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第2-1章 紅玉宮妃→????(新版)
「皇帝はとっくに誘惑されていました」
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皇帝の命令から程なくして魅音が謁見の間に現れた。
魅音が姿を見せた途端、謁見の間を守護していた近衛兵は目を釘付けにされた。またある者は生唾を飲み込んだようだった。赤ずくめの中年近衛兵は自分の頬を思いっきり叩いた。わたしを含め、皆が魅音に支配されているかのようだった。
彼女は厳かに、しかし静かに前へ歩み出ると、皇帝から一定の距離を置いて足を止め、ひざまずいた。靭やかで柔らかい動作は優雅さを感じさせ、どこかで感嘆の吐息が漏れたほどだった。
「魅音、呼ばれまして馳せ参じました」
「う……うむ……」
皇帝も例外ではなかったらしく、魅音から言葉を紡がれるまではまばたき一つせずに彼女を凝視していた。慌てて咳払いをして目をそらし、近衛兵に向けて手で合図を送り、玉座へと戻っていった。
……なお、わたしは完全に後ろへ下がる機会を逸していた。
皇帝から下がるよう命じられても許可されてもいなかったので待機するしか無かったのもあった。「帰っていいですか?」なんて聞ける雰囲気でもなかったし。
「魅音様。お呼びしましたのは他でもありません。幾つか質問がありまして」
「その前に貴方方が何者なのかわたしは聞いておりませんが」
「これは失礼しました。我々は禁軍所属の――」
「存じています。皇帝陛下直属の特殊部隊、任務は宮廷の守護でしたか」
魅音は促される前に先程までわたしが座っていた席に腰を落ち着けた。
尻に手を添えてかがむ仕草すら目を引くのだから恐ろしいものよね。現に赤ずくめの中年近衛兵と若者近衛兵は多少の無礼にも何も言い返せなかったもの。
「簡単に事情を説明しますと、度重なる皇族の不幸は貴女様が現れたのがきっかけ。それを女狐などと呼ばれた女性が現れる兆候なのでは、と疑われています」
「ああ、ではこの間の皇太子殿下のご逝去に違和感を感じたのはそのためでしたか。紅玉宮妃様も黙して語ってくれませんでしたし」
「ではこれから幾つか質問しますので正直にお答えください。嘘をついても我々には見破れますのでお勧めは致しません」
「方術を用いるからですか? 構いません」
方術、とは聞き覚えの無い単語だったけれど、おそらく方士の用いる能力を指すんでしょうね。
赤ずくめの近衛兵も発言の意味が分かると驚いた様子だった。顔面が面紗で覆われていても身体の反応で分かるものだ。
「魅音様は皇太后様がお隠れあそばした件と関わりがありますか?」
「最低でもわたしにはあの方への害意はありませんでした」
「真」
「魅音様は皇太子殿下ご夫妻が亡くなられた件と関わりがありますか?」
「同じです」
「真」
「……魅音様は皇后様が自ら命を絶たれた件と関わりがありますか?」
「それも同じです。勝手にわたしを見て過剰に反応しただけでしょう」
「真」
その他色々と質問があったものの、要点をまとめれば魅音は既に息を引き取ったやんごとなき方々と全くと言っていいほど接点が無く、死については自分の外見に惑わされる程度の輩が消えてむしろ喜ばしい、という告白だった。
当然ながら赤ずくめの近衛兵は敬いが欠片も見られない魅音の尊大な態度に憤慨したものの、魅音は全く改める素振りを見せなかった。
……むしろ不気味だったのはそんな様子が許されたこの場の雰囲気でしょうね。これでは魅音が皇帝すら差し置いて謁見の間を支配しているようにすら思えて。そして、そんな有様に一番していたのは他ならぬ魅音本人だったんだ。
「……では、魅音様は女狐と比喩される方々をご存知ですか?」
「ええ、よく知っていますよ。春華国の歴史上度々登場した、女の身ながら国を安定に導いた傑物でしたね」
「真」
「その女狐が皇后へ至る前に大立ち回りをしていた事は?」
「はっきり言ってはどうですか? 例外なく女狐は皇太子や他の皇位継承者候補を退けて成り上がったんだ、って。丁度今現在みたいに、でしょうか?」
「真」
「……貴女が、女狐か?」
「いえ。違います」
「……。真」
