ロンリー・ライアー

花咲由菜

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終わりの始まり

無表情のこいつと俺

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パラ………………
紙をめくる音だけが響く室内で
俺は居た堪れなくなっていた
「……なぁ、いみか」
忌華と呼ばれたその人は
ページを捲る手を止め
一言。
「なに?」
…と呟いた
(いやいやいや、何じゃねーよ!
彼氏の部屋に二人きりで
部屋来た途端に漫画読むとか
男子中学生かっつの!)
「なんかさぁ…
…ん~まぁ…いいや」
口で言ってもわかるわけがない
それなら行動に移すまでだ
「……しょう…?…!?」
バシッ
「…っ!痛えな…まだダメ?」
「翔は…それしかないの?」
真っ直ぐ目を見て言われると何も言えなくなる
「悪かったよ…」
「…」
謝るとまるで
何事も無かったかのように
忌華は漫画の続きを読む
もう付き合って2年だ
それなのに忌華は
キスもそうゆう事もさせてはくれない
「…なぁ忌華…
…なんでダメなの?」
「…答える必要ない」
その答えを聞いた瞬間
抑えていた感情が溢れてきた
「はぁ!?それはないでしょ
なんなの?お前マジなんなの?」
思わず怒鳴ってしまった
(しまった…)
「忌華ごめん
怒鳴るつもりなかったんだ」
…でもやっぱり忌華は
泣きもせず怒りもせず
俺に静かに言った
「…ねぇ翔…
嫌なら捨てればいいじゃん」
俺はまたそれを言われるのか…
そう思うと苦しくて
やりきれなくて
「私…笑えないの
…泣けないの、怒れないの
前からずっと言ってるよね」
「それはっ……」
嘘なんだよな、とは言えなかった
勝手にアルバムを覗いたのは
俺だし、その嘘を
そうなった理由を
忌華ははなしてはくれないから
だから言えなかった


でもやっぱり言えばよかったんだ

あんな事になる前に
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