降格処分寸前の人間嫌い淫魔ちゃん♂は頑張って働くことになりました

おさかな

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相談

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「で、何ですか? おれに相談って」

 こういうときに頼れるのは、ラビしか居なかった。田加井はある日様子を見に来たラビにこっそりと声をかけ、後日外で会うことにした。
 人気のない公園を選んで呼び出したけれど、ラビはいつもの際どい格好ではなく人間の私服らしいものを着ていた。田加井は少し驚いたけれど、外で話すということで気を使ってくれたのだろうと思った。

「ミリーのことというか、淫魔のフェロモンとやらについて詳しく知りたい」
「フェロモンについて?」
「男を誘うものだ、ということしか知らない。具体的にどのような働きかけをもって作用しているのかが知りたいんだ」
「……ふーん、そういうこと」

 ラビはそう話す田加井のことを値踏みするような目で見る。田加井は直接的なことは言っていないけれど、その質問の意図しているところはなんとなく察しがつくところだった。

「それはね、わからないんだ」
「わからない……?」
 てっきりラビならば明確な答えをくれるものと思っていたら田加井は肩透かしを喰らう。

「というのも、淫魔の持つ力はみんなそれぞれ違っているんですよ。得手不得手と言ってもいいですけど、どうやって誘うかも人それぞれなんです。シンプルに性欲を倍増させたり、はたまた酒に酔ったように酩酊させたり、すっかり眠らせてしまう子もいます」
「そういうものなのか」
「……もちろん、好きにさせちゃったりもね」
「…………」

 ラビの言葉に何も言えなくなる田加井。やはり聞かなくても田加井が何を考えているのかがわかる。
 ラビはそんな風に悩む時点でもう恋ってことでいいじゃないかと思うけれど、それがフェロモンによって惑わされて作られた恋心かもしれないと思えば複雑になる気持ちもわからなくはない。

「ミリーの場合はこれまで人に使ったことはないですから、余計にわかりません。だいたいいろんな人に試して自分の特性を理解していくものですから、サンプルがないんですよ」
「……たしかに、それはそうだな」

 田加井は明らかに残念そうに声のトーンを落として言った。知りたかったことを知る術が、他の人間にも使ってみるという方法しか今のところないというのだから、ミリーを他の男に触れさせたくないと言った田加井にしてみれば困った事態だった。

「お困りですか」
 そこに突然姿を現した人がいた。いや、おそらく人ではないと、田加井もすぐにわかった。

「司令官! どうしてここに」
 司令官と呼ばれたのは、そうだと言われずとも強い悪魔だということが肌でわかる。真っ黒いスーツとコートを着ていてぱっと見は普通の人間のようにも見えるが、その佇まいはどこか人間離れしていて、真っ直ぐに目を見るとぞくりと寒気がする。自分よりも強大な力を持っているのだと、その目の光ひとつでわからせることのできる者だった。

「それはもう、ミリーさんが白宝石だなんて聞いたものですから、やはり興味があるでしょう。どのような行為で手に入れられたのか、相手がどんな人間なのか」
「たかいさん、こちらうちの上司です」
 「はあ、どうも」

 司令官は田加井のことをしげしげと見つめ観察する。自分が強者だと自覚している者は、いくら相手が身体が大きくても初対面の相手だろうと何も構うことはない。
 それに、司令官は何も田加井と何か争いに来た訳ではないのだ。

「実に面白い。私も数値としてしか田加井さんのことを知りませんでしたがこんなあの子が怖がりそうな人間の男だったとはね」
「ぐっ……確かに俺は図体もでかいし強面と言われますけど……」

 自分でもそう自覚はしていたものの、いざ前からミリーを知っているのであろう悪魔からそう評価されると少し傷つくものだった。

「ふふ、私の軽口などお気になさらず。それよりも、ミリーさんのフェロモンについてお知りになりたいのでしたら力になれるかもしれませんよ」
「えっ?」
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