その回答に一番驚いたのは他ならぬ皇帝だった。「何だと!?」と声を上げて立ち上がり、皆が注目したことに気付いて冷静さを取り戻したのか、「続けろ」と短く言葉を発して再び席についた。
さもあらん、わたしも黒曜宮妃に指摘されるまで女狐と傾国を混同していたから。前の女狐が傾国の要素も兼ね備えた太上皇后だったそうだから、なおさらだ。太上皇后を知っている者ほどその事実に信じられないんでしょう。
「では、今回の女狐に心当たりは?」
「ありません」
「真」
赤ずくめの中年近衛兵は一通りこれまでの供述を記し終えると、皇帝に向けて恭しく頭を垂れた。
一方の皇帝はわたしの時とは異なって怒っても悲しんでもいなかった。ただ彼は前方……いえ、魅音を見つめるばかりだった。
「偉大なる皇帝陛下に申し上げます。魅音様への問いはつつがなく終了――」
「では朕から質問をしても良いか?」
「へ? あ、いえ、問題ございません。真偽の程は部下が判別出来ますので」
「そうか」
皇帝はゆっくりと立ち上がり、なんとこちらへと歩み寄ってきたじゃないの。しかし周りの反応など眼中に無いままで。赤ずくめの近衛兵三名は皇帝に場所を譲り、相対した形で皇帝が魅音を見下ろす構図になった。
「魅音よ。女狐を見つけたらどうしてほしい?」
「質問の意図が分かりかねます。陛下のご随意になさればよろしいかと」
「女狐が魅音を脅かすようなら朕が排除しよう」
「ですが、こちらにおられます紅玉宮妃様のご様子から察するに、まだ特定は出来ていないとお見受けしますが」
「問題ではない。疑わしき全てを取り除けば良い」
あまりにも平然と言い放つものだから、一瞬その真意を察せなかった。
そしてその意味がわかった途端、背筋が凍った。
女狐だと疑っている皇子妃は全て処刑すればいい、と言っているんだ。
「皇子殿下方が応じるとはとても思えません」
「朕が皇帝だ。異議は許さん。刃向かうようなら皇子妃と共に処罰するまで」
「武官から信頼される青玉宮殿下や文官から支持のある翠玉宮殿下もですか? 政が乱れます」
「要らぬ。子などまた産めば良いのだ」
皇帝は前のめりになった。目を見開き息は荒く、興奮しているのが丸わかりだった。これが君主の姿か、と幻滅するにはその有様は十分すぎた。
机越しに迫られても魅音は特にたじろがない。それどころか、その表情に宿るのは失望、軽蔑、そして嫌悪感。
「朕の后となれ、魅音よ」
そして、決して下すべきではない命令を言い放ったのだった。
もはやいかに我が身に降り掛かった命の危機を掻い潜るかを考える余裕すらなかった。魅音が皇帝の后になる事の重大性は政に疎いわたしにだって分かる。
例えば、魅音に色目を使ったと見なされればどれほど有能な臣下だろうと処分されてしまう。
例えば、魅音を喜ばせる為にと酒池肉林の如く贅沢で散財する。
例えば、魅音の意向を歪曲して民を苦しめる政治を執り行う。
魅音が彼女に魅了された皇帝の后になったら最後、春華国に未来も希望も無い。
もはや皇帝の意志はゆるぎそうになかった。逆らえば最後、破滅が待ち受けるだけだ。既に排除が確定寸前のわたしなら、と思ったものの、機嫌を損ねて暁明様に危険が及ぶ事態はどうしても避けたかった。
わたしに出来たのはこの場は沈黙し、どうやって暁明様を連れて逃げ出そうか、との算段だけだった。実家の北伯侯家……いや、いっそ海を渡って春華国の手が及ばぬ遠い地に駆け落ちしてやるか?と。
「朕を拒絶するその目も気に入った。朕の寵愛が与えられる事、光栄に――」
「わたしに触れるな、下郎」
しかし、魅音だけは違った。
彼女は自分の顔へと伸ばされる皇帝の手を振り払ったのだった。
「わたしが身体を許すのはわたしの外面に惑わされぬ者。わたしが心を許すのは永久に『あの方』のみ。貴方はそのどちらにもあたらない」
毅然とした物言いは皇帝すらひるませるほどに堂々としていた。
強い意志を表した彼女をわたしはとても美しいと感じた。見た目の綺麗さや整った容姿、恵まれた身体等外見はいくらでも褒められるけれど、この時初めて内に秘めた想いに惹かれた、とも言えた。
「朕を拒絶するというのか? 他ならぬ皇帝たる朕を」
「長年連れ添った皇后様を失った途端にこれとはね。皇帝であるご自分を誇りに思っているようですが、あまりにも情けなくて怒りを通り越して悲しくなります」
「言うではないか。ではそなたは朕と紅玉宮めを比較して――」
