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第2-1章 紅玉宮妃→????(新版)
「夜襲を返り討ちにしました」
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謝罪の一つすら無かった第二皇子との決別を宣言した暁明様は晩餐の席で愚痴が止まらなかった。わたしも頭にきたので全面的に同意しながら思いっきり苛立ちをぶちまけてしまった。
暁明様は普段は傍に仕えているだけの侍女達もこの愚痴大会への参加を許したので、皆は憂さ晴らしのように悪口や文句を連打した。近衛兵達は部屋中荒らすだけで後片付けが大変だった、近衛兵が邪魔で普段の掃除等の仕事が出来なかった、等。
「それにしても、わたしの殿下が青玉宮殿下と袂を分かつと宣言されるとは思いませんでした」
「今思えばちょっと軽率だったかなぁ。あまりにも自分勝手だったから我慢出来なかったや」
「仕方がないんじゃないですか? いくら武官から支持を集めているとはいえ、まだどなたへの支持も表明していないわたしの殿下の機嫌を損ねる真似をするなんて。あまりにも考えが足らなすぎます」
「……もし青玉兄が皇帝になったら丞相の言うなりになりそうだね」
おそらく第二皇子が皇帝になったら最後、第三皇子が危惧したとおり政治は疎かになり、文官が好き勝手振る舞うに違いない。そして第二皇子は地方の平定だとか隣国への遠征だとかに明け暮れ、財政を圧迫していくんだ。
「それなら翠玉宮殿下は青玉宮殿下を皇帝の座に据え、影から政を取り仕切ればよかったのでは?」
「翠玉兄は脳筋で馬鹿な青玉兄を見下してるからね。上辺だけでもかしずくのが我慢ならないんじゃない?」
「あの様子ですとそのうち翠玉宮や黒曜宮にも今日みたいに押し入りそうなんですが」
「そんな真似したら軍事費を大幅に削減して干上がらせてしまうかもね」
粗方第二皇子ないわーと言い終えた後は、結局どんな目的で襲来してきたのか、との話題に移った。伝国璽について知っているのはわたしと暁明様、それから魅音のみ。使用人達は思い思いの憶測を並べ立てるばかりだった。
一方のわたしや暁明様はその話題を聞きつつ、結局何が目的で伝国璽が魅音の手に渡ったのか、について内緒話した。わたしは魅音を介して暁明様がはめられた、と仮説を披露したら、暁明様は思いつめた顔をした。
「それが真実だとしたら、あわよくば僕らが嫌疑をかけられて破滅すれば良し、失敗しても僕と青玉兄の仲は悪くなる。そんな風に考えた仕掛け人がいるって?」
「最低でも皇帝直属の筈の赤き親衛隊のうち数名が加担しています。今日は何とかしのげましたけれど……」
わたしは殿下の手を握った。したくなったからじゃなく、自然とそんな動作を取っていたから。
「わたしは暁明様の御身が心配です。どうかご注意ください」
暁明様は意外そうに目を丸くしていたけれど、すぐに朗らかな笑みをこぼしてわたしの手を握り返してくれた。
「僕よりも雪慧の身に何か危険が及ばないかが心配だよ。だって、この前みたいな思いはもう嫌だ」
「暁明様……。わたしは貴方様さえ無事であればどうだって……って言うと怒るんでしたね。わたしは殿下のために我が身も可愛がらなきゃいけないんですもの」
「僕のためにって辺りが引っかかるけれど、自愛してくれるなら嬉しいよ。あと雪慧を一番可愛がりたいのは僕なんだよね」
「もう、暁明様ったら」
そんな感じに暁明様に夢中になって周りの視線が目に入らなくなるのはいつものことで、後から夜鈴達に仲睦まじくて羨ましい限りですと言われたり、魅音から自分が寵愛されなくて落ち着くと言われるのもいつものことだった。
ただ、頭の片隅では今後の身の振り方を真剣に考えていた。
