泣いた青鬼

花咲由菜

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後悔

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彼とは随分話してない様に思う
けれど実際話していない期間なんて
一週間すら経っていないのに
高校二年生にもなって
我ながら情けない。
彼は私をすごく
大切にしてくれていると思う
日頃から助けて貰ってばかりで
何も恩を返せてない。
だからと言うのもあり
彼があえて悪役になるのは
どうしても嫌だった
私はクラスで
最近ハブにされている。
理由と言うのは
リーダー格の女子の好きな男子と
実行委員に選ばれてしまい
その後も何かにつけてその男子が
私につきまとってくるからなのだが
ここで私がきっぱり拒絶をすると
もれなく本格的に虐められ
このまま放っておいても
同じ結末が待っているのは
想像に容易い
だから私は彼に相談したのだが
彼は少し考えた後に
「じゃあ俺がその男子をボコる
そしてそれを男子には他言させない
そしてお前がその女子にチクる
そしてその女子が俺を告発する
んでその女子の傘下にお前が入り
俺をハブる。これで解決だろ?」
さも当たり前の様にそう話した
「何言っているの?」
「何って…解決策」
「他には?」
「じゃあ俺が…」
と、その後もずっと
自分を悪役にした作戦ばかり
話す彼に
私はとうとう叫んでしまった
「なんでそんな事ばっかいうの?」
”あの後逃げ出さないで
話し合えばよかったのに…”
そう後悔が色濃い私に
ある日、彼からメールがきた
[お前があの話に
納得していないのはわかる
だが俺には
あれしか思いつかないし
それしかないと思ってる
どうしてもやめて欲しけりゃ
今日中に俺を探して捕まえてみろ

捕まえられなかった場合は
明日決行する
あの男子をボコるから
リーダー女子にチクれよ?]

私は結果彼を見つけた
けれど捕まえられなかった
彼は最初から私に
捕まえさせる気なんてなかった
見つけた先は屋上だった
彼は手すりに立つと
「俺を捕まえるか?
これ以上近づくと言うなら
俺はここから飛び降りる」
普通の人なら臆する事なく
近づくだろう
だが私は彼は飛び降りるという
行為を実行すると確信があった
そして私はまた逃げたのだ
その場から…そして彼からも

彼の作戦は成功した
彼は停学したのちに
クラスでは共通の嫌われ者になり
それが卒業まで無くなる事はなく
私も彼に話しかける事はしなかった

1年後___

卒業式が終わり
自分の机の中に
手紙が入っていることに気づいた
差出人は書かれていなかったが
文体から彼である事は明白だった
[卒業おめでとう。
まぁ俺もか、長い一年だったな
この一年お前が平和に暮らせて
俺は心底よかったと思う
クラスの奴らと
仲良くやれていた様でなによりだ
俺はこれから少しこの街を離れる
探偵になろうかななんて思ってる
お前の真似じゃないからな?
本当に違うからな?
まぁ、お互い
これから先頑張ろうな
いつまでも
お前が幸せである事を願ってる。
じゃあまた会う日まで
Stay just the way you are.]
私は読み終わると
気づけば泣いていた
「これじゃあ本当に私赤鬼じゃん」
彼がこの時近くに居たのを
この時の私は知らなかった

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