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Interlude1 アレクサンドラのその後
公爵令嬢カロリーナの婚姻(前)
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王太子妃としての公務の中には王宮に貴族令嬢や婦人を招いてお茶会を催すことも挙げられる。これは社交界において王妃こそが女性の頂点だと示すためで、私も少しずつ布石を打っているわけね。
ただあまり積極的すぎると現王妃のお義母様の邪魔になりかねないので、招く相手は私と年代が近い人を選んでいる。要は現役世代じゃなく次世代で支持基盤を広げていく作戦、とでも言っておこうかしら。
あの忙しかった丸一日から季節が移り変わった頃、隣国バエティカ王国から女王様……もとい、第一王女フアナ殿下を迎える準備で忙しい中、私と同じく三大公爵家の娘であるカロリーナを招いた。
そして彼女は幸せそうな笑みをこぼし、こんな風に報告してきた。
「実はですね、わたくしはこの度隣国に嫁ぐことになりましたの」
タラコネンシス王国とバエティカ王国は隣接しているのもあって積極的に交流が行われている。貴族間の婚姻もそのうちの一つ。カロリーナならグレゴリオ殿下とフアナ殿下との婚姻が無かったら国を上げて祝われたことでしょう。
「その婚姻は以前から決まっていらしたんですか?」
「ええ。アレクサンドラ様が王太子妃に内定してからすぐに。アルフォンソ殿下との関係に暗雲が立ち込めていたので停滞していましたが、わたくしの出番が来るかもとの懸念が解消した今、何の憂いもなく出発することが出来ますわ」
「それはおめでとうございます。お相手の方もさぞこちらの動向にやきもきしたことでしょう」
「そうしてくださっていると嬉しいのですけれど、自信がありませんわ」
そして話している感じ、カロリーナの方は前向きどころか嫁ぎ先に好意を抱いているようね。彼女ならバエティカでも充分に活躍してくれるでしょうし、何も心配はいらなそうで良かったわ。
「それで、お相手の方は?」
「今度バエティカよりフアナ王女殿下がいらっしゃるじゃない。実はその時にあの方もこちらにいらっしゃるんですって」
「へえ、成程」
「ですので当日までお楽しみ、ということで」
そう言われると俄然興味が湧いてきたわね。
バエティカよりいらっしゃる方々は事前に名簿を頂いている。そりゃあこっちだってもてなしの準備とか必要だもの。だからその中からカロリーナの相手に相応しい殿方で絞り込めば、自ずと候補は絞られてくるかな。
「分かりました。では楽しみにさせていただきます」
でも当たりをつけるのは勿体ないわね。どうせなら何も見当付けないままで当日を迎えて驚いちゃいましょう。それがあえて名前を明かさなかったカロリーナへの礼儀ってものでしょう。
「……早いものですわ。つい昨日まで学園生活を送っていたのに、お互いもう伴侶と添い遂げるだなんて」
「確かにおっしゃる通りと私も思います。生活環境が変わって忙しさが以前の比でなくなったのが大きいかと」
「アレクサンドラ様はジェラール殿下との結婚生活が上手くいっているようで何よりですわ。わたくしもアレクサンドラ様のような甘々に暮らせるのでしょうか?」
「甘々……あえて否定はしませんけれど……」
こんな感じに特に波乱無く穏やかな時が過ぎていく。
落ち着いた雰囲気を味わうように噛み締めながら。
ただ、芋女への嫉妬に支配されていた学園生活での刺激も懐かしく思えた。
■■■
そしてやってきたバエティカ王国王女来訪の日。
王太子夫妻としてジェラールと共に賓客を迎えた私は、隣国一団を確認する。フアナ殿下の他には使節団と護衛の騎士団、それと外交官らしき文官の姿も見えるわね。向こうの有力貴族も何人か同行しているようだから、結構大規模じゃないの。
