こちらに、サインをお願いします。(笑)

どくどく

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27・・・人間+魔物=魔人

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「生贄村ってどういう意味だよ。」

と俺達を離れに案内した村人と村長のじいさんが説明を始めた。

「私たちは実は盗賊にさらわれてこの村に閉じ込められているんです。」「俺たちは元々は別々の村の出身なんです。」

「別々にさらわれた?」

「はい、ある日突然。大規模な盗賊団に村を占領されました。そこで盗賊たちは、村人一人を差し出せ、そうすれば助けてやる。と交渉を持ちかけてきたんです。村としては一人で村が助かるならと一人の生贄を決めて渡したんです。そして盗賊団は残った者にこの事を誰かに話せばお前らを殺しに来る。と脅しを入れてその村から手を引いたそうです。
そしてそのとき生贄として選ばれたのが私達というわけです。」「そして俺達は、奴隷契約をさせられ首輪をされ、村から出られずにいた。というわけなのです。」

「ちょっと待ってくれ、みんなのことは分かったけど盗賊団の目的が分からない。いったいみんなこの村で何をしているんだ?」

「はい私も、最初は分かりませんでした。ですがさらわれてきて数日経ったころ盗賊団と白衣を着た集団が村に来て。一人づつ村人をある所に連れて行ったんです。」

「ある所?それは何処だ?」

「はい、それはこの村の地下にあるダンジョンです。」

そう村長が言うと、さっきまで黙って聞いていた村人が急に。

「ダン、ジョン「ギャぁァ――助けて―」「イヤダ―来るな―ー」「もう行きたくない―――!!」「ウワ――!」」

と叫び出した。それはしばらく続いたがようやく収まり村人も正気に戻った。

「それでダンジョンってのは?」

「はい!この地下には一階層しかないダンジョンがあり、そこで奴らは実験を行っているんです。それも人を使った、人体実験を。」

村長はそう言うと服をたくしあげる。その下には・・・・・明らかに人のものではない大きさの真っ黒い心臓が張り付いていた。そしてその心臓が鼓動するたびに張り付いている周りの肉が黒く変色していく。まるで心臓に浸食されているように。


「・・・・・・それが実験か?」

すると村長は服を直し。

「これだけではなく、人によって様々な実験をさせられるのです。それに失敗で死んでもまた他の者が連れて来られます。普通の人間なら、一度目の手術で死にます。かろうじて助かっても二度目の手術には耐えられません。」

「そうか」

そして村長は、また土下座をしてきた。

「お願いします私は、もう助かりませんがどうか他の者達を助けてください。本来なら首輪の効果で助けを求める行為。ここでの秘密を伝える行為。をすれば首輪が締まり死にますが。あなたのおかげで助かりましたどうか皆の首輪も壊してください。これを頼めるのはッごほっ、ごほっ、・・・・貴方様、しか、いません。ど、どうか」

頼む村長の前の土には、少しせき込んだだけで出た血が水溜りになるぐらい口から流れ出していた。

(なあシエル?俺って今鑑定対策の[偽装]とか[隠蔽]のスキルって持ってたっけ?)

〈いえ、マスター特殊系はなかなか魔物からだと効率が悪いんですよね。結構な強さが無いと魔物は習得できませんし。〉

(そうかでもやっぱり街に行く時は持っといた方がいいと思うんだけど、どう思う?)

〈はいそうですね盗賊なら他の技能系もそろいそうですし、損は無いと思います。助けるんですか?〉

(俺らしくないか?)

〈いいえ、これだけの打算ありありの親切、マスターらしいですよ。〉

「フッ、分かった!!助けるよ打算の為にな」

そう言いながらクコを小屋に残して朝まで村中の首輪を壊して回った。
そして
「ご主人様…朝早い…珍しい…です。」
俺は力なく笑い
「ハハハハ、寝てないからな。」

と隈の出来た顔でふらふら歩く(シエル、クコに説明よろしく俺は寝る)

〈はいマスター〉

と俺はまた昼過ぎまで眠った。・・・しょうがないだろ今は出来る事無いんだから。
それから3日間がたった。なんでもそいつら盗賊団は大体1週間に一回のペースで来るらしい、そして食料を置き経過を観察。たまに一人、二人ダンジョンへ連れて行かれるらしい。

 (まあ最長でも一週間待てば盗賊団と白衣集団がこの村にやってくる。最初村長は、若い者や手術前の者を連れて逃げてほしいとお願いしてきたが、俺はそれを突っぱねた。)

「そんな勿体ない事出来るか!」
と何を考えているか分からない俺に対し、村長も唖然としてしまった。

それから俺は近くで狩りをしながら対策をねっていった。
ちなみにダンジョンへ入って見たがただの石で出来た部屋。ただ中に入ると外への[気配察知]が使えなかった。逆も同じのようだ。あと手術済みの村人を元どうりにする治療は、無理だと言う事がわかった。俺がいじる事の出来るステータスにも変な所は無いし。いくらカモフラージュした契約書(ちなみに字が読める村人は居なかった)にサインさせこっそりスキルを渡し治癒力を上げても効果は無かった。
だけど治療し元に戻すのは無理だが、俺はもう一つ別の方法を思いついていた。