「いえ。雲泥の差だと比較する相手は――」
先々代の皇帝、つまり太上皇后の夫であった者だ。
そう魅音は告げた。
魅音が姿を見せた途端、謁見の間を守護していた近衛兵は目を釘付けにされた。またある者は生唾を飲み込んだようだった。赤ずくめの中年近衛兵は自分の頬を思いっきり叩いた。わたしを含め、皆が魅音に支配されているかのようだった。
彼女は厳かに、しかし静かに前へ歩み出ると、皇帝から一定の距離を置いて足を止め、ひざまずいた。靭やかで柔らかい動作は優雅さを感じさせ、どこかで感嘆の吐息が漏れたほどだった。
「魅音、呼ばれまして馳せ参じました」
「う……うむ……」
皇帝も例外ではなかったらしく、魅音から言葉を紡がれるまではまばたき一つせずに彼女を凝視していた。慌てて咳払いをして目をそらし、近衛兵に向けて手で合図を送り、玉座へと戻っていった。
……なお、わたしは完全に後ろへ下がる機会を逸していた。
皇帝から下がるよう命じられても許可されてもいなかったので待機するしか無かったのもあった。「帰っていいですか?」なんて聞ける雰囲気でもなかったし。
「魅音様。お呼びしましたのは他でもありません。幾つか質問がありまして」
「その前に貴方方が何者なのかわたしは聞いておりませんが」
「これは失礼しました。我々は禁軍所属の――」
「存じています。皇帝陛下直属の特殊部隊、任務は宮廷の守護でしたか」
魅音は促される前に先程までわたしが座っていた席に腰を落ち着けた。
尻に手を添えてかがむ仕草すら目を引くのだから恐ろしいものよね。現に赤ずくめの中年近衛兵と若者近衛兵は多少の無礼にも何も言い返せなかったもの。
「簡単に事情を説明しますと、度重なる皇族の不幸は貴女様が現れたのがきっかけ。それを女狐などと呼ばれた女性が現れる兆候なのでは、と疑われています」
「ああ、ではこの間の皇太子殿下のご逝去に違和感を感じたのはそのためでしたか。紅玉宮妃様も黙して語ってくれませんでしたし」
「ではこれから幾つか質問しますので正直にお答えください。嘘をついても我々には見破れますのでお勧めは致しません」
「方術を用いるからですか? 構いません」
方術、とは聞き覚えの無い単語だったけれど、おそらく方士の用いる能力を指すんでしょうね。
赤ずくめの近衛兵も発言の意味が分かると驚いた様子だった。顔面が面紗で覆われていても身体の反応で分かるものだ。
「魅音様は皇太后様がお隠れあそばした件と関わりがありますか?」
「最低でもわたしにはあの方への害意はありませんでした」
「真」
「魅音様は皇太子殿下ご夫妻が亡くなられた件と関わりがありますか?」
「同じです」
「真」
「……魅音様は皇后様が自ら命を絶たれた件と関わりがありますか?」
「それも同じです。勝手にわたしを見て過剰に反応しただけでしょう」
「真」
その他色々と質問があったものの、要点をまとめれば魅音は既に息を引き取ったやんごとなき方々と全くと言っていいほど接点が無く、死については自分の外見に惑わされる程度の輩が消えてむしろ喜ばしい、という告白だった。
当然ながら赤ずくめの近衛兵は敬いが欠片も見られない魅音の尊大な態度に憤慨したものの、魅音は全く改める素振りを見せなかった。
……むしろ不気味だったのはそんな様子が許されたこの場の雰囲気でしょうね。これでは魅音が皇帝すら差し置いて謁見の間を支配しているようにすら思えて。そして、そんな有様に一番していたのは他ならぬ魅音本人だったんだ。
「……では、魅音様は女狐と比喩される方々をご存知ですか?」
「ええ、よく知っていますよ。春華国の歴史上度々登場した、女の身ながら国を安定に導いた傑物でしたね」
「真」
「その女狐が皇后へ至る前に大立ち回りをしていた事は?」
「はっきり言ってはどうですか? 例外なく女狐は皇太子や他の皇位継承者候補を退けて成り上がったんだ、って。丁度今現在みたいに、でしょうか?」
「真」
「……貴女が、女狐か?」
「いえ。違います」
「……。真」
その回答に一番驚いたのは他ならぬ皇帝だった。「何だと!?」と声を上げて立ち上がり、皆が注目したことに気付いて冷静さを取り戻したのか、「続けろ」と短く言葉を発して再び席についた。