既に皇位継承争いの当事者になってしまった以上は、帝位に興味なしと表明していても静観を続ける限り立場が悪くなる一方だ。また伝国璽のような策が降り掛かったら、今度は暁明様が破滅に追い込まれるかもしれない。
第二皇子は無し、と表明してしまった以上は選択肢が限られる。かと言って第三皇子は魅音を最大限利用しようと画策していて、そのうち皇帝のようにドツボにはまってしまう可能性も否定しきれない。第四皇子も然り。
となればあの手段を講じざるを得なくなるのでは、と心に留めておいた。
■■■
「……」
その日の夜、わたしはまだ闇夜が支配する中で目を覚ました。
既に侍女を含めて夜番の者以外は床に付いている時刻。外からも風や虫の音以外は聞こえてこない。わたしの隣では暁明様が静かで可愛い寝息を立てていて、衝動に駆られて思わず頬を突いてしまったのは内緒だ。
そんな静寂な中、わたしは寝具から起き上がって部屋着に袖を通した。邪魔にならないよう帯を巻いたら、部屋の壁に飾られていた刀を手にし、月明かりでわずかに見える部屋の扉を凝視した。
そして、扉が全く音を立てずに動いた瞬間、思いっきりその刀を投擲した。
木製の扉は耳をつんざくほどの大きな音を立てて突き破られ、刀の刃は扉の向こう側に貫通したようだった。わたしは刀を投げた直後に飛び出し、扉に刺さった刀を一気に引き抜いてから扉を開け放った。
扉という支えを失った何かがこちらに向けて倒れてきた。わたしは刀の切っ先をソレに向けて警戒したけれど、おびただしい量の血を噴き出して微動だにしなかった。念の為にわたしはソレに向けて刀を振り下ろしておいた。
「まさかもう仕掛けてくるなんて、ね」
侵入者は暁明様に差し向けられた刺客、または彼が手中にしていると噂されていた伝国璽の奪取が目的なんでしょう。こんな真夜中にご苦労さまなことだ。まあ、暁明様に害を成すなら容赦無く殺すまでだけれど。
わたしは首から上を失った親衛隊の亡骸を廊下へと放り投げてやると、瞬く間に廊下の左向こうから何かしらの攻撃を仕掛けられたらしく、派手に右へと吹っ飛んでいった。廊下端の壁に激突したらしく、闇夜に轟くような衝撃音が響いた。
間髪入れずに廊下に飛び出したわたしは左へ疾走、手を突き出していた何者かへ刀を一閃、飛び出ていた手を切り飛ばしてやった。更に動揺と驚愕に支配された侵入者を間合いに収め、その無防備な脳天を叩き割ってやった。
侵入者が倒れ伏していくのを尻目にわたしは魅音の寝室に入った。丁度彼女は不審な物音で目を覚ましたらしく、侵入者の出現に軽く悲鳴をあげて怯えてしまった。闇に支配された中でわたしだと判別出来るわけないか、と軽く反省した。
「魅音様、ご無事ですか?」
「紅玉宮妃、様……?」
「侵入者です。二人仕留めましたが他にもいる危険があります。一旦殿下の寝室へ避難を。そこから通じる隠し部屋にいればひとまず安全ですから」
わたしは喋っている間も戸惑う魅音の手を取って廊下を駆け抜け、暁明様の寝室に戻った。丁度彼も異常事態に気付いて意識が覚醒したらしく、部屋着を羽織っている最中だった。
「雪慧! 今の物音は……!?」
「侵入者です。返り討ちにしますから殿下はここで彼女を守ってください」
「ちょっと――!」
わたしは暁明様の抗議を聞かぬまま魅音を彼へと突き飛ばした。それからすぐさま廊下を駆け回って他の賊が紛れ込んでいないかを確認していく。途中、夜番で紅玉宮を警備していた物言わぬ近衛兵が倒れていて、更に頭に血が上った。
いた。中庭の向こうで塀を登って退却しようとしている侵入者の姿を捉えた。
先程のように刀を投擲……いや、小刀ならいざしらず腕の長さ程もある刀を遠い距離まで殺傷力を保ったまま投げるのはわたしには無理だ。ならせめて石を投げて頭に当てられれば……!