(フフッこれってうまくいけば、今後も使えるな)

そうして時は過ぎ決戦当日

気配を探っていると、人の集団の気配を感じた距離からすると昼過ぎくらいには到着するだろう。

(最後の追いつめだ、俺のもう一つの方法、アノ実験も成功した。力を使いこなすようになるのは、もうあとは各々の確認と計画の把握だけだ。)

もう一つの方法もうまく行った。めちゃくちゃ時間と手間はかかったがそれだけの成果は出たと思う。準備は出来た。・・・

そしてとうとう村へ盗賊団が入ってきた。そして盗賊団から目まぐるしく指示が飛ぶ。
「門番はどうした!いつでも見張りは立てておけと言っただろう!」
「予定は今日から2日だ迅速に動け」「おい!これが食料だ!保管庫に入れておけ。」
「奴隷商は向こうの家で契約準備をしてくれ。」「実験個体の様子はどうだ生きているか。」
「おい村人はどうした、一人もいないぞ。村長!村長は居るか!」「効率重視です、準備を」
「あー君、君手術済みの研体を集めておいてくれるかい?」「今回やる薬物は運んでおいて」
「手術の準備はよろしくお願いしますね。」「前回からの死亡者は居るか!!いたら報告せよ。」

統率のとれた動き効率化された指示、とても盗賊にはみえない。
そして、盗賊の格好をしている男が俺を見つけ指示を飛ばす。

「?何をしている早く整列させんか!子供大人は関係ない。手術済みと手術前の個体を分けて整列させよ。」

だが俺は動かない。と言うより村人は俺の後ろで動くなと言っている。

つまり冒険者風の俺とクコの目の前に100人近い盗賊、俺の後ろには村人たちと言う構図になる。

「ん?首輪はどうした!!お前たちは誰だ!!この村のものじゃないな?・・・おい、野郎ども!下手なことはするなよ」

盗賊の男が警戒の合図を出す。
と、後ろから白衣の男達がその間に割って入ってきた。

「えっと効率優先で手術に移らなければいけないんですが?どうなっているのです?」
「ん?こんな所に・・・冒険者でしょうか?」「おや?村人たちの首輪が外されていますね」

と次第に騒がしくなる。らちが明かないので俺は。

「あーお前ら裏ギルド『メフィスト』の関係者か?」

と、一言声をかける。その場が静まり返った。
とそうしていると白衣を着た一団から細身の男が話しだす

「貴方は何者ですか?こんな所で組織の名を出すなんて、恰好からすると冒険者でしょうか?ここに迷い込んだという事は無いでしょう?それにまさか私達と本気で敵対する気じゃないですよね?この状態で。」

どうやらこいつがこの一団の代表の様だ

「人に名前を聞くときは自分から名乗るのが礼儀だろ?それに敵対はお前らの態度次第だな。俺の言う事を聞けば許してやるぞ?」

「フフフ、やはり組織の関係者では無いようですね。私はジスマと言います。私の前で『メフィスト』の名前を出してただで済むとは思わない事ですね。」

「それは自分が『メフィスト』だと認めたって事でいいのか?それにタダで済まないのはどっちかな?」

「・・・・・」

と白衣の男ジスマはおもむろに手を挙げる。すると盗賊団が動き出し俺達を囲うように動きだした。そしてその中には俺の後ろで固まっている村人の集団へと近づいて行く奴もいた。

「フフフあなたのその余裕。言いですか?あなたがいくら自分の力に自信があろうが、この状態ですべてを守る英雄にはなれませんよ?何を勘違いしてこの村を救おうとしているか分かりませんが、まだこれでも余裕でいられますか?」

「・・・やりたきゃどーぞ?お前らの実験体はお前らの自由だ・・・」

そうしてジスマの手が振り下ろされる。すると短剣を引き抜いた盗賊が村人へと突進していく。

「ハハハハハ!やらないと思いましたか?こいつらが私達の大切な実験体だから?御冗談、私達が欲しいのはノーリスクの結果です。あなたに利用されるような実験体はいりません 
グシュ「グぁァァ」ザシュ「うわーッいでー」 ギリッ「離、せっ」グッ「