さもあらん、わたしも黒曜宮妃に指摘されるまで女狐と傾国を混同していたから。前の女狐が傾国の要素も兼ね備えた太上皇后だったそうだから、なおさらだ。太上皇后を知っている者ほどその事実に信じられないんでしょう。
「では、今回の女狐に心当たりは?」
「ありません」
「真」
赤ずくめの中年近衛兵は一通りこれまでの供述を記し終えると、皇帝に向けて恭しく頭を垂れた。
一方の皇帝はわたしの時とは異なって怒っても悲しんでもいなかった。ただ彼は前方……いえ、魅音を見つめるばかりだった。
「偉大なる皇帝陛下に申し上げます。魅音様への問いはつつがなく終了――」
「では朕から質問をしても良いか?」
「へ? あ、いえ、問題ございません。真偽の程は部下が判別出来ますので」
「そうか」
皇帝はゆっくりと立ち上がり、なんとこちらへと歩み寄ってきたじゃないの。しかし周りの反応など眼中に無いままで。赤ずくめの近衛兵三名は皇帝に場所を譲り、相対した形で皇帝が魅音を見下ろす構図になった。
「魅音よ。女狐を見つけたらどうしてほしい?」
「質問の意図が分かりかねます。陛下のご随意になさればよろしいかと」
「女狐が魅音を脅かすようなら朕が排除しよう」
「ですが、こちらにおられます紅玉宮妃様のご様子から察するに、まだ特定は出来ていないとお見受けしますが」
「問題ではない。疑わしき全てを取り除けば良い」
あまりにも平然と言い放つものだから、一瞬その真意を察せなかった。
そしてその意味がわかった途端、背筋が凍った。
女狐だと疑っている皇子妃は全て処刑すればいい、と言っているんだ。
「皇子殿下方が応じるとはとても思えません」
「朕が皇帝だ。異議は許さん。刃向かうようなら皇子妃と共に処罰するまで」
「武官から信頼される青玉宮殿下や文官から支持のある翠玉宮殿下もですか? 政が乱れます」
「要らぬ。子などまた産めば良いのだ」
皇帝は前のめりになった。目を見開き息は荒く、興奮しているのが丸わかりだった。これが君主の姿か、と幻滅するにはその有様は十分すぎた。
机越しに迫られても魅音は特にたじろがない。それどころか、その表情に宿るのは失望、軽蔑、そして嫌悪感。
「朕の后となれ、魅音よ」
そして、決して下すべきではない命令を言い放ったのだった。
もはやいかに我が身に降り掛かった命の危機を掻い潜るかを考える余裕すらなかった。魅音が皇帝の后になる事の重大性は政に疎いわたしにだって分かる。
例えば、魅音に色目を使ったと見なされればどれほど有能な臣下だろうと処分されてしまう。
例えば、魅音を喜ばせる為にと酒池肉林の如く贅沢で散財する。
例えば、魅音の意向を歪曲して民を苦しめる政治を執り行う。
魅音が彼女に魅了された皇帝の后になったら最後、春華国に未来も希望も無い。
もはや皇帝の意志はゆるぎそうになかった。逆らえば最後、破滅が待ち受けるだけだ。既に排除が確定寸前のわたしなら、と思ったものの、機嫌を損ねて暁明様に危険が及ぶ事態はどうしても避けたかった。
わたしに出来たのはこの場は沈黙し、どうやって暁明様を連れて逃げ出そうか、との算段だけだった。実家の北伯侯家……いや、いっそ海を渡って春華国の手が及ばぬ遠い地に駆け落ちしてやるか?と。
「朕を拒絶するその目も気に入った。朕の寵愛が与えられる事、光栄に――」
「わたしに触れるな、下郎」
しかし、魅音だけは違った。
彼女は自分の顔へと伸ばされる皇帝の手を振り払ったのだった。
「わたしが身体を許すのはわたしの外面に惑わされぬ者。わたしが心を許すのは永久に『あの方』のみ。貴方はそのどちらにもあたらない」
毅然とした物言いは皇帝すらひるませるほどに堂々としていた。
強い意志を表した彼女をわたしはとても美しいと感じた。見た目の綺麗さや整った容姿、恵まれた身体等外見はいくらでも褒められるけれど、この時初めて内に秘めた想いに惹かれた、とも言えた。
「朕を拒絶するというのか? 他ならぬ皇帝たる朕を」
「長年連れ添った皇后様を失った途端にこれとはね。皇帝であるご自分を誇りに思っているようですが、あまりにも情けなくて怒りを通り越して悲しくなります」
「言うではないか。ではそなたは朕と紅玉宮めを比較して――」
「いえ。雲泥の差だと比較する相手は――」
先々代の皇帝、つまり太上皇后の夫であった者だ。
そう魅音は告げた。
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