と、思った直後、後方から飛来した何かが塀に登り終えて姿をくらまそうとしていた侵入者の頭に直撃、そのまま向こう側に大きな音を立てて倒れ込んだ。
後ろを振り返ると弓を構えた暁明様の姿があった。
「全く、無茶しないでって言った矢先にこれだもの。もういっそ雪慧は僕が監禁しないと駄目なんじゃないかな?」
「ふふっ、暁明様が無事だって保証があればそれもいいかもしれませんね」
それからわたし達は紅玉宮の安全を確認していった。どうやら侵入者は塀から侵入、見回っていた近衛兵を黙らせて事を成そうとしたらしい。幸いにも紅玉宮に住んでいる夜鈴達は無事。朝や昼番の近衛兵達も襲われていなかった。
その辺りでようやく騒ぎを聞きつけた禁軍の近衛兵達が紅玉宮へとやってきた。詳しく調べるから侵入者の遺体を引き渡すよう要求されたものの、昼の一幕で不信感を募らせていた暁明様は二人の身柄を彼らへと預けたのだった。
「別に全員とは聞いてないし。明日の正午ぐらいにでももう一人いましたって言っとけばいいよ」
「暁明様も中々ワルですねえ」
そして迎えた朝、わたし達は残した侵入者の亡骸を調査すべく、まずは顔を暴こうと面紗を剥がそうとして、気付いた。気付いてしまった。闇に溶け込むよう黒一色なのを除いて、その服飾には特徴がある、と。
ソレは正に、皇帝直属の赤き親衛隊の制服だった――。
暁明様は普段は傍に仕えているだけの侍女達もこの愚痴大会への参加を許したので、皆は憂さ晴らしのように悪口や文句を連打した。近衛兵達は部屋中荒らすだけで後片付けが大変だった、近衛兵が邪魔で普段の掃除等の仕事が出来なかった、等。
「それにしても、わたしの殿下が青玉宮殿下と袂を分かつと宣言されるとは思いませんでした」
「今思えばちょっと軽率だったかなぁ。あまりにも自分勝手だったから我慢出来なかったや」
「仕方がないんじゃないですか? いくら武官から支持を集めているとはいえ、まだどなたへの支持も表明していないわたしの殿下の機嫌を損ねる真似をするなんて。あまりにも考えが足らなすぎます」
「……もし青玉兄が皇帝になったら丞相の言うなりになりそうだね」
おそらく第二皇子が皇帝になったら最後、第三皇子が危惧したとおり政治は疎かになり、文官が好き勝手振る舞うに違いない。そして第二皇子は地方の平定だとか隣国への遠征だとかに明け暮れ、財政を圧迫していくんだ。
「それなら翠玉宮殿下は青玉宮殿下を皇帝の座に据え、影から政を取り仕切ればよかったのでは?」
「翠玉兄は脳筋で馬鹿な青玉兄を見下してるからね。上辺だけでもかしずくのが我慢ならないんじゃない?」
「あの様子ですとそのうち翠玉宮や黒曜宮にも今日みたいに押し入りそうなんですが」
「そんな真似したら軍事費を大幅に削減して干上がらせてしまうかもね」
粗方第二皇子ないわーと言い終えた後は、結局どんな目的で襲来してきたのか、との話題に移った。伝国璽について知っているのはわたしと暁明様、それから魅音のみ。使用人達は思い思いの憶測を並べ立てるばかりだった。
一方のわたしや暁明様はその話題を聞きつつ、結局何が目的で伝国璽が魅音の手に渡ったのか、について内緒話した。わたしは魅音を介して暁明様がはめられた、と仮説を披露したら、暁明様は思いつめた顔をした。
「それが真実だとしたら、あわよくば僕らが嫌疑をかけられて破滅すれば良し、失敗しても僕と青玉兄の仲は悪くなる。そんな風に考えた仕掛け人がいるって?」
「最低でも皇帝直属の筈の赤き親衛隊のうち数名が加担しています。今日は何とかしのげましたけれど……」
わたしは殿下の手を握った。したくなったからじゃなく、自然とそんな動作を取っていたから。
「わたしは暁明様の御身が心配です。どうかご注意ください」
暁明様は意外そうに目を丸くしていたけれど、すぐに朗らかな笑みをこぼしてわたしの手を握り返してくれた。
「僕よりも雪慧の身に何か危険が及ばないかが心配だよ。だって、この前みたいな思いはもう嫌だ」
「暁明様……。わたしは貴方様さえ無事であればどうだって……って言うと怒るんでしたね。わたしは殿下のために我が身も可愛がらなきゃいけないんですもの」
「僕のためにって辺りが引っかかるけれど、自愛してくれるなら嬉しいよ。あと雪慧を一番可愛がりたいのは僕なんだよね」
「もう、暁明様ったら」
そんな感じに暁明様に夢中になって周りの視線が目に入らなくなるのはいつものことで、後から夜鈴達に仲睦まじくて羨ましい限りですと言われたり、魅音から自分が寵愛されなくて落ち着くと言われるのもいつものことだった。
ただ、頭の片隅では今後の身の振り方を真剣に考えていた。
既に皇位継承争いの当事者になってしまった以上は、帝位に興味なしと表明していても静観を続ける限り立場が悪くなる一方だ。また伝国璽のような策が降り掛かったら、今度は暁明様が破滅に追い込まれるかもしれない。
