【完結】廃墟送りの悪役令嬢、大陸一の都市を爆誕させる~冷酷伯爵の溺愛も限界突破しています~

遠野エン

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37.溢れ出す想い

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「愛している」という言葉が無意識のうちに築いていた心の壁を、いとも容易く打ち砕いていく。これまで自分の感情に蓋をしてきた。アトランシアの復興、市民の生活の安定、それが私の全てで最優先事項だと自分に言い聞かせてきた。市長として走り続ける忙しさを言い訳に、シオンに抱くこの特別な感情から目を逸らし続けていた。――――恋をしている暇なんてないと。

事故の時、朦朧とする意識の中で感じた彼の手の温もり。そして今日、ヴォルフの理不尽な要求から私とこの街を守ろうと立ちはだかってくれた頼もしい背中。

思い返せばいつも彼は私のそばにいた。一人で抱え込もうとする荷物を何も言わずに半分持ってくれるように。氷の仮面の下にある不器用で深い優しさに触れるたび、私の胸を焦がした熱の正体はもう隠しようもなかった。

これ以上、自分の心に嘘をつきたくない。私もまた自分の全てで応えなければならない。ゆっくりと顔を上げ、熱を帯びた彼の瞳をまっすぐに見つめ返した。戸惑いはもうない。あるのはようやく見つけた確かな想いだけ。

「……私もです。シオン、あなたのことが……好きです」

言った瞬間、堰を切ったように想いが溢れ出す。

「いつからかなんて、もうわかりません。ただ気づいた時にはあなたの存在がどうしようもなく大きくなっていました。隣にいてくれるだけで安心できて、あなたの言葉に励まされて、何度も前を向くことができたんです。あなたは羅針盤だと言ってくださったけれど本当は逆です。道に迷いそうになった時、いつも光を照らしてくれたのはあなたの方でした」

照れくささよりも、ようやく伝えられたという安堵が胸に広がる。重ねられた彼の手が私の言葉に応えるように、きゅっと力を込めて握り返された。シオンの表情が見たこともないほど柔らかくほころんでいる。

「……その言葉が聞けるのをずっと待っていた。君も同じ気持ちでいてくれたなんて……」

彼は私の手を優しく引き寄せると、自身の頬へと寄せた。触れた場所から熱が伝わり、心臓がまた大きく跳ねた。

「これからはただのパートナーとしてではない。誰よりもそばで、共に笑い、共に悩み、未来を歩ませてほしい」

「はい」と頷く声はきっと少し震えていたと思う。

ヴォルフが残していった嵐は過ぎ去り、閉店後の『ひだまり亭』には、生まれたばかりの恋人同士の時間が流れていた。王国への複雑な想いも、これから待ち受けるであろう困難もこの人となら乗り越えていける。確かな絆で結ばれた今、私は心の底からそう信じることができた。
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