残り一日で破滅フラグ全部へし折ります ざまぁRTA記録24Hr.

福留しゅん

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Interlude1 アレクサンドラのその後

隣国女王フアナの継承(前)

 バエティカ王国国王陛下、崩御。
 これに伴いバエティカ王国では前国王の国葬、ならびに新国王の即位が執り行われることになった。
 次の国王には順当に王太子だったフアナ王女殿下が即位されることになる。

 その知らせは隣国のタラコネンシス王国にもすぐに届けられた。
 で、我が国からは王太子ならびに王太子妃が出席すると返事をしたためた。
 言わずもがな、私とジェラールの二人である。

 他にも少なくないお供を連れて私達は隣国へと出発した。

 バエティカ王国には外交も兼ねて何度か足を踏み入れたことがある。国土の北側しか海に面してないうちと違ってバエティカはタラコネンシスに面する側と反対は海。漁業や貿易が盛んなので、うちもその恩恵を受けている。

 一度は子供達を連れて行ったわね。初めて見る海にダリア達は圧倒されてたっけ。海水浴はこう楽しむもんだー、って水着になって一緒にはしゃいでジェラールに窘められたのよね。今となってはいい思い出だわ。

「ジェラール殿下、アレクサンドラ妃殿下。この度は父の葬儀に出席頂きまして感謝いたします。父も天国で喜んでいることでしょう」

 バエティカ王国の王宮にやってきた私達はフアナ様直々の出迎えを受けた。とても丁寧で動揺は見られないけれど、よく見たら目が少し充血していた。
 彼女達王宮にいる者は例外なく漆黒の衣服に身を包んでいて、喪に服している。

「フアナ王女殿下。この度はお悔やみ申し上げます。貴女様の立派なお姿をご覧になられて陛下も安心なされたことでしょう」
「ありがとうございます。アレクサンドラ妃殿下よりそう仰っていただけて少し元気が出てまいりました」
「ジェラール殿下、アレクサンドラ妃殿下。今日の晩餐ですが、我々だけで取りませんか?」

 フアナ様に寄り添っていたジェラールの下の兄ことグレゴリオ殿下の思わぬ申し入れに私とジェラールは顔を見合わせた。私は黙って静かに頷いたので、ジェラールは朗らかな笑みとともにお辞儀をした。

「願ってもいない申し入れで光栄です。貴国と我が国はいわば兄弟のようなもの。少しでも我々が貴女方の支えになれば、と」

 とりあえず私達一行は一旦タラコネンシス王国所有の屋敷に向かい、荷降ろしと晩餐の準備に取り掛かる。
 私達夫婦の部屋は王族が来た時のみ使用されるのだけれど、事前に手入れされたのか古臭さも感じないし綺麗だった。

 その部屋の中で私とジェラールは同時に着替えに取り掛かった。旅衣装ぐらいは自分でも脱げるんだけれど、ノエリアに「私から仕事奪わないでくださいよ」と泣き言言われたんで、されるがままだ。

「豪勢に飾らなくていいわよ。故人を偲んでの会食なんだし」
「分かっていますって。でも身内だけの会食って、向こうはどなたが出席されるんでしょうね?」
「普通に考えれば王家に連なる方々だと思うけれどね」
「となると、王太子殿下のご家族と、他の王子王女殿下のご家族ぐらいでしょうか?」

 そんな雑談をしているうちに準備完了、夕日が沈んだ頃に王宮へと出発する。
 どこか重苦しい雰囲気の漂う王宮の中を進み、私達は食堂へと招かれる。
 中で待っていたのはフアナ様とグレゴリオ殿下、そしてその子供達だけだった。

「今日の晩餐は夫の弟夫妻の来訪を歓迎するものです。弟や妹は不要ですね」
「そうでしたか」

 心を読まれた私は苦笑しながら席に着く。

 改めて出席者を確認する。向こう側はフアナ様とグレゴリオ殿下、カルロス第一王子、フェリシア第一王女、オラシオ第二王子。
 こちら側はジェラールと私だけ。本当なら第一子のアルベルトは連れてきたかったんだけれどね。家族旅行じゃないんだし、顔合わせなら過去にもやったもの。

「改めまして、この度は国王陛下の崩御、お悔やみ申し上げます」
「ありがとうございます。今日は亡き父が天国でも安心出来るよう、賑やかな晩餐にいたしましょう。それと……私は明日の葬儀を経てこの国を支える女王になります。今までのようなお付き合いは出来ないでしょうから……」
「ええ、我が国もいよいよ父、国王陛下が譲位の準備を始めました。来年つつがなく継承出来れば私達は共に国を支える身。ならば今日は多少の無礼は許されましょう」

 そうして始まった晩餐は、互いに話題を投げかける形で始まった。まず最初にフアナ様とグレゴリオ殿下のお付き合い開始から始まって、どんなふうに愛を育んで、充実した家庭を築いたか、私達はどうか、両国の近状は、等々。

 フアナ様が父君を思い出すようならすかさず次の話題に移って悲しむ暇は与えない。時には王子や王女達にも話題を振って蚊帳の外にいさせないようにする。そうしているうちに互いにかしこまった口調は段々と砕けていった。
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