【完結】廃墟送りの悪役令嬢、大陸一の都市を爆誕させる~冷酷伯爵の溺愛も限界突破しています~

遠野エン

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48.国王との交渉

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ヴォルフに先導され、私たちは謁見の間へと足を踏み入れた。重厚な扉が開き、記憶にあるよりも色褪せた空間が広がる。玉座には国王が、そしてその隣には王妃が険しい表情で座している。彼らの視線は賓客に向けるものではなく、憎むべき敵に向けるそれ。

「……よくもぬけぬけとこの王宮に顔を出せたものだな、ルティア・ヴェルフェン。そしてヴォルフ、貴様もだ。我が許しもなく、このような者どもを招き入れるとは!」
「ご無沙汰しております、国王陛下。本日はアトランシア市長として、御都への支援の協議に参りました」
「支援だと? 追放された分際で、随分と偉くなったものだな。貴様の作り上げたという辺境の街の富を、そっくりそのまま王国に献上するが良い。それが唯一の贖罪の道だ」

交渉のテーブルにすら着く気がないという意思表示。しかし、私は動じない。その言葉は初めから想定の範囲内。

「陛下。我々は援助を申し出ておりますが、それは無償の施しではございません。見返りを求めます。慈善事業でやるつもりは一切ございませんので」

私は懐から一枚の紙を取り出し、オドネルに手渡した。彼はそれを宰相へと届け、宰相は眉をひそめながらも国王に差し出す。

「ここに我々の要求をまとめさせていただきました。これらが我々が御都に経済支援を行う上での条件となります」

国王の顔が怒りでみるみる赤く染まっていく。

「……ふざけるなッ! 関税自主権の一部譲渡!? 主要港湾の使用権!? 王国直轄鉱山の採掘権だと!? これは支援ではない、侵略だ! 我が王国を内側から食い尽くすつもりか!」

玉座を叩きつけ、国王は立ち上がった。その怒号が広間に響き渡る。

「陛下、これは王都を立て直すための最も現実的で、かつ即効性のある処方箋です。我々が産業の心臓部に入り込み、血流を正常化させる。そのための権限です」
「黙れ、小娘が!この私を侮辱するにも程がある!そもそもこの事態を招いたのは貴様だ、ヴォルフ!」

怒りの矛先はヴォルフへと向けられた。

「父の命に背き、独断で罪人を招き入れ、王都を売り渡すような要求をさせる! もはや貴様に王太子たる資格はない! 今この時をもって、貴様の王太子位を剥奪する!」

ヴォルフはその言葉を甘んじて受け入れるかのように、ただ真っ直ぐに父を見据えている。

「衛兵! 家臣たち! 何をしている! この者どもを全員ひっ捕らえ、牢へ叩きこめ!」

国王の怒りに満ちた命令が下される。シオンが一歩前に出て、私を庇うように静かに佇んだ。彼の背後でクレイヴァーン騎士団の精鋭たちが身構え、一触即発の空気が流れる。

だが誰一人動かない。それどころか――――。
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