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第2-1章 紅玉宮妃→????(新版)
「徳妃様は皇后を見舞いたいそうです」
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皇太子の逝去後も春華国はつつがなく回っていた。
幸か不幸か、皇子がそれぞれ優秀だったため、皇太子が今まで執り行ってきた政務を分担して影響を最小限に留める形となった。
なお、既に各々自分の仕事を受け持つ義兄や義姉の方々より、丁度成人したばかりの暁明様がこれ幸いとばかりに色々と面倒事を押し付けられたそうだ。彼ったら紅玉宮に帰ってくる度にそう嘆いてたっけ。
「お久しぶりです、母上」
「久しいな、紅玉宮殿下。息災だったか?」
「まあまあってところですね。母上の方は?」
「相変わらずと言ったところか。ただ元気のない陛下を励ます事が増えたな」
そんな皇太子の葬式から少し経った日、紅玉宮に徳妃様が訪ねてきた。
わたしはおろか暁明様もその日ばかりは執務を減らして母親を出迎えた。大げさだ、と徳妃様は笑ったものの、会うのがわたし達の婚姻以来だったから。
「それで母上、今日後宮から出てきたのは……」
「うむ、他でもない。皇后様のお見舞いの為じゃな」
本来皇帝の妃は後宮から出ることはない。ましてや正一品である徳妃様はなおのこと他の男と関わらないよう滅多な理由が無い限りは許可されない。宮廷内での催しに出席する時や実子の婚姻とかがその例外に挙げられる。
「皇后様と貴妃様と妾は同時期に妃となったからな。今の皇帝陛下が即位なさる時、誰が皇后となるのか競い合ったぐらいじゃからな。まあ、妾は全くその気が無かったが」
徳妃様は過去を懐かしむように言葉を紡いだ。暁明様もわたしもしばらくの間声をかけず、静寂が部屋を支配した。
「しかしなぁ。こう申しては人でなしと罵られそうじゃが、そろそろ皇后様には悲しみを克服してもらわないと困ると思わぬか? 臣下だけでなく、民百姓がな」
「母上の言うとおりですけれど、こればかりは難しいんじゃないかと。金剛兄を亡くした心の傷がいつ癒えるか分かりませんもの」
「それは彼女が庶民なら許されただろうが、あいにく春華国を背負って立つ皇后。もはや折れてしまったなら退くべきじゃろうな」
わたし達が胸の内に抱える不安を徳妃様は容赦なく口にした。
この遠慮の無さは皇后様と肩を並べて皇帝を支えてきた徳妃様だからこそ許されたんでしょうね。それを知ってか、暁明様は苦笑いを浮かべる反応に留まっていたもの。
「で、実際のところ、皇后様の容態はどうなんじゃ?」
「あまり良くないみたいですよ。心の病で寝込むようになってから段々弱ってきているって聞いてます」
「ううむ、許されるなら張り倒してでも公の場に引きずり出すのじゃがな」
皇后は皇太子ご夫妻の葬儀を境に公務を一切取り止めている。食も喉を通らず侍女が呼びかけても反応を示さず。もはや生きる気力が失せたかのように衰弱の一途を辿っているんだとか。
この日にまでなると身体まで弱っているのか高い熱も出始めたらしかった。面会謝絶だったけれど貴妃様と徳妃様が何度もお伺いを立ててようやく許しを得たそうだ。いてもたってもいられなくなった、が徳妃様の想いだった。
「じゃあ貴妃様と一緒に皇后様のお見舞いに行く、と?」
「始めはお互いそれぞれで行くかって話だったんじゃが、少しでも皇后様にご負担がかからないよう同時になってしまってな。妾は別に拘りなんぞ無かったから構わぬが」
その貴妃様は徳妃様と同じようにご自身のご子息の宮へと行かれたそうだ。しばし息子との団欒を楽しんだ後に合流、皇后の下へと向かう予定なんだとか。
珍しくとても嬉しそうだった、と我がことのように徳妃様は喜んでいた。
なお、貴妃様のご子息とは第三皇子と第二皇女を指す。皇帝が亡くなっても第三皇子の庇護下に入って余生を過ごすだろう、と見られていた。もし第三皇子が皇帝にまで上り詰めれば、次の皇太后となるのは皇后ではなく貴妃様でしょうね。
