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第2-1章 紅玉宮妃→????(新版)
「第二皇女が夜襲の元凶?」
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禁軍に属する正規の兵士が刺客として差し向けられたのだから、まずは正式に抗議を入れることになった。わたし達は朝食を取って身嗜みを整えてから春華国軍総司令である第二皇子へ文句を言いに青玉宮へと出向いた。
魅音は第二皇子を疑っていたけれど、わたしはあの皇子の仕業ではないと考えていた。彼は強引だけど筋は通すし、青玉宮妃も然り。暁明様も彼はそんな暗殺を企てる卑怯な真似はしない、と断言した。
故にまず抗議して相手の反応を伺うことになったわけだ。
ところが、行く途中で前日と同じように完全武装に身を固めた青玉宮夫妻が青玉宮を出発するところに遭遇した。第二皇子はこちらの到来に気づくと進行方向をわたし達へと変え、暁明様と相対すると……なんと頭を下げてきたのだった。
「すまなかった」
「えっ……!?」
「紅玉宮を守護する近衛兵が賊に不覚を取ったのは上官である俺のせいだ。直ちに補充要員を確保し、警備体制を強化することを誓おう」
「あー、うん。そうしてくれると助かるかな」
不意打ちにも近かった謝罪を暁明様は素直に受け入れてしまった。危険な目にあったのだからもう少し文句をぶつけてやればよかったのに、との不満は飲み込んだ。暁明様も複雑な表情を浮かべていたから、これ以上の追求は悪手と判断したらしい。
「一応念の為に聞くけれど、侵入者を差し向けたのは青玉兄じゃないよね?」
「俺がやるなら正面から白昼堂々と実行する。真夜中の暗殺など恥知らずの企てだ。万が一やるなら事前に紅玉宮を警備する近衛兵達に根回しし、犠牲は最低限にする」
「だよねー。青玉兄ならそうすると思った。でもあの侵入者、少し改造してたけど禁軍の制服を着てたんだけど。青玉兄に疑いを向けさせる第三者の策略?」
「時間が惜しいから後にしろ。どうしてもと言うなら付いてこい。行きがてらに説明させる」
近衛兵達を率いた青玉宮夫妻はわたし達を横切っていった。第二皇子も青玉宮妃も怒りを漲らせて顔を歪ませていて取り付く島もなかった。代わりに一番後ろにいた大柄な老兵がこちらにお辞儀をしてきた。
「紅玉宮殿下におかれましてはお初にお目にかかります。わしは春華国の太尉を勤めております者ですじゃ」
太尉、つまり春華国を司る三公のうち軍部の長官、は歩きながら事情を説明すると言ってくれたので、ひとまず同行することにした。彼は孫ぐらい年が離れたわたし達にも丁寧な物腰で、好感が持てた。
「昨晩紅玉宮に侵入しました賊ですが、調べた結果皇帝陛下直属の親衛隊に属することが発覚しましたのですじゃ」
「「……!?」」
まさか向こうから暴露してくるとは思ってもいなかったので、わたしも暁明様も驚きの声をあげてしまった。わたし達の反応に満足したのか、太尉は年老いながらも生命力に溢れた顔で朗らかに微笑んだ。
「紅玉宮殿下は皇帝陛下亡き今、かの部隊がどなたの命令で動くかご存知ですかな?」
「えっ? んーと……青玉兄や太尉じゃあないんだよね?」
「その通りですじゃ。軍を統括する太尉や総大将、つまり今ならわしや青玉宮殿下が暴走した際の抑止として働かなきゃいかんですからな。先帝陛下や皇后様が存命でしたら一旦指揮系統を預かっていたのですが」
「皇太子だった金剛兄もいないし……その言いっぷりだと翠玉兄とか御史大夫でもなさそうなんだけど?」
「紅玉宮殿下はご聡明であらせられますなあ。仰るとおり国の混乱を鎮圧する最後の手段は、この宮廷を司る者に託される決まりですじゃ」
「それってつまり……」
わたし達が太尉と喋っているうちに第二皇子は目的の場所に到着したらしく、一同は隊列を組み直して門の前で整列した。ただ一人、太尉だけはわたし達と並んで後方で第二皇子達を見守っていた。
猫目宮、宮廷内の秩序を任された第二皇女の住む宮へ、わたし達は来ていた。