第二皇子は無し、と表明してしまった以上は選択肢が限られる。かと言って第三皇子は魅音を最大限利用しようと画策していて、そのうち皇帝のようにドツボにはまってしまう可能性も否定しきれない。第四皇子も然り。
となればあの手段を講じざるを得なくなるのでは、と心に留めておいた。
■■■
「……」
その日の夜、わたしはまだ闇夜が支配する中で目を覚ました。
既に侍女を含めて夜番の者以外は床に付いている時刻。外からも風や虫の音以外は聞こえてこない。わたしの隣では暁明様が静かで可愛い寝息を立てていて、衝動に駆られて思わず頬を突いてしまったのは内緒だ。
そんな静寂な中、わたしは寝具から起き上がって部屋着に袖を通した。邪魔にならないよう帯を巻いたら、部屋の壁に飾られていた刀を手にし、月明かりでわずかに見える部屋の扉を凝視した。
そして、扉が全く音を立てずに動いた瞬間、思いっきりその刀を投擲した。
木製の扉は耳をつんざくほどの大きな音を立てて突き破られ、刀の刃は扉の向こう側に貫通したようだった。わたしは刀を投げた直後に飛び出し、扉に刺さった刀を一気に引き抜いてから扉を開け放った。
扉という支えを失った何かがこちらに向けて倒れてきた。わたしは刀の切っ先をソレに向けて警戒したけれど、おびただしい量の血を噴き出して微動だにしなかった。念の為にわたしはソレに向けて刀を振り下ろしておいた。
「まさかもう仕掛けてくるなんて、ね」
侵入者は暁明様に差し向けられた刺客、または彼が手中にしていると噂されていた伝国璽の奪取が目的なんでしょう。こんな真夜中にご苦労さまなことだ。まあ、暁明様に害を成すなら容赦無く殺すまでだけれど。
わたしは首から上を失った親衛隊の亡骸を廊下へと放り投げてやると、瞬く間に廊下の左向こうから何かしらの攻撃を仕掛けられたらしく、派手に右へと吹っ飛んでいった。廊下端の壁に激突したらしく、闇夜に轟くような衝撃音が響いた。
間髪入れずに廊下に飛び出したわたしは左へ疾走、手を突き出していた何者かへ刀を一閃、飛び出ていた手を切り飛ばしてやった。更に動揺と驚愕に支配された侵入者を間合いに収め、その無防備な脳天を叩き割ってやった。
侵入者が倒れ伏していくのを尻目にわたしは魅音の寝室に入った。丁度彼女は不審な物音で目を覚ましたらしく、侵入者の出現に軽く悲鳴をあげて怯えてしまった。闇に支配された中でわたしだと判別出来るわけないか、と軽く反省した。
「魅音様、ご無事ですか?」
「紅玉宮妃、様……?」
「侵入者です。二人仕留めましたが他にもいる危険があります。一旦殿下の寝室へ避難を。そこから通じる隠し部屋にいればひとまず安全ですから」
わたしは喋っている間も戸惑う魅音の手を取って廊下を駆け抜け、暁明様の寝室に戻った。丁度彼も異常事態に気付いて意識が覚醒したらしく、部屋着を羽織っている最中だった。
「雪慧! 今の物音は……!?」
「侵入者です。返り討ちにしますから殿下はここで彼女を守ってください」
「ちょっと――!」
わたしは暁明様の抗議を聞かぬまま魅音を彼へと突き飛ばした。それからすぐさま廊下を駆け回って他の賊が紛れ込んでいないかを確認していく。途中、夜番で紅玉宮を警備していた物言わぬ近衛兵が倒れていて、更に頭に血が上った。
いた。中庭の向こうで塀を登って退却しようとしている侵入者の姿を捉えた。
先程のように刀を投擲……いや、小刀ならいざしらず腕の長さ程もある刀を遠い距離まで殺傷力を保ったまま投げるのはわたしには無理だ。ならせめて石を投げて頭に当てられれば……!
と、思った直後、後方から飛来した何かが塀に登り終えて姿をくらまそうとしていた侵入者の頭に直撃、そのまま向こう側に大きな音を立てて倒れ込んだ。
後ろを振り返ると弓を構えた暁明様の姿があった。
「全く、無茶しないでって言った矢先にこれだもの。もういっそ雪慧は僕が監禁しないと駄目なんじゃないかな?」
「ふふっ、暁明様が無事だって保証があればそれもいいかもしれませんね」
それからわたし達は紅玉宮の安全を確認していった。どうやら侵入者は塀から侵入、見回っていた近衛兵を黙らせて事を成そうとしたらしい。幸いにも紅玉宮に住んでいる夜鈴達は無事。朝や昼番の近衛兵達も襲われていなかった。
その辺りでようやく騒ぎを聞きつけた禁軍の近衛兵達が紅玉宮へとやってきた。詳しく調べるから侵入者の遺体を引き渡すよう要求されたものの、昼の一幕で不信感を募らせていた暁明様は二人の身柄を彼らへと預けたのだった。
「別に全員とは聞いてないし。明日の正午ぐらいにでももう一人いましたって言っとけばいいよ」
「暁明様も中々ワルですねえ」
そして迎えた朝、わたし達は残した侵入者の亡骸を調査すべく、まずは顔を暴こうと面紗を剥がそうとして、気付いた。気付いてしまった。闇に溶け込むよう黒一色なのを除いて、その服飾には特徴がある、と。
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