「結果は文で伝える……つもりだったんじゃが、ちと悪巧みが浮かんできたぞ」
「えー? 母上の悪巧みですか……。嫌な予感しかしないんですが」
「ところで紅玉宮妃様はこの後予定は有るか?」
「いえ、特に入れていません。強いて挙げるなら紅玉宮でも行える簡単な執務や文をしたためるぐらいですか」
かつての主から敬われるのは何ともこそばゆい気分だった。けれどそれ以上に徳妃様がいたずらっぽく笑ってみせたので、わたしも暁明様と同じく嫌な予感がよぎった。
そして覚悟も決まらぬまま徳妃様は度肝を抜く提案をしてきた。
「どうだ、妾の侍女に扮して一緒に皇后様の見舞いに行かぬか?」
その場の思いつきではなかったらしく、徳妃様の傍らに控えていた侍女長がこちらへと布に包まれた何かを差し出してきた。布を開くまでもなく、中身は徳妃様お付きの侍女の服なのでしょう。
バレたらわたしどころか徳妃様すら一巻の終わりだ。お止めする立場の侍女長は微笑むばかりだし、彼女の隣に待機していた侍女の文月は諦めろと言わんばかりの達観した眼差しをこちらへと向けていた。
「畏れながら言いますが、危険を犯してでもわたしが同行する利点は?」
「又聞きするより己の目で確かめた方が良かろう。宮廷内の現状は妾より紅玉宮妃様の方が把握しておくべきじゃしな」
一理あるけれど皇后の容態は暁明様を通じてきちんと聞いている。それにもまさる生の情報は確かに魅力的だけれど、正直躊躇はあった。かつての先輩同僚は当てにならないし、暁明様も困った様子だったし、難しい選択だった。
「母上。いくらなんでも僕の妃にそんな危険な真似をさせたくありません」
「無論、無理強いはせぬよ。妾はまたとない機会を提供したまで。伸るか反るかは貴女様次第じゃしな」
「いくらなんでも度を超えています。僕の妃、母上に配慮する必要は無いから……」
「いえ、そのご提案、是非乗らせてください」
まあ、最終的には無難な道を選ばなかった辺り、わたしは馬鹿なのかもしれない。
「雪慧! わざわざそんな真似をする必要なんて無いから!」
「大丈夫ですよ。わたしだってバレないよう変装しますから。それに元々下女として採用されて後宮入りしたんですから、扮するのはお手の物です」
「いや、そういう問題じゃなくてさ……!」
「暁明様」
暁明様がわたしを案じてくれるのはとても有り難かったし心から嬉しかった。けれど、そんな愛しの旦那様を振り切ってでもわたしは多くの情報を集めなきゃいけなかった。他でもない、暁明様に危険が及ばないように。
「今は言えませんが、事態は思った以上に深刻なんです」
「……金剛義姉が金剛兄と無理心中した以上に?」
「はい。そして事態が動き出した以上は一刻を争います。多少無茶してでも全容を暴かなきゃ駄目です」
「……分かった。雪慧がそこまで言うなら」
わたしが真剣に説得したおかげか、暁明様は納得してくれた。礼を述べようとしたら彼から抱き締められた。少し苦しくなるぐらいに強く。
暁明様はまだ成長なさっていて、既にわたしの背丈を超えてしまった。肩幅もがっちりして顎の線も丸みが無くなってきた。普段から見慣れていても、こうして彼の胸の中にいるとその頼もしさと逞しさについ心動かされてしまった。
「けれど約束して。無茶は絶対にしない、って」
「……分かりました。暁明様に誓って、絶対に」
だからわたしも彼の背中に腕を回したのは自然な行為だって主張する。
徳妃様方が暖かな視線を送ってくるのも気にしないでおく。
わたしは幸せを噛み締めつつ、この大切な方を守りたいと強く願った。
けれど、もし彼を裏切るとするなら、悲しませるとしたら、一つだけ可能性がある。
わたしはこのかけがえのない方を最優先に位置づけて行動するでしょう。
わたしを一番だとする暁明様と違って、ね。
■■■
「……これはこれは、奇遇ですわね」
「えっと、ご無沙汰しています」