その中でもフアナ殿下に次いで一際目立っているのは、フアナ殿下に随伴している彼ね。年齢は私よりやや上ぐらいのようだからまだ若い。にも拘わらず他の誰よりも風格と威厳が備わっている。顔立ちも整っているし、ある二点以外は非の打ち所がない。
(あの方がバエティカ王国の若き公爵、ニコラスか……)
ただあまり積極的すぎると現王妃のお義母様の邪魔になりかねないので、招く相手は私と年代が近い人を選んでいる。要は現役世代じゃなく次世代で支持基盤を広げていく作戦、とでも言っておこうかしら。
あの忙しかった丸一日から季節が移り変わった頃、隣国バエティカ王国から女王様……もとい、第一王女フアナ殿下を迎える準備で忙しい中、私と同じく三大公爵家の娘であるカロリーナを招いた。
そして彼女は幸せそうな笑みをこぼし、こんな風に報告してきた。
「実はですね、わたくしはこの度隣国に嫁ぐことになりましたの」
タラコネンシス王国とバエティカ王国は隣接しているのもあって積極的に交流が行われている。貴族間の婚姻もそのうちの一つ。カロリーナならグレゴリオ殿下とフアナ殿下との婚姻が無かったら国を上げて祝われたことでしょう。
「その婚姻は以前から決まっていらしたんですか?」
「ええ。アレクサンドラ様が王太子妃に内定してからすぐに。アルフォンソ殿下との関係に暗雲が立ち込めていたので停滞していましたが、わたくしの出番が来るかもとの懸念が解消した今、何の憂いもなく出発することが出来ますわ」
「それはおめでとうございます。お相手の方もさぞこちらの動向にやきもきしたことでしょう」
「そうしてくださっていると嬉しいのですけれど、自信がありませんわ」
そして話している感じ、カロリーナの方は前向きどころか嫁ぎ先に好意を抱いているようね。彼女ならバエティカでも充分に活躍してくれるでしょうし、何も心配はいらなそうで良かったわ。
「それで、お相手の方は?」
「今度バエティカよりフアナ王女殿下がいらっしゃるじゃない。実はその時にあの方もこちらにいらっしゃるんですって」
「へえ、成程」
「ですので当日までお楽しみ、ということで」
そう言われると俄然興味が湧いてきたわね。
バエティカよりいらっしゃる方々は事前に名簿を頂いている。そりゃあこっちだってもてなしの準備とか必要だもの。だからその中からカロリーナの相手に相応しい殿方で絞り込めば、自ずと候補は絞られてくるかな。
「分かりました。では楽しみにさせていただきます」
でも当たりをつけるのは勿体ないわね。どうせなら何も見当付けないままで当日を迎えて驚いちゃいましょう。それがあえて名前を明かさなかったカロリーナへの礼儀ってものでしょう。
「……早いものですわ。つい昨日まで学園生活を送っていたのに、お互いもう伴侶と添い遂げるだなんて」
「確かにおっしゃる通りと私も思います。生活環境が変わって忙しさが以前の比でなくなったのが大きいかと」
「アレクサンドラ様はジェラール殿下との結婚生活が上手くいっているようで何よりですわ。わたくしもアレクサンドラ様のような甘々に暮らせるのでしょうか?」
「甘々……あえて否定はしませんけれど……」
こんな感じに特に波乱無く穏やかな時が過ぎていく。
落ち着いた雰囲気を味わうように噛み締めながら。
ただ、芋女への嫉妬に支配されていた学園生活での刺激も懐かしく思えた。
■■■
そしてやってきたバエティカ王国王女来訪の日。
王太子夫妻としてジェラールと共に賓客を迎えた私は、隣国一団を確認する。フアナ殿下の他には使節団と護衛の騎士団、それと外交官らしき文官の姿も見えるわね。向こうの有力貴族も何人か同行しているようだから、結構大規模じゃないの。
その中でもフアナ殿下に次いで一際目立っているのは、フアナ殿下に随伴している彼ね。年齢は私よりやや上ぐらいのようだからまだ若い。にも拘わらず他の誰よりも風格と威厳が備わっている。顔立ちも整っているし、ある二点以外は非の打ち所がない。
(あの方がバエティカ王国の若き公爵、ニコラスか……)
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