猫目宮を守る近衛兵達は完全武装した第二皇子の一団の来襲に動揺したようだったけれど、彼らの侵入を阻むように立ち塞がった。すると青玉宮妃が書状を彼らに突き付けてこちら、と言うより太尉へと視線を向けた。すると近衛兵は渋々ながら門を開いた。
「青玉兄は僕たちが襲われかけたのは猫目姉が命じたせいだって睨んでるの?」
「赤き親衛隊を動かせるのは今や猫目宮殿下と丞相閣下しかおりませんですじゃ。そして丞相閣下は猫目宮殿下を支持しているとなれば疑うのは無理もありませんなあ」
「だからって早急過ぎない? 昨日だって紅玉宮の捜索で勇み足したのに」
「それですがな、ここだけの話……」
太尉は暁明様の耳へと顔を近づけた。そして声を落として衝撃の事実を述べた。
「昨晩、青玉宮でも襲撃を受けたのですじゃ」
その事実に衝撃が走ったのは言うまでもなかった。
けれど同時に頷けた。いくら腹違いの弟が命の危険に晒されたからってここまで迅速に準備を整えられるのか、と。皇女の宮に押し入るならそれ相応の手続きが必要だろうし、長官である太尉が現場に同行しているのも無理を押し通す一環なんだ、って。
「わしはあまり詳しい事情をお聞きしておりませんが、紅玉宮では妃様が狙われたのではありませんかな?」
「えっと、その……」
「おっと、寝床を一緒にしておりましたか。これは失礼しました。何せここまで歳を取ると精気も枯れ果ててしまいましてね。配慮が足りませんでしたな」
「そ、そういうのはいいから!」
いや、そこは適当にはぐらかしましょうよ暁明様。何だか聞いているわたしまで恥ずかしくなってきたじゃないですか。
わたしは顔が熱くなるのを自覚しながらも気にしない素振りをした。まあ、多分失敗に終わっているんでしょうけれど。
「知ってのとおり青玉宮殿下は青玉宮妃様の他に数多の妃がおりましてな。昨晩も寝床は別にしていらしたらしく、襲われたのは殿下でなく妃様だったとか。幸いにも青玉宮妃様は賊を返り討ちにして事なきを得たそうですが」
聞いた覚えがある。第二皇子は「男とはどれだけ良い女を抱いたかで価値が決まる」と公言してはばからないらしい。当の本人が個の武力で敵なしと讃えられるほど優れているので言う資格はある、との見方が大半を占めている。
ちなみに青玉宮妃はそんな第二皇子に抱かれるに相応しい良い女であり続ける努力を惜しんでいないんだとか。強く美しく、そして気高く。そんな自分の存在意義を自覚するのはやはり第二皇子と肩を並べている時だ、と誇らしげに語っていたのが印象的だ。
「……どうして皇位継承権を持つ皇子じゃなくて正妃を狙うのさ?」
「いえ、わたしの殿下。その理由は何となく察せます」
多分、新たな女狐の可能性がある皇子妃を排除したかったんだ。
でなければ女狐が添い遂げた皇子以外の皇位継承者の敗北が必至だから。
けれどそれは他ならぬ第二皇子が提唱した強硬手段だった筈だけれど……。
「じゃあ翠玉宮妃と黒曜宮妃も危なかったんじゃないの?」
「少なくとも現時点でわしや青玉宮殿下のお耳にはそのような騒ぎが起こったとの連絡は届いておりませんですじゃ。なので青玉宮殿下は猫目宮の卑劣な策略だと憤っておられますのじゃ」
「あんなに静かに怒った青玉兄を見たのなんて初めてなんだけど」
「それだけ殿下が青玉宮妃様を大事に想っているという証しなのでしょうなあ」
暁明様が太尉を喋っている間に近衛兵を引き連れた第二皇子は猫目宮の建物を眼前にして立ち止まっていた。表玄関前では第二皇女が待ち構えていたけれど、いつもの優雅さは鳴りを潜めて抜身の剣のように鋭く第二皇子を睨み返していた。
気になったのは、そんな第二皇女に黒曜宮妃がしがみついていることだ。第二皇子が睨みつけると涙目になりつつ身体を震わせて怯え、第二皇女の腕に絡みついた力を更に強くした。
「猫目のお義姉様ぁ。わたし、怖いですぅ」
「大丈夫よ。この私がいるから」
恐怖が混ざりながらもいつものように猫を撫でるような甘くて間が伸びた声を発する黒曜宮妃に苛立ったからか、第二皇子が舌打ちをした。それが更に彼が発する威圧に拍車をかけ、黒曜宮妃は軽く悲鳴をあげた。