で、そんなこんなで徳妃様に付き従って出発したわたしを待ち受けていたのは、貴妃様付きの侍女に変装していた翠玉宮妃だったりした。
考えることは徳妃様も貴妃様も同じだったらしい。
幸か不幸か、皇子がそれぞれ優秀だったため、皇太子が今まで執り行ってきた政務を分担して影響を最小限に留める形となった。
なお、既に各々自分の仕事を受け持つ義兄や義姉の方々より、丁度成人したばかりの暁明様がこれ幸いとばかりに色々と面倒事を押し付けられたそうだ。彼ったら紅玉宮に帰ってくる度にそう嘆いてたっけ。
「お久しぶりです、母上」
「久しいな、紅玉宮殿下。息災だったか?」
「まあまあってところですね。母上の方は?」
「相変わらずと言ったところか。ただ元気のない陛下を励ます事が増えたな」
そんな皇太子の葬式から少し経った日、紅玉宮に徳妃様が訪ねてきた。
わたしはおろか暁明様もその日ばかりは執務を減らして母親を出迎えた。大げさだ、と徳妃様は笑ったものの、会うのがわたし達の婚姻以来だったから。
「それで母上、今日後宮から出てきたのは……」
「うむ、他でもない。皇后様のお見舞いの為じゃな」
本来皇帝の妃は後宮から出ることはない。ましてや正一品である徳妃様はなおのこと他の男と関わらないよう滅多な理由が無い限りは許可されない。宮廷内での催しに出席する時や実子の婚姻とかがその例外に挙げられる。
「皇后様と貴妃様と妾は同時期に妃となったからな。今の皇帝陛下が即位なさる時、誰が皇后となるのか競い合ったぐらいじゃからな。まあ、妾は全くその気が無かったが」
徳妃様は過去を懐かしむように言葉を紡いだ。暁明様もわたしもしばらくの間声をかけず、静寂が部屋を支配した。
「しかしなぁ。こう申しては人でなしと罵られそうじゃが、そろそろ皇后様には悲しみを克服してもらわないと困ると思わぬか? 臣下だけでなく、民百姓がな」
「母上の言うとおりですけれど、こればかりは難しいんじゃないかと。金剛兄を亡くした心の傷がいつ癒えるか分かりませんもの」
「それは彼女が庶民なら許されただろうが、あいにく春華国を背負って立つ皇后。もはや折れてしまったなら退くべきじゃろうな」
わたし達が胸の内に抱える不安を徳妃様は容赦なく口にした。
この遠慮の無さは皇后様と肩を並べて皇帝を支えてきた徳妃様だからこそ許されたんでしょうね。それを知ってか、暁明様は苦笑いを浮かべる反応に留まっていたもの。
「で、実際のところ、皇后様の容態はどうなんじゃ?」
「あまり良くないみたいですよ。心の病で寝込むようになってから段々弱ってきているって聞いてます」
「ううむ、許されるなら張り倒してでも公の場に引きずり出すのじゃがな」
皇后は皇太子ご夫妻の葬儀を境に公務を一切取り止めている。食も喉を通らず侍女が呼びかけても反応を示さず。もはや生きる気力が失せたかのように衰弱の一途を辿っているんだとか。
この日にまでなると身体まで弱っているのか高い熱も出始めたらしかった。面会謝絶だったけれど貴妃様と徳妃様が何度もお伺いを立ててようやく許しを得たそうだ。いてもたってもいられなくなった、が徳妃様の想いだった。
「じゃあ貴妃様と一緒に皇后様のお見舞いに行く、と?」
「始めはお互いそれぞれで行くかって話だったんじゃが、少しでも皇后様にご負担がかからないよう同時になってしまってな。妾は別に拘りなんぞ無かったから構わぬが」
その貴妃様は徳妃様と同じようにご自身のご子息の宮へと行かれたそうだ。しばし息子との団欒を楽しんだ後に合流、皇后の下へと向かう予定なんだとか。
珍しくとても嬉しそうだった、と我がことのように徳妃様は喜んでいた。
なお、貴妃様のご子息とは第三皇子と第二皇女を指す。皇帝が亡くなっても第三皇子の庇護下に入って余生を過ごすだろう、と見られていた。もし第三皇子が皇帝にまで上り詰めれば、次の皇太后となるのは皇后ではなく貴妃様でしょうね。
「結果は文で伝える……つもりだったんじゃが、ちと悪巧みが浮かんできたぞ」
「えー? 母上の悪巧みですか……。嫌な予感しかしないんですが」
