降格処分寸前の人間嫌い淫魔ちゃん♂は頑張って働くことになりました

おさかな

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田加井さんがいい

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「まあ相手は固定って言われてはないと思うし、たかいさんが無理って言うなら他の人間も探すって手も……」
 田加井が自信のなさそうな顔をしていると、ラビがふとそう言った。
 田加井はそのときに湧いてきた自分の感情に驚いた。けれどそれを抑えることなく、まず先に言葉が出てきてしまった。

「それは、嫌だな」

 ミリーは淫魔だ。きっと本来であれば不特定多数と関係を持つのが当たり前なのだろう。自分でもおかしなことを言っているのかもしれないとは思ったけれど、ミリーが他の男に抱かれることを一瞬考えただけで、とても嫌だと感じたのだ。

「……たかいさん」
 ミリーも驚いた顔をしている。あまり賢いとは言えないミリーだけれど、田加井のそのシンプルな言葉の意図はわかった。まさか、田加井が自分のことをそんな風に思ってくれるなんて想像していなかった。

「……僕も、田加井さん以外は、こわいです」

 だからこそミリーも、素直な自分の気持ちを言えた。田加井以外の男を知らないし、知るのは怖い。田加井が相手だから、セックスも怖くなかったのだと思う。

「……たかいさんがいい」

 ミリーはそう言って、田加井の手をきゅっと握った。まだ触れた瞬間の指先はぴくりと震えて、人肌の温度に違和感は覚えているようだった。それでも自分から、田加井の手を握った。

 そんな二人に水を差すようなラビではない。それに、結局は二人が想い合って抱き合えることが近道だと思うから、ラビはそのまま二人を見守ることにした。

「うん、いいと思うよ……ほら、これ」
 優しい表情で頷いたラビが、ミリーに綺麗な箱を手渡した。
「石をしまっておくのに使うの。開けてみて」
「なに、中……?」

 ミリーがその箱を開くと、中には既にひとつだけ、真っ白に輝くころりと丸い宝石が入っていた。

「昨日ミリーがしてる最中に泣いちゃったとき、涙がその白宝石に変わったの。白宝石ってね、なかなか作れないものなんだよ」
「……きれい……これ、僕が作ったの?」
「そう。言い伝えレベルの話だけど、白宝石は本当に想い合う二人が結ばれるときにできるらしいの。白は青の何倍も価値があるんだよ」

 本当に想い合う二人。その言葉に田加井とミリーはお互いの顔を見合う。

 昨日は確かに最中にはお互い気持ちが昂ってかわいいとか好きだとか、そういうことを口走ってしまっていたのは記憶にある。
 けれどそれが恋なのか愛なのか、『本当に想い合っている』のかと問われるとよくわからない。昨晩が濃密過ぎて思い違いをしそうになるが、何せまだ出会って三日しか経っていないのだ。

 そこはもう少しゆっくりと、時間をかけて向き合わなければ答えは出ないような気がしていた。
 けれどどこかで、そうなるといいと思った二人は顔を見合わせたまま、ふわりと微笑んだ。
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