青玉宮妃は第二皇子の腹を肘で小突いた。それで冷静さを多少取り戻した第二皇子は改めて第二皇女を見据え、高らかに宣言した。それは猫目宮どころか宮廷中に轟くのではないかと思うほどの咆哮だった。
「猫目宮! 貴様を我が愛しの妃ならびに紅玉宮妃の暗殺を企てた疑いで捕縛する!」
魅音は第二皇子を疑っていたけれど、わたしはあの皇子の仕業ではないと考えていた。彼は強引だけど筋は通すし、青玉宮妃も然り。暁明様も彼はそんな暗殺を企てる卑怯な真似はしない、と断言した。
故にまず抗議して相手の反応を伺うことになったわけだ。
ところが、行く途中で前日と同じように完全武装に身を固めた青玉宮夫妻が青玉宮を出発するところに遭遇した。第二皇子はこちらの到来に気づくと進行方向をわたし達へと変え、暁明様と相対すると……なんと頭を下げてきたのだった。
「すまなかった」
「えっ……!?」
「紅玉宮を守護する近衛兵が賊に不覚を取ったのは上官である俺のせいだ。直ちに補充要員を確保し、警備体制を強化することを誓おう」
「あー、うん。そうしてくれると助かるかな」
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「俺がやるなら正面から白昼堂々と実行する。真夜中の暗殺など恥知らずの企てだ。万が一やるなら事前に紅玉宮を警備する近衛兵達に根回しし、犠牲は最低限にする」
「だよねー。青玉兄ならそうすると思った。でもあの侵入者、少し改造してたけど禁軍の制服を着てたんだけど。青玉兄に疑いを向けさせる第三者の策略?」
「時間が惜しいから後にしろ。どうしてもと言うなら付いてこい。行きがてらに説明させる」
近衛兵達を率いた青玉宮夫妻はわたし達を横切っていった。第二皇子も青玉宮妃も怒りを漲らせて顔を歪ませていて取り付く島もなかった。代わりに一番後ろにいた大柄な老兵がこちらにお辞儀をしてきた。
「紅玉宮殿下におかれましてはお初にお目にかかります。わしは春華国の太尉を勤めております者ですじゃ」
太尉、つまり春華国を司る三公のうち軍部の長官、は歩きながら事情を説明すると言ってくれたので、ひとまず同行することにした。彼は孫ぐらい年が離れたわたし達にも丁寧な物腰で、好感が持てた。
「昨晩紅玉宮に侵入しました賊ですが、調べた結果皇帝陛下直属の親衛隊に属することが発覚しましたのですじゃ」
「「……!?」」
まさか向こうから暴露してくるとは思ってもいなかったので、わたしも暁明様も驚きの声をあげてしまった。わたし達の反応に満足したのか、太尉は年老いながらも生命力に溢れた顔で朗らかに微笑んだ。
「紅玉宮殿下は皇帝陛下亡き今、かの部隊がどなたの命令で動くかご存知ですかな?」
「えっ? んーと……青玉兄や太尉じゃあないんだよね?」
「その通りですじゃ。軍を統括する太尉や総大将、つまり今ならわしや青玉宮殿下が暴走した際の抑止として働かなきゃいかんですからな。先帝陛下や皇后様が存命でしたら一旦指揮系統を預かっていたのですが」
「皇太子だった金剛兄もいないし……その言いっぷりだと翠玉兄とか御史大夫でもなさそうなんだけど?」
「紅玉宮殿下はご聡明であらせられますなあ。仰るとおり国の混乱を鎮圧する最後の手段は、この宮廷を司る者に託される決まりですじゃ」
「それってつまり……」
わたし達が太尉と喋っているうちに第二皇子は目的の場所に到着したらしく、一同は隊列を組み直して門の前で整列した。ただ一人、太尉だけはわたし達と並んで後方で第二皇子達を見守っていた。
猫目宮、宮廷内の秩序を任された第二皇女の住む宮へ、わたし達は来ていた。
猫目宮を守る近衛兵達は完全武装した第二皇子の一団の来襲に動揺したようだったけれど、彼らの侵入を阻むように立ち塞がった。すると青玉宮妃が書状を彼らに突き付けてこちら、と言うより太尉へと視線を向けた。すると近衛兵は渋々ながら門を開いた。
「青玉兄は僕たちが襲われかけたのは猫目姉が命じたせいだって睨んでるの?」