とジスマが言い終わる前に、集まっている村人の後ろの方から複数の絶叫が周りに響く。

ここからは確認できないがジスマはその声を聞きながら話しだす。

「所詮農民などこの程度。どうです?気分は。それにしてもあなた本気で守る気が有ったんですか?今もまったく動こうともしていませんが?」

「守る?守る必要はないよ、言ったろお前らの実験体はお前らの自由だって。」

そう言って後ろを振り向くと村人たちが道を開ける。するとそこには、何と村人に取り押さえられる盗賊達の姿があった。

「ああ言い忘れていた。すまんなこの村の人間はもうお前らの実験体じゃない。・・・・俺の実験体になったんだ。まあ俺の実験はお前らみたいにあまく不完全ではないがな」

そう言って 実験に付き合ってくれた村人は俺がそう言っているうちにどんどん盗賊を制圧して行く。100人近くいた盗賊団は、35人の村人にあっという間に抑えられた。

「馬鹿な!!あり得ないお前達何をやっている!!たかが農民だぞ!!」
と取り乱し始めた。

「今度は俺の番かな?・・・・勝てると思ったか?この俺に?無理だな。お前たちの実験もたかが魔物のスキルを人間に移植する実験だろ?」

「なッ!!・・・そうだ!人類の進化に関わる大偉業だお前らの様な凡人にはわからんだろうが、人類の一つの終着点とも結うべき実験だ。それを理解すら出来ていないお前に邪魔する権利は無い!!」

「・・・その程度なら俺、出来るんだは。こんなふうに」
そして俺が手を上げると

いままで普通の村人だった人たちが。

「「「グゥルゥラァァァァ」」」「「「「キュゥゥゥーー!!」」」「「ドルゥァァァァ」」

と声を上げ、体を変化させた

「なっ!これはスキル「咆哮」か!動けん。あれは!ひとに羽根が生えている?馬鹿な!!我々があの研体に行ったのはハ―ピーの骨格筋の移植のみだ、それでは羽根が生えるなど。しかも飛行まで可能に、あれはスキル[飛行制御]か、他にもあれは角?[突進]、あれは体にツタが?[植物操作]か、あれは[毒針][糸操作]、な、なんだこの声は?何処だ?【念話】か? ハ、ハハ、トロルの持っている【巨大化】まで使っているのか。アh・・・まさか!!、まさかあれはエンペラーオーガの【帝王覇鬼】か、魔物の種族特有のスキルだけではなく固有技能まであり得ない。あり得るはずが無い。いたいなにが、私は何を見ている」

と魔物とも人とも違うものを見て整理が付かない頭で必死に把握しようとしていた。

「これはお前がやったのか?教えてくれ!いつからだ、いつから実験をしていた!!こんな長期間かかる実験を、我々に気づかれずにしていた!いつから!お前は何処の手の物だ!!我々の事を何処まで知っている!!」
と最初の余裕は欠片もなくなり怒鳴り散らす

「ん?いつから?俺がここに来たのは5日前だ、本格的に実験始めたのはみんなの同意を取った後だから昨日だな。ぶっつけ本番、結構ギリギリだったよ。まあやり方は秘密だけどな。まあこれで完全に元には戻せなくなっちまったけどしょうがねえ。あとお前らの事なんか知らん、ただカマをかけただけだ。という事でお前には要は無いんだ。あと残っているのもお前だけだしな。」
周りを確認すると残っていたっていた白衣集団も逃げ出せずにのまま捕まった。

「お前は一体なんだ。・・・何だと言うのだ、我々がやってた事を簡単に。我々は長い時間をかけ、オーガジェネラルの心臓を移植し経過観察、ハーピーの骨格筋を移植し経過観察、植物系魔物グリーエントの種を体内で発芽させ経過観察、エビルスパイダーの眼球を移植し経過観察…etc. そんなふうに歴史を重ねて行くはずだった。そうして行けば高みに到達できると思っていた。なのにお前はなんだ。昨日だと!ぶっつけ本番だと!ぎりぎりだっただと!!ふざけるな!!認められるか!!
お前は一体なん、だ・・・これではまるで創造する・・・、神そのものではないか。・・・・・」

そしてジスマは急に懐からメスを取り出し俺に向けて走ってきた。

「お前が死ねばこれは、私のものになる!!私はジスマだぞ!!『メフィスト』の研究機関の幹部だーーその私が、ここで終わるわけがない!!私の成果だ、フハハハハハ死ねー――!!」

パキッーン ガッ!「グゥッ」
メスをつまんで砕き、その勢いの付いた体を、反対の手で喉を掴んで止めた。

「そうやって最後の成果だけ望んだお前は、人としても研究者としても終わってたんだよ。」
ボキッ!
首の骨を折った。

(人の悲しみの上での進化が、おのれの喜びの未来で終わる訳は無いということだ。・・・・・
バキューーン ふぅー ウィスキーが心にしみやがる。)

〈マスター、BGMは、バンド堅茹でエッグの「ハードボイル道」でよろしいですか?〉

「いや―――――聞かないでーーー」

「ご主人様、…うぃすきーって…何?…です」

「やめ―て―――そっとしておいてー」

_○/|_ 土下座からの _O__ 土下寝 からのローリング(ゴロゴロゴロ―)
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