ロンリー・ライアー

花咲由菜

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終わりの始まり

好きな人の大切な奴

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遅れて辿り着いた俺は
膝から崩れ落ちそうになった
俺の好きな人が知らない男と
…キスしているのを見た
あんなに俺には嫌がっておいて
そしてもう一つ
…あんなに幸せそうに笑う忌華を俺は知らない
「い、忌華…」
震えながら声をかけると
忌華は少し肩をビクッとさせてから
こっちを向いた
「翔…何しに来たの?」
さっきまで笑顔だったのが嘘のような無表情でそう呟いた
「…何だそれ、てかそいつ誰だよ」
「私の一番大切な人」
全ての音が止まった気がした
「…は、…え?………
い、忌…華…なんて言ってんだ?
じゃあ俺は何だったんだ…?」
忌華はその問いに答えずに
真っ直ぐ目を見て言った
「はい。ゲームオーバーだね
約束を破るとか僕を欺くとか
そんな事はどうでもいいしバレてたよ
僕は最初から君が好きじゃない
だから暇つぶしに君で遊んであげたの
楽しかったでしょ?」
俺はもう何もわからなくなった
ここで怒ればいいのか?
泣けばいいのか?
何を言えばいいのかわからない
すると突然、哉斗(かなと)が嗤いだした
「なんだよ、何笑ってんだよ!」
「…え?だってあまりにおかs…
あまりにかわいそうで
気の毒だなぁって思ってwww」
笑いすぎて涙目になりながら
言われても嘘にしか聞こえない
「お前ら何なんだよ!
てかそいつ何なの!?
いきなり出てきて人のモノ奪うとか…」
途中で俺の言葉を遮る様に忌華は
「僕はモノじゃないし
お前のモノじゃないし
女々しいなぁ……殺すよ?」
そう言った…
凄く怖い目だった
(俺は忌華の事を何も知らない…
こんな顔…俺は知らない)
俺は何も言えずに黙って逃げ出した
後ろから静止の声が聞こえるが
止まらずに進んだ
すると突然背中に痛みが走った
「…ッぃ痛ッ!?」
視界の端に映ったのは
狂気の笑みを浮かべてナイフを持つ忌華と
その後ろで嗤う哉斗だった
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
痛みで絶叫しながら俺は転げ回るが
忌華は聞こえてない様に平然としている

薄れる意識の中で
今までの時間を思い出しながら
(一度も笑わせられなかったな…)
と思いながら俺は目を閉じた
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