「赤き親衛隊を動かせるのは今や猫目宮殿下と丞相閣下しかおりませんですじゃ。そして丞相閣下は猫目宮殿下を支持しているとなれば疑うのは無理もありませんなあ」
「だからって早急過ぎない? 昨日だって紅玉宮の捜索で勇み足したのに」
「それですがな、ここだけの話……」
太尉は暁明様の耳へと顔を近づけた。そして声を落として衝撃の事実を述べた。
「昨晩、青玉宮でも襲撃を受けたのですじゃ」
その事実に衝撃が走ったのは言うまでもなかった。
けれど同時に頷けた。いくら腹違いの弟が命の危険に晒されたからってここまで迅速に準備を整えられるのか、と。皇女の宮に押し入るならそれ相応の手続きが必要だろうし、長官である太尉が現場に同行しているのも無理を押し通す一環なんだ、って。
「わしはあまり詳しい事情をお聞きしておりませんが、紅玉宮では妃様が狙われたのではありませんかな?」
「えっと、その……」
「おっと、寝床を一緒にしておりましたか。これは失礼しました。何せここまで歳を取ると精気も枯れ果ててしまいましてね。配慮が足りませんでしたな」
「そ、そういうのはいいから!」
いや、そこは適当にはぐらかしましょうよ暁明様。何だか聞いているわたしまで恥ずかしくなってきたじゃないですか。
わたしは顔が熱くなるのを自覚しながらも気にしない素振りをした。まあ、多分失敗に終わっているんでしょうけれど。
「知ってのとおり青玉宮殿下は青玉宮妃様の他に数多の妃がおりましてな。昨晩も寝床は別にしていらしたらしく、襲われたのは殿下でなく妃様だったとか。幸いにも青玉宮妃様は賊を返り討ちにして事なきを得たそうですが」
聞いた覚えがある。第二皇子は「男とはどれだけ良い女を抱いたかで価値が決まる」と公言してはばからないらしい。当の本人が個の武力で敵なしと讃えられるほど優れているので言う資格はある、との見方が大半を占めている。
ちなみに青玉宮妃はそんな第二皇子に抱かれるに相応しい良い女であり続ける努力を惜しんでいないんだとか。強く美しく、そして気高く。そんな自分の存在意義を自覚するのはやはり第二皇子と肩を並べている時だ、と誇らしげに語っていたのが印象的だ。
「……どうして皇位継承権を持つ皇子じゃなくて正妃を狙うのさ?」
「いえ、わたしの殿下。その理由は何となく察せます」
多分、新たな女狐の可能性がある皇子妃を排除したかったんだ。
でなければ女狐が添い遂げた皇子以外の皇位継承者の敗北が必至だから。
けれどそれは他ならぬ第二皇子が提唱した強硬手段だった筈だけれど……。
「じゃあ翠玉宮妃と黒曜宮妃も危なかったんじゃないの?」
「少なくとも現時点でわしや青玉宮殿下のお耳にはそのような騒ぎが起こったとの連絡は届いておりませんですじゃ。なので青玉宮殿下は猫目宮の卑劣な策略だと憤っておられますのじゃ」
「あんなに静かに怒った青玉兄を見たのなんて初めてなんだけど」
「それだけ殿下が青玉宮妃様を大事に想っているという証しなのでしょうなあ」
暁明様が太尉を喋っている間に近衛兵を引き連れた第二皇子は猫目宮の建物を眼前にして立ち止まっていた。表玄関前では第二皇女が待ち構えていたけれど、いつもの優雅さは鳴りを潜めて抜身の剣のように鋭く第二皇子を睨み返していた。
気になったのは、そんな第二皇女に黒曜宮妃がしがみついていることだ。第二皇子が睨みつけると涙目になりつつ身体を震わせて怯え、第二皇女の腕に絡みついた力を更に強くした。
「猫目のお義姉様ぁ。わたし、怖いですぅ」
「大丈夫よ。この私がいるから」
恐怖が混ざりながらもいつものように猫を撫でるような甘くて間が伸びた声を発する黒曜宮妃に苛立ったからか、第二皇子が舌打ちをした。それが更に彼が発する威圧に拍車をかけ、黒曜宮妃は軽く悲鳴をあげた。
青玉宮妃は第二皇子の腹を肘で小突いた。それで冷静さを多少取り戻した第二皇子は改めて第二皇女を見据え、高らかに宣言した。それは猫目宮どころか宮廷中に轟くのではないかと思うほどの咆哮だった。
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