「ところで紅玉宮妃様はこの後予定は有るか?」
「いえ、特に入れていません。強いて挙げるなら紅玉宮でも行える簡単な執務や文をしたためるぐらいですか」
かつての主から敬われるのは何ともこそばゆい気分だった。けれどそれ以上に徳妃様がいたずらっぽく笑ってみせたので、わたしも暁明様と同じく嫌な予感がよぎった。
そして覚悟も決まらぬまま徳妃様は度肝を抜く提案をしてきた。
「どうだ、妾の侍女に扮して一緒に皇后様の見舞いに行かぬか?」
その場の思いつきではなかったらしく、徳妃様の傍らに控えていた侍女長がこちらへと布に包まれた何かを差し出してきた。布を開くまでもなく、中身は徳妃様お付きの侍女の服なのでしょう。
バレたらわたしどころか徳妃様すら一巻の終わりだ。お止めする立場の侍女長は微笑むばかりだし、彼女の隣に待機していた侍女の文月は諦めろと言わんばかりの達観した眼差しをこちらへと向けていた。
「畏れながら言いますが、危険を犯してでもわたしが同行する利点は?」
「又聞きするより己の目で確かめた方が良かろう。宮廷内の現状は妾より紅玉宮妃様の方が把握しておくべきじゃしな」
一理あるけれど皇后の容態は暁明様を通じてきちんと聞いている。それにもまさる生の情報は確かに魅力的だけれど、正直躊躇はあった。かつての先輩同僚は当てにならないし、暁明様も困った様子だったし、難しい選択だった。
「母上。いくらなんでも僕の妃にそんな危険な真似をさせたくありません」
「無論、無理強いはせぬよ。妾はまたとない機会を提供したまで。伸るか反るかは貴女様次第じゃしな」
「いくらなんでも度を超えています。僕の妃、母上に配慮する必要は無いから……」
「いえ、そのご提案、是非乗らせてください」
まあ、最終的には無難な道を選ばなかった辺り、わたしは馬鹿なのかもしれない。
「雪慧! わざわざそんな真似をする必要なんて無いから!」
「大丈夫ですよ。わたしだってバレないよう変装しますから。それに元々下女として採用されて後宮入りしたんですから、扮するのはお手の物です」
「いや、そういう問題じゃなくてさ……!」
「暁明様」
暁明様がわたしを案じてくれるのはとても有り難かったし心から嬉しかった。けれど、そんな愛しの旦那様を振り切ってでもわたしは多くの情報を集めなきゃいけなかった。他でもない、暁明様に危険が及ばないように。
「今は言えませんが、事態は思った以上に深刻なんです」
「……金剛義姉が金剛兄と無理心中した以上に?」
「はい。そして事態が動き出した以上は一刻を争います。多少無茶してでも全容を暴かなきゃ駄目です」
「……分かった。雪慧がそこまで言うなら」
わたしが真剣に説得したおかげか、暁明様は納得してくれた。礼を述べようとしたら彼から抱き締められた。少し苦しくなるぐらいに強く。
暁明様はまだ成長なさっていて、既にわたしの背丈を超えてしまった。肩幅もがっちりして顎の線も丸みが無くなってきた。普段から見慣れていても、こうして彼の胸の中にいるとその頼もしさと逞しさについ心動かされてしまった。
「けれど約束して。無茶は絶対にしない、って」
「……分かりました。暁明様に誓って、絶対に」
だからわたしも彼の背中に腕を回したのは自然な行為だって主張する。
徳妃様方が暖かな視線を送ってくるのも気にしないでおく。
わたしは幸せを噛み締めつつ、この大切な方を守りたいと強く願った。
けれど、もし彼を裏切るとするなら、悲しませるとしたら、一つだけ可能性がある。
わたしはこのかけがえのない方を最優先に位置づけて行動するでしょう。
わたしを一番だとする暁明様と違って、ね。
■■■
「……これはこれは、奇遇ですわね」
「えっと、ご無沙汰しています」
で、そんなこんなで徳妃様に付き従って出発したわたしを待ち受けていたのは、貴妃様付きの侍女に変装していた翠玉宮妃だったりした。
考えることは徳妃様も貴妃様も同じだったらしい。
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