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真相と想い
しおりを挟む私は視線を合わせ
一番聞きたかった質問をした
「どうしてあの時貴方は
青鬼になったの?」
彼は少し目を細め寂しそうな顔で
「わからないんだな…
しょうがない言ってやる
お前が大好きだからだよ」
そう言った
そしていたずらっぽい笑顔で
もう一度
「大好きだからだよ」
念を押す様に言った
私は知らなかった
…振りをしていた
本当は知っていた
確かめるのが怖くて聞かなかった
”私はもっと早くに
素直になってもよかったんだ”
そう思うと泣きそうになって
それを隠す様に
「二回も言わなくてもいいのに
本当に意地悪だよね貴方は」
毒づいてしまう
我ながらなんて天邪鬼なんだろう
「しょうがないでしょ?
お前をいじめるのは楽しいんだから
…で、答えは聞けるのかな」
私はすぐにでも頷きたかった
けれどやっぱり口をついて出たのは
「後で話す」
なんていう可愛げの無い言葉だった
もう日が沈みかけ
オレンジと紺色が混ざる空を
昔よく来ていた公園の
ベンチから眺めていると
「はい。お前は
ミルクセーキでいいだろ?」
と、彼が缶を差し出す
「うん、ありがとう」
あの後沢山話をした
つい長居してしまい
喫茶店にこれ以上長居するのも
如何なものかと
私は彼に公園に行くことを提案した
「この秋空の下公園に行くのか…
まぁいいけど…」
と、少し不服そうだったが
了承してくれた
彼は缶コーヒーを開けると
遠い目をして
「ここに二人で初めて来たの
いつだか覚えてるか?」
そう言った
私は少し考えて
「高一のこの時期?」
「違う」
ばっさりと否定された
「正解は高一の入学式の後」
「え?嘘だぁ」
私にはそんな記憶が無い
不思議がっていると
「お前ってさ記憶力悪いよな」
そう毒づいてから
「入学式の後ここで
お前転んだ子供を助けてて
母親が買い物から帰ってくるのを
子供と待ってた時に
俺が話しかけて
それから俺らはつるむ様になった」
そう説明してくれた
確かにそんな事あったなと
言われてやっと思い出した
だけどそれは
二人で来たと言うのかと思いつつ
「よく覚えてるね」
そう感心すると
彼は私を少し睨みながら
「当たり前だ」
と、不機嫌に言った
私は少し間を置いてから
「私もね覚えてる事あるよ」
私は…彼に返事をする事にした
「入学式の朝にね
道で猫を撫でてる男の子がいたの
それでね猫を追っかけて車に
引かれそうだった男の子をね
助けたかっこいい高校生がいたの」
「ふぅん…で?」
私はふふっと笑いながら
「その高校生はね私と同じ
高校の一年生でね
三年間クラスが同じで
よく私の事を助けてくれた…
大切にしてくれた。
私その人のことをずっと好きなの」
「…そっか」
彼はやっぱり気づいていない
私が話している人は
彼自身の事だというのに
彼は暗い顔をしている
「…その私の好きな人はね
私を騙して私に会いに来たの」
そう言うと彼はパッと
顔を上げた
「それでその人はね
私を大好きって言ってくれた
二回も…そして今
隣で私の話を聞いてくれている」
「お前…それって」
私はにっこり笑って
彼に抱きついた
彼は私を強く抱きしめ返すと
「振られたかと思ったよ
もう…本当に意地悪だよね」
掠れた声で言う彼に
私はもう少し意地悪したくなった
「やっぱり青鬼さんは優しいね
…ふふっ
青鬼さんも泣き虫なんだね」
そう泣きながら私は意地悪をした
赤鬼は優しい青鬼と
結ばれて幸せになりましたとさ
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