はもう必要なかった。互いの想いは皮膚を焦がすほどの熱で伝わっている。
彼がそっとわたしの頬に手を添え、その顔を近づけてくる。反射的に目を閉じたわたしの唇に、柔らかく、そして温かい感触が触れた。それはとても繊細で、慈しみに満ちたキスだった。これまでの悲しみも、苦しみも、誤解も、不安も……そのすべてが溶けて消えていく気がした。
わずかな時間なのに、時が永遠に止まったかのようなひととき。唇が離れると、まだ夢見心地のままそっと目を開けた。目の前には愛おしそうにわたしを見つめるシュロトの姿がある。
「ごめん……」
彼の声は先ほどよりも少しだけ掠れていた。
「君への想いをこれ以上抑えることができそうにない」
そう言うと今度は先ほどよりも強く、深く、わたしの唇を求めてくる。互いの境界線が溶けて曖昧になるほど、情熱的で、愛を確かめ合うようなキス。
静寂に包まれた大聖堂。その中でわたしと彼だけの世界が息づく。二人だけの時間、それが世界の中心であるかのようだった。すべての苦しみを乗り越え、たどり着いた新たな誓いのキス。未来への希望と決して揺らぐことのない愛を込めて――。
名残惜しそうに唇が離れると互いに熱のこもった瞳で見つめ合い、どちらからともなく微笑み合った。頬が火照り、心臓はまだ高鳴っている。この幸福な高揚感を生涯忘れたくなかった。
その時、ふいにシュロトの表情が引き締まり、真剣な面持ちでわたしの手を取った。そして彼は迷いなくわたしの前に膝をついた。
「シュロト……?」
突然の出来事に彼の名をやっと呼ぶのが精一杯だった。彼がこんなことをするなんて全く予想していなかったから。
彼はもう片方の手で胸ポケットから小さなベルベットの箱を取り出した。その箱を見た瞬間、わたしの心臓が激しく跳ね上がったのを自分でも感じた。まさか……。
140
あなたにおすすめの小説
【完結】恋を失くした伯爵令息に、赤い糸を結んで
白雨 音
恋愛
伯爵令嬢のシュゼットは、舞踏会で初恋の人リアムと再会する。
ずっと会いたかった人…心躍らせるも、抱える秘密により、名乗り出る事は出来無かった。
程なくして、彼に美しい婚約者がいる事を知り、諦めようとするが…
思わぬ事に、彼の婚約者の座が転がり込んで来た。
喜ぶシュゼットとは反対に、彼の心は元婚約者にあった___
※視点:シュゼットのみ一人称(表記の無いものはシュゼット視点です)
異世界、架空の国(※魔法要素はありません)《完結しました》
【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに
おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」
結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。
「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」
「え?」
驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。
◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話
◇元サヤではありません
◇全56話完結予定
【完結】3度婚約を破棄された皇女は護衛の騎士とともに隣国へ嫁ぐ
七瀬菜々
恋愛
先日、3度目の婚約が破談となったモニカは父である皇帝から呼び出しをくらう。
また皇帝から理不尽なお叱りを受けると嫌々謁見に向かうと、今度はまさかの1回目の元婚約者と再婚約しろと言われて----!?
これは、宮中でも難しい立場にある嫌われ者の第四皇女モニカと、彼女に仕える素行不良の一途な騎士、そして新たにもう一度婚約者となった隣国の王弟公爵との三角関係?のお話。
天真爛漫な婚約者様は笑顔で私の顔に唾を吐く
りこりー
恋愛
天真爛漫で笑顔が似合う可愛らしい私の婚約者様。
私はすぐに夢中になり、容姿を蔑まれようが、罵倒されようが、金をむしり取られようが笑顔で対応した。
それなのに裏切りやがって絶対許さない!
「シェリーは容姿がアレだから」
は?よく見てごらん、令息達の視線の先を
「シェリーは鈍臭いんだから」
は?最年少騎士団員ですが?
「どうせ、僕なんて見下してたくせに」
ふざけないでよ…世界で一番愛してたわ…
婚約破棄をされましたが私は元気です
にいるず
恋愛
私モリッシュ・ペートンは伯爵令嬢です。3日前に婚約者であるサミエル・コールマス公爵子息が、話があるとペートン伯爵邸にやってきました。そこで好きな人ができたから婚約破棄してほしいといわれました。相手は公爵家です。逆らえません。私は悲しくて3日間泣き通しでした。
ですが今、幼馴染のエドワルドとお茶をしています。エドワルドにはずいぶん心配をかけてしまいました。
あれ?さっきまですごく悲しかったのに、今は元気です。
実はこの婚約破棄には、隠された秘密がありました。
※サミエルのその後編始めました。よろしくお願いいたします。
あなたのおかげで吹っ切れました〜私のお金目当てならお望み通りに。ただし利子付きです
じじ
恋愛
「あんな女、金だけのためさ」
アリアナ=ゾーイはその日、初めて婚約者のハンゼ公爵の本音を知った。
金銭だけが目的の結婚。それを知った私が泣いて暮らすとでも?おあいにくさま。あなたに恋した少女は、あなたの本音を聞いた瞬間消え去ったわ。
私が金づるにしか見えないのなら、お望み通りあなたのためにお金を用意しますわ…ただし、利子付きで。
【完結】赤い薔薇なんて、いらない。
花草青依
恋愛
婚約者であるニコラスに婚約の解消を促されたレイチェル。彼女はニコラスを愛しているがゆえに、それを拒否した。自己嫌悪に苛まれながらもレイチェルは、彼に想いを伝えようとするが・・・・・・。 ■《夢見る乙女のメモリアルシリーズ》1作目の外伝 ■拙作『捨てられた悪役令嬢は大公殿下との新たな恋に夢を見る』のスピンオフ作品。続編ではありません。
■「第18回恋愛小説大賞」の参加作品です ■画像は生成AI(ChatGPT)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる